2頁で一つのテーマを紹介し、関係する写真や絵画資料でそれを補強するという編集物です。なお、2頁の分量のカラー口絵以外は全てモノクロでした。
紅花は高価でしたが、伝統的に愛されたのは見知っています。また白粉もお歯黒も同様です。それらが日本の女性を美しく飾っていたという歴史を本書で展開していました。
衣装で思い浮かべる十二単については、34pの見開きで紹介してありました。
「佐竹本三十六歌仙絵巻」を37pで紹介し、美人の条件は超ロングのストレートヘアだと書いています。その通りですね。出来れば、この「佐竹本三十六歌仙絵巻」は小野小町を描いたものだという紹介は、本文か脚注のどこかで一言欲しかった気がします。58pで別途小野小町を取り上げて紹介しているくらいですから。まさしく「日本美人の象徴」です。
26pの平安貴族の「白粉化粧」を取り上げるまでもなく、平安時代以降の絵巻や近世の錦絵に登場する女性は、皆白く化粧をすることが美だという価値観を持っていた話が結構繰り返し書かれていました。
それはそれで良いのですが、本書を読んで個人的に気になったことがありました。
繰り返し紹介されている白粉についてです。鉱物性の鉛白粉や水銀白粉を134pでも記しています。その魅力については記しているのですが、鉛白粉や水銀白粉の毒性について、本書のどこにも触れていないのはコンプライアンス的にどうかと思いました。
健康上の問題は歴史的に証明され、歌舞伎役者の鉛白や鉛毒はかなり知れ渡っています。
昭和初期に鉛の白粉の製造が禁止されたという事実は重いですね。
ポーラ文化研究所という化粧品メーカーの研究所ですから、そこはあえて触れなかったのでしょうが、歴史を振り返るのなら記すべきでしょう。
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