消費者にとっては便利な時代になった。スマホが普及し、その日のうちに配達してくれるサービス。そして、24時間営業していて、公共料金の支払いも出来るコンビニ。普段、何気なく使っているこのようなサービスを誰が担っているか考えたことはなかった。どれだけ大変な思いをしている人がいるのかということも。
この本を読んで、コンビニ本部とフランチャイズ契約した個人オーナーが、人たるに値する生活を送れない状況になっても、契約を盾に年中無休で働かされている事実を初めて知った。また、会社の利益を守るためにはあらゆる手段を使ってオーナーを潰しにかかる企業側の闇と、これを追認する不当な判決を言い渡した裁判官たちの実態にも驚かされた。
これからコンビニのオーナーとして起業しようと考えている人はもちろん、普段何気なくコンビニを利用している人も一度は本書を手に考えてほしい。セブン元オーナーが裁判闘争に至る経緯をはじめ、登場人物たちの人柄や裁判での主張なども丁寧に描かれており、専門的な知識がなくても読める構成になっている。著者の綿密な取材の努力が伺える一冊だと思う。