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松陰私語 (史料纂集 古記録編) 単行本 – 2011/6/25


『松陰私語』は、上野国新田荘の新田岩松家純(源慶)の顧問僧松陰が、家純重臣の横瀬国繁らと協力し、鎌倉公方(後に古河公方)足利成氏と関東管領上杉氏(幕府支援)が対立抗争する十五世紀後半の享徳の乱の渦中をかいくぐってきた体験を記した回想録である。年老いて一線から退いて、新田岩松氏が家純の没後に内紛で分裂・抗争し勢力を失っていく姿を見て、過去の栄光の時代を亀鏡として示したいという松陰の意図から「新田岩松家記」として執筆されたものである。儒教の教えの五常(人・義・礼・智・信)にちなんで五巻構成をとり、『貞観政要』などの中国古典をふんだんに引用しながら叙述している。応仁の乱に先行して行われたこの乱は、東国戦国時代の開幕であり、この乱を記した貴重な同時代記録といってよい。五巻のうち第三巻は目録を残して本文は欠落している。
 原文は存在せず、一巻は新田義純旧蔵本、三から五巻は宮内庁書陵部本(新井白石書写)写本を定本にして他の諸本との比較校合も行っている。従来の翻刻は『続群書類従』や『群馬県史』(史料編中世一)などでなされているが、今回は徹底した翻刻作業と丹念な傍注記載、豊富な解題・解説によって読者の便宜を図っている。

松陰は、新田松陰軒とも称していることから新田岩松一族の出自とも考えられるが、詳細は不明である。記録中では成福寺とも称しているので、新田荘内外の成福寺の住持と考えられるが、この寺の所在は不明である。晩年の文亀三年(一五〇二)に世良田長楽寺の住持として長楽寺文書に記載されている。松陰の位牌と墓所は、本庄市東五塚の蔵国寺(長楽寺末)にあり、ここで没したと考えられる。江戸時代に松陰私語原本はこの寺にあったと記されている。

『松陰私語』の特色
 『松陰私語』は、古河公方足利成氏方やそれに対抗する関東管領上杉方の勢力分布や軍編成などが詳細で、享徳の乱に関する基本的史料である。新田岩松家純の父は、上杉禅秀の乱で没落した満純で、父没落後に幼児期に遁れて僧となり、将軍足利義教に召し出だされて享徳の乱で関東に降り新田荘を回復した。この記録はこの過程で京都・関東の政治権力の有様が詳しく叙述されていて興味深い。また文明元年(1469)の金山城築城記を始め、攻防が繰り返された上野・下野・武蔵各国の城郭や陣所についての記載が豊富で、城郭史研究に寄与するところ大である。さらに、動作などを表する当時の言語が漢字の宛字で表現しており、言語史上でも注目される。この用語法については解説でリスト化している。

商品の説明

著者について

1933年群馬県生。東京都立大学名誉教授・(前)東京都立大学附属高等学校校長・(前)中央大学教授 博士 (文学)慶応義塾大学。日本中世史研究者。  『中世の東国ー地域と権力ー』(1989年 東京大学出版会)  『中世災害と戦乱の社会史』(2001年 吉川弘文館)  『長楽寺永禄日記』(編著)(2003年 続群書類従完成会)    『新田義貞』(2005年 吉川弘文館)  『中世東国の荘園公領と宗教』(2006年 吉川弘文館)  『中世社会の一揆と宗教』(2008年 東京大学出版会)  『中世荘園公領制と流通』(2008年 岩田書院)  『中世の合戦と城郭』(2009年 高志書院)  『足利尊氏と直義』(2009年 吉川弘文館)  『日本中世の社会構成ー階級と身分ー』(2010年 校倉書房)  『太平記の里ー新田・足利を歩くー』(2011年 吉川弘文館)

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 八木書店 (2011/6/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2011/6/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 293ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4840651612
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4840651615

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