評者は工学をやっています。直交多項式は単独では著されることが少なく,特殊関数の文脈の中で取り上げられることが多いように思います。邦書で直交多項式を取り上げた本では,小松勇作先生の特殊関数論が有名かと思います。評者は,数学のいいとこどりをする立場の人間で,評するという任にはないような気もしますが,他の読者の参考になればとも思って,ここに感想を記します。特殊関数も,直交多項式も,そのまま偏微分方程式系の研究の,ひとつの理想的で判りやすい雛形だと思っています。まえがきにあるとおりで,数学の諸分野とのつながりが非常に深く,また18世紀からの数学のひとつのドライビングフォースになってきたと。
数学的には非常におもしろそうで,深い意味がありそうなことは分かりますが,工学者にとっては少し敷居が高いようにも思いました。少ないページでは無理もないのでしょうし,もともとそういう意図の本でもないとは思いますが,私には難しかったです。Segeの本もいいのでしょうが,T. S. Chiharaの”An Introduction to Orthogonal Polynomial"など,もう少し具体例の多い本を先に読んでおいた方が良さそうに思いました。数学公式的な本としては沢山あるようで,W. W. Bellの”Special Functions for Scientists and Engineers"が分かりやすかったです。工学者には分かりにくかったのですが,他に類書がないので,四つ星としておきます。これは読者に依るかと。
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直交多項式入門 単行本 – 2013/4/15
青本和彦
(著)
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スペクトル解析を通じて数理物理, 応用数学などに幅広い係わりのある直交多項式の豊穣な世界。
数学者による待望の入門書。
数学者による待望の入門書。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社数学書房
- 発売日2013/4/15
- ISBN-104903342727
- ISBN-13978-4903342726
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商品の説明
著者について
名古屋大学名誉教授
登録情報
- 出版社 : 数学書房 (2013/4/15)
- 発売日 : 2013/4/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4903342727
- ISBN-13 : 978-4903342726
- Amazon 売れ筋ランキング: - 644,566位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,032位数学 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年5月27日に日本でレビュー済み
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2013年10月13日に日本でレビュー済み
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特殊関数の分野で世界をリードしてきた青本先生が著された直交多項式に関するとても面白く有用な入門書である。全16章からなる本書の前半の第10章までの主題はStieltjes測度(重み関数)に関する直交多項式系であり、後半の第11章以降のそれはCauchy 核のStieltjes測度による積分変換(Stieltjes変換)のPade近似とそれに深く関わる話題である。
前半部では、与えられた重み関数からモーメントを用いて直交多項式系を構成するGram-Schmidtの直交化法が説明され、直交多項式の基本的な性質である3項漸化式、Christoffel-Darbouxの公式、Gauss-Jacobiの数値積分公式などが第7章で解説されている。直交多項式の典型的な実例であるJacobi多項式を解説する第8章はとても面白く、第7章とともに前半部のハイライトといえる。
後半部で先ず注目すべきは、Stieltjes変換のPade近似(Jacobi-Perronアルゴリズム)に直交多項式が必然的に現れる、という重要な事実である。Pade近似が収束する為の条件(定理12.10)の解説が本書最大のハイライトといえる。Pade近似が収束する為の条件を極限点から導き、極限点であることと3項漸化式から定まるJacobi行列が自己共役であることとの同値性が示されている。この証明を述べる第13章がおそらく本書で最も難しい箇所であろう。その後、古典的直交多項式及びそのStieltjes変換の漸近展開や現在直交多項式の頂点に位置すると考えられているAskey-Wilson多項式などが紹介されており非常に面白い。
今後の読者を想定して、本書を通読して気付いた事を以下に少し述べてみたい。
先ず、本書の多くの問題および付録は本文の一部と見なすべきである。従って、読者は自ら手を動かしてこれらの問題を考え、計算や論理を追う必要がある。一方、第8章の問題などは初学者にはかなり難しいので、犬井先生の『特殊函数』などを適宜参照されると良いと思う。
次に、直交多項式に関する簡潔な解説が高橋陽一郎『実関数とFourier解析』の§3.6にあるので、ぜひ一読されることをお薦めしたい。本書の前半では重み関数から直交多項式系を構成するアプローチが解説されているが、古典的直交多項式をある2階微分作用素の固有関数として求めるアプローチもある。2階微分作用素が自己共役作用素になるように重み関数を求め、その作用素(Sturm-Liouville作用素)の固有関数として、重み関数を用いて直交多項式のRodrigues型表示が得られる事を知っておきたい。
最後に、Sturm-Liouville作用素の一般展開定理などで極限集合を既知の方にも、本書の後半の解説は非常に興味深いものだと思う。逆に、本書で極限集合を初めて学ばれる方には、小谷・俣野著『微分方程式と固有関数展開』などの現代的な入門書で、この美しい理論を学ばれる事をお薦めしたい。
直交関数を通して解析学の面白さを教えてくれる本書は、この分野の大家である青本先生ならではの好著であり、初学者にも経験者にもお薦めできる一冊である。
前半部では、与えられた重み関数からモーメントを用いて直交多項式系を構成するGram-Schmidtの直交化法が説明され、直交多項式の基本的な性質である3項漸化式、Christoffel-Darbouxの公式、Gauss-Jacobiの数値積分公式などが第7章で解説されている。直交多項式の典型的な実例であるJacobi多項式を解説する第8章はとても面白く、第7章とともに前半部のハイライトといえる。
後半部で先ず注目すべきは、Stieltjes変換のPade近似(Jacobi-Perronアルゴリズム)に直交多項式が必然的に現れる、という重要な事実である。Pade近似が収束する為の条件(定理12.10)の解説が本書最大のハイライトといえる。Pade近似が収束する為の条件を極限点から導き、極限点であることと3項漸化式から定まるJacobi行列が自己共役であることとの同値性が示されている。この証明を述べる第13章がおそらく本書で最も難しい箇所であろう。その後、古典的直交多項式及びそのStieltjes変換の漸近展開や現在直交多項式の頂点に位置すると考えられているAskey-Wilson多項式などが紹介されており非常に面白い。
今後の読者を想定して、本書を通読して気付いた事を以下に少し述べてみたい。
先ず、本書の多くの問題および付録は本文の一部と見なすべきである。従って、読者は自ら手を動かしてこれらの問題を考え、計算や論理を追う必要がある。一方、第8章の問題などは初学者にはかなり難しいので、犬井先生の『特殊函数』などを適宜参照されると良いと思う。
次に、直交多項式に関する簡潔な解説が高橋陽一郎『実関数とFourier解析』の§3.6にあるので、ぜひ一読されることをお薦めしたい。本書の前半では重み関数から直交多項式系を構成するアプローチが解説されているが、古典的直交多項式をある2階微分作用素の固有関数として求めるアプローチもある。2階微分作用素が自己共役作用素になるように重み関数を求め、その作用素(Sturm-Liouville作用素)の固有関数として、重み関数を用いて直交多項式のRodrigues型表示が得られる事を知っておきたい。
最後に、Sturm-Liouville作用素の一般展開定理などで極限集合を既知の方にも、本書の後半の解説は非常に興味深いものだと思う。逆に、本書で極限集合を初めて学ばれる方には、小谷・俣野著『微分方程式と固有関数展開』などの現代的な入門書で、この美しい理論を学ばれる事をお薦めしたい。
直交関数を通して解析学の面白さを教えてくれる本書は、この分野の大家である青本先生ならではの好著であり、初学者にも経験者にもお薦めできる一冊である。