唯だ心だけが存在する―。不可思議にして深淵な心の構造を解き明かす大乗仏教の普遍的な根本思想、その精髄を紹介する唯識思想入門

本巻は、中観派と並ぶインド大乗仏教の一大流派・瑜伽行唯識派の思想を歴史的に辿り、唯識系経典の形成、思想的特質、実践的特徴ならびに中国における展開などを論究する。

「これだけは知っておきたい」と思う唯識の歴史・思想の基本を凝縮。挿画に現代を代表する美術工芸家が寄せた作品多数をカラー掲載。

「心はどこにある?」「自分って、何?」「死んだらどこに行く?」――現代人は、さまざまなギモンに対してすぐに答えを出したがるが、科学の知識を駆使しても解答の出ないこと ...

... 唯識の思想や歴史については、井上玄真『唯識論講義』(哲学館大学、明治三十八年十二月)。花田凌雲『唯識論講義』上巻・下巻(東方書院、昭和八年六月、十月)。玉置韜晃『唯識学概論』(龍谷大学出版部、大正十三年十月)。斎藤唯信『仏教に於ける二大唯心論 ...

... 思想となっている(しかし、輪廻転生はヒンドゥーりんねてんせいたましい教の思想である)。ヒンドゥー教が輪廻転生(の思想)は ... 唯識が明確に打ち出されて丶る。ゆいしきしそうなんかいひとことばんぶつるてんうつ唯識の思想は大変難解だが、一言でいえば ...

... 思想は人間精神に深き影響を与えるが、また偉大な人物はその時代思想に発達変遷をもたらすのである。この意味に於て、唯識思想それ自体にも歴史的発展の存するは否認されない。この書に於ては支那、新羅、及び日本における思想をも兼て考慮しようとした ...

中屋宗寿. △藏識一般的には阿頼耶識といわれることが多い。唯識思想の中心概念で『成唯識論』巻 2 によると、蔵識と言われるのには三つの意味がある、 1 )阿頼耶識は身心や外界の一切の諸法を現わしだす潜在的能力たる種子を蔵している(能蔵の義) 2 )現れ ...