(1) 本書は、PART 1の問題提起、PART 2の方法論、そしてPART 3の本質追求的方針を示す。全体12章群にわたり、奥深い解析の広い裾野をもつ、仰ぎ観る堂々たる高峰だ。武者震いを感じる読書登攀行だ。
(2)中でも、私が感じる本書の芯は、「第8章 超目標 人類を導く北極星」だ。「過去2千年の間に哲学思想がもたらした最大の発見の一つは、人間は、人生に目的と方向性を与えてくれる意味のある未来の目標に向かって努力することで成長するということだ」。
ここでは、ギリシア哲学者のアリストテレス、およびドイツ哲学者のニーチェの箴言をあげる。かつ、アウシュビッツの生存者、実存的心理学者で、名著「夜と霧」の著者ヴィクトール•フランクリンがいう「具体的任務」を示す。すなわち、「自己を超越した未来のプロジェクトや理想に身を捧げることで、人間は意味を見出すことができると考えた」。
古代ギリシア哲学は、「この究極の目標や目的を『テロス』と呼んだ」。そして、「テロスは、私たちの思考や行動の羅針盤として機能し、可能性の大海から何を選択すべきかを教えてくれる」と、操舵アナロジーとしてテロスをイメージ化する。
(3)テロスという言語概念は、脈々と人類進化史観において、「よき先祖の大航海」のよき羅針路となる。そして、「最終第12章 グッド•アンセスターへの道」の最終段落で、こう引き締める。「時間との関係の変化を振り返り、自分の残せる遺産を思い浮かべ、138億年という広大な宇宙の歴史の中で自分の人生がほんの一瞬であることの意味を深く考えるとき、私たちは『今、ここ』」を超える旅を始める。じんの文化の進化に新たな息を吹き込み、グッド•アンセスター、よき祖先への道を歩み始めるのだ」。
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グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか 単行本(ソフトカバー) – 2021/9/8
ローマン・クルツナリック
(著),
松本 紹圭
(翻訳)
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・朝日新聞(2022年8月4日・5日)/折々のことば)
・朝日新聞(2022年1月1日/著者ローマン・クルツナリック氏インタビュー)
・日本経済新聞(2021年11月20日/宇野重規氏)
・東京新聞・中日新聞・西日本新聞(2021年11月6日・11月7日・11月20日/菅原琢氏)
・NHKラジオ『マイあさ! 』(2021年10月14日/中江有里氏)
・毎日新聞(2021年10月2日/中村桂子氏)
オードリー・タン(台湾デジタル担当大臣)推薦!
「短期思考」から「長期思考」へ――。
未来の子孫にとって「よき祖先」となるために、私たちは今、どう行動すべきか?「ディープタイム」の視点をもって生き、未来世代を考えた社会創生に取りくむ必要性を、イギリスの気鋭の文化思想家が具体例をあげながら説く。世の中を良くしていこうと考える政治家、企業人、全ての人達のテキストとなる1冊!
SDGs関連書。
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未来の子孫にとって「よき祖先」となるために、私たちは今、どう行動すべきか?「ディープタイム」の視点をもって生き、未来世代を考えた社会創生に取りくむ必要性を、イギリスの気鋭の文化思想家が具体例をあげながら説く。世の中を良くしていこうと考える政治家、企業人、全ての人達のテキストとなる1冊!
