Q文書とは、新約聖書のマタイによる福音書とルカによる福音書が資料とし引用したと想定される仮説上の文書ですが、学問研究によれば、写本は発見されていないものの、存在したことはほぼ間違いないそうです。
そういうことは、40年前、学生時代から聞いていました。ただ、では、Q文書に何が書かれていたのか、イエスのどんな言葉が書かれていたのかは、あまり知ろうとしていませんでしたが、今回、この本で、手軽に読むことができるようになりました。
最初に「Q文書の文学的・社会学的・神学的特徴」の章があります。それによりますと、
※ローマがユダヤを滅ぼした第一次パレスティナ戦争(AD66-70)について、マルコ、マタイ、ルカ福音書では触れられているのに、Q文書ではまったく記されていません。
※Q文書の地理情報は、ガリラヤ地方とその周辺だけで、エルサレムを除けばユダヤ地方はまったく出てきません。
※Q文書において、イエスには、決まった住みかはなく、家族から離れ、私的所有をせず、暴力行使を拒み、敵を愛することを教えています。
※Q文書にはイエスのことを「ダビデの子」とも「キリスト」とも言い表していません。
つぎに、「Q文書オリジナル(ギリシャ語)テキストと日本語対訳」に100頁くらいが割かれています。ギリシャ語を読まなくても構いません。
日本語のところを読むと、イエスがどんなことを言ったかが、だいたい把握できます。今、ぼくはハンス・キュンク著、福嶋揚さん訳・解説の「イエス」を読んでいる最中で、この本は、キリストとして受け止められる以前に、イエスはそもそもどんなことをなし言ったか、どんな生き方をしたかを述べていますが、Q文書の日本語訳はその理解を助けてくれます。
Q文書には、洗礼者ヨハネの説教、イエスの誘惑物語、山上の説教、野の説教、百人隊長の癒しの物語、洗礼者ヨハネの称賛、弟子の覚悟、弟子派遣の説教、祈りについての教え、汚れた霊への非難、反対者への災いの言葉、思い煩いについて、分裂と和解について、神の国のたとえ、エルサレムへの非難、弟子たること、終末に関する説教などが載っています。
Q文書オリジナルと日本語対訳に続いて、「Q文書の研究史」の章があります。それによりますと、トマス福音書はQ文書の展開という説(荒井献さんなど)があるそうです。また、Q文書は「十字架・復活」とは独立した宣教指針を持っているそうです。
本書の最後の章は「イエス研究史」ですが、これは、研究史の概観、文献探しなどに役立ち、ぼくたちが読んだり題を聞いたりしてきた書物が並べられていて、なつかしさに浸ることができました。
この注文でお急ぎ便、お届け日時指定便を無料体験
Amazonプライム無料体験について
Amazonプライム無料体験について
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥460 - ¥500* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
携帯版 Q文書 (ヨベル新書 095) 新書 – 2024/5/1
山田耕太
(著)
このページの読み込み中に問題が発生しました。もう一度試してください。
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,650","priceAmount":1650.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,650","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Fi7yZG8%2FXHCD5qQ4JCOgpCEDI4vfdsLFOpz5lXGOM6xMJY9Ft2yPB7Vry%2B2eZN9EgW8rQM8%2FOgivbu3b7R4Vud63IVFxKdLlQAaFf5knxAtisu90sGEUyRFeovxoMsZcBa8lndT4nH0%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥999","priceAmount":999.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"999","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Fi7yZG8%2FXHCD5qQ4JCOgpCEDI4vfdsLFNeB5KkI7hogWKibXZH0YjfBXstBKI3V5IJp66tzybjb8289K4UAsBIAAeerGco%2Bu9SH7GO4AkJBeMfdPM66n5NjVLvQznv%2BD3YIweVPnIPKXMflVr1Ksr5CjjkXMuKYsFsWB8OedeWoSGvBbWydnaw%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
