まず思ったのはタイトルに偽りありということ。NGO の話はほとんど出てこない。単に同社から出されている他のシリーズ本に合わせた安易なネーミングのようである。
またまた「脱開発」であるが、どうも『脱「開発」の時代』あたりの言葉をそのまま使っているように見受けられる。内容的には『脱「開発」の時代』が指摘する戦後の modernization、西欧化を「開発」と定義することへの反発と、文化の多様性を認めた「開発」のあり方の多様性、という論議のように思えるが、どうもそうして「開発」を定義し直しておきながら、編者一人が「結」で「開発そのものが悪」などと結論づけていたりして、どうも違和感がある。
それともうひとつ。modernization や communism
における単一のゴールへ向かった社会進化論的開発観を否定しているが、まあそこは同意できるとして、読んでみると編者も、その他の著者も、相変わらず社会進化論を信じているように見える。文化の多様性との関わりで言えば、各文化的な背景に応じてそれぞれに進化している、といったような。これは進化論で言えば例えば鳥と魚が独自に進化してきているのと同じで、ある文化を鳥、ある文化を魚に喩えれば、社会進化論の域を抜けていないように思えるのだが。開発を経済と言う指標だけで測るのは良くない、といいつつも、どうも多様な文化的背景においての経済発展をそのまま「開発」と考えているような気がしてならない。
ゲスト?のティエリ・ヴェルヘルスト氏の発言がさすがに光っているが、それでもこの本にこの金額は高い。
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人類・開発・NGO: 脱開発は私たちの未来を描けるか 単行本 – 1997/10/1
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社新評論
- 発売日1997/10/1
- ISBN-104794803761
- ISBN-13978-4794803764
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
宗教学者山折哲雄ら日本の見識者と国際NGOの代表者が「開発と文化」のあり方を徹底討論。合わせて各分野の5人の専門家のそれに応える迫真の論文を掲載。開発とは、進歩とは何か。それに応える文化とは…。
登録情報
- 出版社 : 新評論 (1997/10/1)
- 発売日 : 1997/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 272ページ
- ISBN-10 : 4794803761
- ISBN-13 : 978-4794803764
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,723,678位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,016位NGO・NPO (本)
- - 2,420位社会と文化
- - 35,169位社会学概論
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