SDGs関連書。
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社あすなろ書房
- 発売日2021/9/8
- 寸法15 x 2.3 x 21 cm
- ISBN-104751530704
- ISBN-13978-4751530702
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商品の説明
著者について
ローマン·クルツナリック
1971年生まれ。イギリスの文化思想家。オックスフォード大学で政治社会学の博士号を取得後、ケンブリッジ大学とシティ大学ロンドンで社会学と政治学を教え、中央アメリカで人権活動に携わった。オブザーバー紙で「イギリスの傑出したライフスタイルの哲学者」と称された。邦訳に、『仕事の不安がなくなる哲学』(イースト·プレス)『生活の発見――場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅』(フィルムアート社)『共感する人――ホモ·エンパシクスへ、あなたを変える六つのステップ』(ぷねうま舎)がある。
松本紹圭(まつもと しょうけい)
1979年、北海道生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。現代仏教僧(Contemporary Buddhist)。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leader。2010年、ロータリー財団国際親善奨学生としてインド商科大学院(ISB)でMBA取得。2012年、住職向けのお寺経営塾「未来の住職塾」を開講し、以来9年間で700名以上の宗派や地域を超えた宗教者の卒業生を輩出。
1971年生まれ。イギリスの文化思想家。オックスフォード大学で政治社会学の博士号を取得後、ケンブリッジ大学とシティ大学ロンドンで社会学と政治学を教え、中央アメリカで人権活動に携わった。オブザーバー紙で「イギリスの傑出したライフスタイルの哲学者」と称された。邦訳に、『仕事の不安がなくなる哲学』(イースト·プレス)『生活の発見――場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅』(フィルムアート社)『共感する人――ホモ·エンパシクスへ、あなたを変える六つのステップ』(ぷねうま舎)がある。
松本紹圭(まつもと しょうけい)
1979年、北海道生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。現代仏教僧(Contemporary Buddhist)。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leader。2010年、ロータリー財団国際親善奨学生としてインド商科大学院(ISB)でMBA取得。2012年、住職向けのお寺経営塾「未来の住職塾」を開講し、以来9年間で700名以上の宗派や地域を超えた宗教者の卒業生を輩出。
登録情報
- 出版社 : あすなろ書房 (2021/9/8)
- 発売日 : 2021/9/8
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 320ページ
- ISBN-10 : 4751530704
- ISBN-13 : 978-4751530702
- 寸法 : 15 x 2.3 x 21 cm
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- - 2,214位倫理学・道徳 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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5つのうち4.3つ
67グローバルレーティング
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2022年3月28日に日本でレビュー済み現代は秒~年単位の投資,SNS,政治に気を取られ、地球環境を持続的にする数百年~の思考(どんぐり脳)がない。
そこに対抗する長期思考の6分類を紹介する。
・ディープタイムの慎みー宇宙の歴史の中で瞬き程度の時間しか生きていない人類
・レガシー・マインドセットーどうすれば良い記憶を残せるか
・世代間の公正ー第7世代を敬う理由
・大聖堂思考ー遠い未来への計画術
・全体論的(ホリスティック)な予測ー文明社会の長期的な道筋
・超目標ー人類を導く北極星
印象的な例:レガシーとしてファカパパの知恵、デス・ナッジの活用、世代間公正(7世代)の道徳視点(矢、天秤、目隠し、バトン)、危機によって発動する急進的長期計画(ロンドン大悪臭)、テクノ脱出/テクノ分裂/テクノ修繕のシナリオ。
実践的展望:未来の守護者(将来世代の権利化)による政治参画、再野生化(回帰ではなく生態系連鎖を再開)、よき祖先の価値観を教育と宗教の力で再興。
平易な語り口なので、読みやすい(翻訳の方も意識されているのだろう)。
ただ、入門的側面が強いのか、主張としては概論的で、かなり薄められているような印象も受けた。
いずれにせよ、どんぐり脳が社会へ浸透していくことを期待したい。
- 2023年11月6日に日本でレビュー済みAmazonで購入今やちょっと先の未来だけを考えるのではなく、200年後の子孫を考えたとき、今どんな行動をするべきか考えさせるとても良い本でした。7世代後の子供たちに良かったと思ってもらえる行動を取りたいと思います。
- 2021年10月1日に日本でレビュー済みAmazonで購入グッド・アンセスター。よき祖先。本書の英語の副題はHow to think long term in a short-term World。
私たちの日常というのは、瞬間瞬間、短期主義の危険に晒されている。本当に「急かつ要」なものもある一方で、個人の1-click症候群から、人類存続を揺るがすものまで、超「今」主義とでも呼ぶような近視眼的行動が引き換えにしているものは、小さくはない。
短期思考に覆い尽くされた世界の中を生きる私たちは、いったいどうやったらもっと長い時間軸で、物事を考えられるようになるのだろう?
