本書は、金属学・冶金学を例に材料強度を議論する内容となっています。
私自身、最初は「あぁ、また、この手の類いか…」と思って、材料強度を学ぶには最近の本を探さないといけないなぁとも思いましたが、よく読むと、深い内容を丁寧に記述していることに気がつきました。ただし、決して、昨今ありふれている入門書ではなく、この本は材料強度の専門書です。
変形の基礎にある転位について、(言い方は悪いですが)くどいくらいに説明しています。数式も出てきます。最初に読んだ際には、途中の導出もなく数式が書いてあったので、おいおい…と思いましたが、よく読むと、確かに物理的な意味を考えさせられる内容です。
おそらく、本に書いてある例は既に古い知識なのでしょうが、その根っこにある考え方は今でも通用するように感じました。
もしかすると、この本は今どきの売れる本ではないかもしれません。でも、確かに材料強度について考えるための良書です。
強いて言えば、値段。それに組版のスタイル。ただし、これらは営業的な内容なので、評価とは切り離したいと思います。
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