この本は法律に関する学術的な博士論文を本にしたものである。そのような素性の本は一般的には難解で読みにくいものではあるが、この本の場合は問題点が良く整理され適切な言葉で説明されているので読み易い。途中に冗長な箇所があまり無いのも、読み易くしている一因だろう。本というかたちで出版して一般の人々に読んでいただくに耐える価値あるものと思われる。
著者は、日本商標法と欧州商標指令とを比較分析しながら、商標権者以外の人による商標自体の使用そのものではなく商標「的」使用に関する商標法の曖昧性などの問題点を指摘している。博士論文としてはこれでよいのだが、いっそのこと、新しい法律条文「試案」を提示してみたら、「本」としてはもっと刺激的なものとなったかもしれない。
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