せわしない我々の営みを、目に見えない最大派閥・・・将来、この世界を生きることになる人たちは、どんな思いで見守っているのだろう?
著者は、長きに渡って「共感」についての研究を続ける中で(「Empathy (共感)」という著作もある)、現前する違いを越えようとするアプローチのみならず、「今ここ」を見える形では共有していなくとも、確実に共に存在している未来世代(フューチャー・ジェネレーション)と、時空を超えていかにして共感するかということを思考してきたそうだ。その中で見つけた、今と未来を繋ぐ架け橋は、「共感」に加えて、世代間の公正や先人の視点などの概念だったとのこと。
この本は、その思索が、3パート構成で、豊かに語られている。
パート1は、脳みその中で起こっている、短期主義と長期主義の綱引きの仕組みについて。いつだって簡単に目先のことに持っていかれてしまう私たちの中にも、確実に長期思考できる力ーどんぐり脳が眠っているという。パート2では、その「眠れる力」を解き放つ6つの方法が、悠久の時間/ディープタイムの時間感覚への誘いを皮切りに、哲学や人類学、神経科学やアート、政治学まで、多数の事例を引いて語られる。続くパート3で、この6つの方法がいかに実践されているかを、政治・経済・文化のカットで見ていく。
・
この訳書は、イギリスの文化思想家と日本の現代仏教僧がAncetorsで繋がり、この世に顕れることとなった。そして訳者が、翻訳の最中、台湾担当デジタル大臣/オードリー・タン氏に出会い、投げかけた「これからの人類にとって、本質的に重要な問いは」という本質的に重要な問いに、「どうしたら、よき祖先になれるのか、ということです」と奇しくもAncestorsが届けられたというから、単なる偶然と思えない。そして、このレビューのタイトルにも引いた「よき祖先であろうか」は、ウィルス学者であるジョナス・ソークの人生哲学だとのことで、不思議な巡りを感じる。
「先祖」ではなく「祖先」。この訳語は、日本語を母国語とする私にとって、この本との距離をぐっと縮めてくれるものだった思う。
というのも、「先祖」という言葉にはどうしても日本の「家」や「血縁」のイメージがついて回る。家族の在り方も多様になる中、「祖先」という訳語は、そんな不自由さみたいなものから解放してくれる言葉のように感じる。全編に渡るタイムトラベル/スペーストラベルへの没入を、「祖先」という言葉がスムーズに導いてくれたようにも思う。
訳者あとがきには、訳者にとって、この本を翻訳するという行為が「自分なりに起こした『よき祖先』になる一つのアクションだったのだと思う」とある。
「本書の観念をどのように受け止め、各自の持ち場で具体的な行動へとつなげていくのか」との読者への投げかけを持ってあとがきは結ばれているが、私がこのレビューを書くことは、もしかすると私にとってのそれに当たるのかもしれない。
・
宇宙船地球号に乗る全乗組員は、望むと望まざると、一蓮托生。
今を生きる私たちは、誰一人逃れようなく、未来の祖先となる仲間。
go fast, go alone. go far, go together. 遠くへ行くなら、みんなで。
よき祖先を目指そうとする、わたしたちは、どう生きるか。
先人たちがそうであったように・・・先の見えない世界の中にあっても、それぞれの持ち場から、未来の世代を思い、歩みを進めようとする、たくさんの仲間たちに、この本が届きますように。
- 2021年10月7日に日本でレビュー済みAmazonで購入私たちはなんと短期思考のサイクルの中で生活しているのだろう!