日本における“Q”研究の第一人者が福音書及びイエス理解の深化を願い分かりやすく開示した入門書! 「イエスの言葉伝承」は四福音書だけではなかった! マルコ福音書よりも早く成立。福音書に絶大な影響を与えながら、福音書とは一線を画する「Q文書」が対訳付・ハンディサイズで新登場!! 欧米では普及している携帯版が日本では用意されてこなかった、研究者をはじめ福音書に関心を持つ全ての方々に使える・引ける・読める索引付きの決定版です。 ●Q文書の翻訳、注解、修辞学的研究家による廉価な携帯版。 ●聖書学の専門家でなくてもQ文書が読めるような編集・構成。 ●ギリシア語と日本語との対照・対訳を頁ごとに見開きで配置。 ●Q文書の研究史、イエス研究史付きで総合的な理解への入門書。 ●巻末に日本語訳のコンコーダンス付きで利便性に配慮。
- 対象読者年齢3 歳以上
- 本の長さ185ページ
- 言語日本語
- 寸法11.2 x 1 x 17.3 cm
- 出版社ヨベル
- 発売日2024/5/1
- ISBN-104911054190
- ISBN-13978-4911054192
よく一緒に購入されている商品

対象商品: 携帯版 Q文書 (ヨベル新書 095)
¥1,650¥1,650
最短で5月19日 月曜日のお届け予定です
残り3点(入荷予定あり)
総額: $00$00
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品を見た後に買っているのは?
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
登録情報
- 出版社 : ヨベル (2024/5/1)
- 発売日 : 2024/5/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 185ページ
- ISBN-10 : 4911054190
- ISBN-13 : 978-4911054192
- 対象読者年齢 : 3 歳以上
- 寸法 : 11.2 x 1 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 378,660位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
2グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ0%100%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ0%100%0%0%0%100%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ0%100%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ0%100%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ0%100%0%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中にエラーが発生しました。ページを再読み込みしてください。
- 2024年6月12日に日本でレビュー済みQ文書とはマタイとルカが福音書執筆に当たって参考にした資料です。ですからその復元されたものがギリシア語と日本語の対訳でこのように手軽な形で手に入るようになった事は、言い尽くせぬ意義があると思います。
にも拘らず、★5つにしなかった理由の主なものを。
まず、聖書に通じていない読者のために正典福音書の並行箇所を示すべきだったと思います。え、そんな方が本書を読むはずがない?否、この文書にはキリスト教の根本に関わる重大な意味があると思います(愚生も信者ではありません)。買わないまでも、図書館でご覧ください。
が、出版を急いだのか長い解説には多数の傷があります。「異議」を「意義」とするのは極端例とするも、文章のおかしな箇所が多数です。イエス研究史など、多くの方に参考になる内容なのに。
更に著書のこの文書の評価にはいささか問題があると思いますが、それは専門家に委ねましょう。
妄言多謝
*****
聖書学ド素人の私の拙いレビューを読んでくださった方がいらっしゃるようなので、若干の補足をしておきます。
イエスの十字架刑による惨死の後、弟子達の少なくとも一部が彼の復活体験をして、それがイエスをキリスト=救世主という信仰を生み、更には原始キリスト教団の成立に繋がったというのが、一般的な理解だろうと思います。
が、復元されるQ文書の内容を見る限り、Q文書の著者ないしその教団は、キリスト教の核心であるはずのイエスの十字架刑死に関心がないかに見えます。
つまり、Q文書におけるイエス像こそ、最大の問題だと愚考します。
が、本書はイエス研究史などに(それが不要とは言いませんが)貴重なページを割き、Q文書のイエス観、思想の解説を殆どしていません。誠に残念なことです。
更には、先のレビューでは「傷」という穏やかな表現に留めましたが、著者の文章はまえがきからして、意味不明な部分があります。
これでは、私如きには8000円近くする携帯版でない大著を購入して読む気にはなれません。(それを所蔵しているような専門の図書館に赴くことが出来る環境にありません)
内容的に同様な書の出現は期待できないだけに残念な思いはいや増すのです。
敢えて★4つは減じませんが。
(9月13日追記)