コメントの第１に、新しい小売マーケティング論である。需要を生み出すためには希望の創出が必要であり、希望を生み出す核となるのが「希望ジェネレータ」である。小売業は、希望ジェネレータを、生活者視点でとらえマーケティングを行わなければならない。希望ジェネレータはライフステージごとに変化するという仮説に基づいて、北海道のコープさっぽろ西宮の沢店で、ライフステージコーナーを設けて大掛かりな実験を行い、一定の成果が得られたプロセスが面白く紹介されている。ただし、図表が細かすぎて見えずらいのが難点である。
第２に、豊橋の食品スーパー「サンヨネ」の大事な遺伝子は、生産者・メーカーとの密接な共同体制であり、生産者を豊かにし、消費者の声を彼らに伝え、質の高い商品の生産意欲を高め、生活者ニーズに対応している経営理念に共感を覚える。
第３に、経験価値マネジメント、コトラーのマーケティング３．０、カストマーリレーションシップ・マネジメントなどの新しい話題もわかりや説明されている。オムニチャネル・マーケティングも取り上げられているが、果たしてオムニチャネルは、顧客満足と社会利益の両立にどのような影響を及ぼすのかも考えさせられた。
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