すぐに購入ボタン、株式市場の頻繁な売買、政権維持のために繰り返えされる組閣。
100年目標を掲げた国に到底たちうちできないだろう。
日ごろ燻っていた曖昧な疑問に回答を得たような充実した内容でした。私がそうであるように、本書は読者一人一人にかけがいのない気付きを与えてくれるでしょう。
翻訳者の松本紹圭さんのこれからにもワクワクします。
- 2021年10月16日に日本でレビュー済みAmazonで購入人間は「マシュマロ脳」と「どんぐり脳」を持ち合わせている、と著者は主張します。前者は短期の利益を求める脳、後者は(どんぐりを植えて木に育てるという意味での)長期的な利益を求める脳です。そして我々は(本書では特に西欧社会の人々を念頭に置いていますが)マシュマロ脳が不均衡なまでに大きくなっているので、どんぐり脳の大事さを改めて認識すべき、というのが本書のキーメッセージです。
率直な印象ですが、短期志向から長期志向へ、というメッセージ自体は特に目新しさはないです。また長期志向になるためのティップスとして「ディープタイムの慎み」「レガシー・マインドセット」「世代間の公正」「大聖堂思考」「全体論的な予測」「超目標」というカテゴリーで説明されていましたが、初めて聞く話も多かったとはいえ、特に目からうろこというような感じではありませんでした。
本書の中で非常に重要だと感じたのは、いま存在していない未来の世代をどう意思決定の場に取り込むのかという視点です。これは啓蒙の新フェーズに入ったということだと私は理解しました。つまり18世紀以降の啓蒙活動では、奴隷解放や女性参政権など「いま存在しているが政治的参画が認められていない人々を包摂する」という活動が行われたわけです。これはのちの植民地解放運動にもつながります。しかしこれはあくまで空間的な啓蒙活動でしたが、いままさに起きつつあるのは「時間的な啓蒙活動」だということです。何らかの政治的意思決定をするさいに、「いまは存在していない未来世代」をいかに意思決定プロセスの中に包摂するのか、未来世代を奴隷か植民地のように扱って搾取している状況をどう解消すべきか、という課題が提示されていると感じました。その意味で気づきは多かったです。
最後に、少し違和感を持ったことがあり、それは著者の時間概念の解釈です。著者は「いま、ここ」思考を脱却すべき、これこそが短期志向の象徴であると述べていますが、これは浅い思考だと思います。日本を見ると、加藤周一氏が指摘しているように、日本はまさに「いま、ここ」文化の国になるわけです。しかし日本は短期志向ではない。加藤氏が指摘しているように「時間の分節化が難しく、いまの連続で時間が流れて」いて、イエの存続にあるようにむしろ長期志向文化を持っています。つまり「いま、ここ」と長期志向は両立しうると考えますが、やはり西欧の人はこのあたりの感覚が乏しいのかな、「イチかゼロか」になってしまうのかな、という印象を持ちました。この手の本は西欧知識人ではなく、むしろ訳者のような僧侶や東洋の哲学者に書いてもらった方が説得力は大いにあるのに、と思いました。
- 2022年4月3日に日本でレビュー済み地球規模の課題が蔓延する現在において、個人の人生を越えた時間軸で世界を捉えて行動するため、ディープタイムの視点が必要なのである。長期思考により世代間の公正さをどのようにつくるかである。公正さは罪の意識ではなく感謝の気持ちを持つことにより可能となる。そしてテクノロジーを如何に使うのかが大事なのである。どんな状況にあっても、その時代のパラダイムのなかで、精一杯考えて行動した人たちがいたこと、彼ら/彼女らから受け継いでいるものがあることを忘れてはいけない。過去世代に願われた人としてぼくたちも「Life is good」を生きて、よりよき祖先であることを願うなかで、自分なりの発想で社会の課題に取り組むことが大事なのである。