本書の原題は、“In the Wake of the Plague: The Black Death and the World It Made”というもので、直訳すると『疫病流行の後に 黒死病とそれがつくった世界』といったところだろうか。著者は、中世ヨーロッパが専門の歴史家である。で、本書は、その著者が、黒死病が主にイングランド(イギリスではなく、イングランドである)にどのような影響を与えたか、についてまとめたものである。
本書において黒死病は、13世紀に起こった、ヨーロッパ文化に大きな影響を与えた一つの事件として扱われており、その事件、つまり黒死病そのものがどのようにヨーロッパの諸都市を覆ったかということについては、ほとんど記述されていない。たとえば、黒死病によって亡くなったとされる数学者であり哲学者であったトマス・ブラッドワーディーンについては、その業績と思想について連綿と綴っているだけだし、そのほかにも当時の紳士階級未亡人がいかに保護された階級であったか、あるいは農地の価格や登記制度、コモンローといった解説が延々と続く。おまけは、黒死病の原因が宇宙から降ってきた「宇宙塵」にあるという仮説を大まじめに取り上げていたりといったぐあいである。
書名から想像する内容ではないし、全体に扱っている地域がヨーロッパのごく一部、主にイングランドだけというのもあって、残念ながらとても退屈な本である。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
黒死病: 疫病の社会史 単行本 – 2002/10/1
- 本の長さ265ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2002/10/1
- ISBN-104791759974
- ISBN-13978-4791759972
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
中世ヨーロッパ人口の約4割を死に至らしめた人類史上最大の疫病・黒死病。現代の歴史学・医学の観点から疫病流行時の社会状況を分析、農民から王侯貴族までの人間ドラマを織りまぜ、人類を脅かした感染症流行の実態に迫る。
登録情報
- 出版社 : 青土社 (2002/10/1)
- 発売日 : 2002/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 265ページ
- ISBN-10 : 4791759974
- ISBN-13 : 978-4791759972
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,001,680位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,518位医学
- - 2,718位ヨーロッパ史一般の本
- - 44,442位医学・薬学・看護学・歯科学
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.2つ
5つのうち4.2つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。