彫刻家って材料が銅などの貴重な資源なので
翼賛的な団体に入って配給を受けるしかなかった
しかも何かを作るにしても干渉を受けるわけである
軍人の像などの戦意高揚ものが多かった
ただ作品を売って売り上げを寄付するという献納だと
売れる作品がいいので自由度はあがったようだ
また他の分野の芸術家とか文学者ともコラボしたりする
さらには積極的に戦争協力に邁進するんだが
そのやり方、というのが彫刻家独特である
例えば航空機部品の木型の制作修理をおこなったとか
すぐに熟練の職人にも匹敵する腕になったという。流石w
しかも工場に一職人として働きに行く、という例だけではなく
アトリエを木型工場にして会社組織に近いものを作ろうとした例もあったという
そういう意味では活躍の場が広がったな、というところも
さらには炭鉱とかにいって、鉱夫や作業員の像を造る
そういう活動も終戦間際にはおこなっていたそうだ
作業員と芸術家が一緒に像を造るという取り組みもあった
あの頃の夕張を求めて 採炭救国 坑夫の像
http://tabigeinintomato.blog.fc2.com/blog-entry-131.html
採炭救国坑夫像(進発の像)/そらち 産業遺産と観光
http://www.sorachi.pref.hokkaido.jp/so-tssak/html/parts/10saitannkoufu.html
また義足になった傷痍軍人が踊る様子の作品があって
それにまつわる傷痍軍人の社会復帰の取り組みの話もあった
別に障害者福祉の本、というわけではないのだが
一見へんてこな作品の背景にはすごいドラマがあった、という話である
社会と芸術がどう関わるか、ということを論じている人なので
否応なく芸術が社会に歩み寄らざるを得なかった時代において
まあそれなりに実りのある部分もあったんじゃないの、という感じ
高村光太郎の敗戦後の発言を引いて無邪気過ぎじゃね、とも
戦後のごたごたの話もちょっとあるのだが
八紘之基柱の話があって、平和の塔ってしてそこで解決してしまう辺り
なんとも緩いな、と思う。善し悪しの問題ではないだろうが
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彫刻と戦争の近代 (歴史文化ライブラリー 365) 単行本 – 2013/6/20
平瀬 礼太
(著)
戦争イメージから、平和のシンボルへ…。戦時体制下、戦争関連作品を創り続けた彫刻家の苦難の歴史から、近代日本彫刻の変容を描く。
- 本の長さ189ページ
- 言語日本語
- 出版社吉川弘文館
- 発売日2013/6/20
- ISBN-10464205765X
- ISBN-13978-4642057653
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商品の説明
著者について
1966年千葉県に生まれる。1990年京都大学文学部哲学科美学美術史学科卒業。現在、姫路市立美術館学芸員。 ※2013年6月現在 【主な編著書】『コレクション・日本シュールレアリズム 16 米倉寿仁・飯田操男』(本の友社、1999)、『戦争と美術 1937-1945』(共著、国書刊行会、2007)、『銅像受難の近代』(吉川弘文館、2011)
登録情報
- 出版社 : 吉川弘文館 (2013/6/20)
- 発売日 : 2013/6/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 189ページ
- ISBN-10 : 464205765X
- ISBN-13 : 978-4642057653
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,112,672位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 74,058位歴史・地理 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年7月30日に日本でレビュー済み
2013年6月26日に日本でレビュー済み
平瀬礼太さんの視点は、ミクロ的でもあり、かつ俯瞰的なところがとても興味深い。膨大な史実の断片が紹介されるが、読んでいくうちに創作と表現をめぐる人間模様がかいまみえてくる。まるで、F・ワイズマンの映画のようだ。
この本も、自分がどこへ連れて行かれるのか読めないからこそ面白い。戦争の時代をあつかったという意味においては、前著『銅像受難の近代』や『戦争と美術』と重なる部分はあるが、彫刻というメディアならではのエピソードが面白く、その点で成功している。
本書によれば、日本において彫刻は微妙な存在だったようだ。単なる置物と断じられたかと思えば、あるときは美術として、そして、戦時中は戦意高揚の表現としても機能した。奥深いというべきか、変貌自在というべきか。とにかく、純粋芸術の確固たる地位を獲得しなかったからこその変遷のドラマが面白い。それにしても、「八紘之基柱」の塔が、戦後は「平和の塔」と名を変えただけで、今もそのまま同じ場所に立っているだなんて…。
この本も、自分がどこへ連れて行かれるのか読めないからこそ面白い。戦争の時代をあつかったという意味においては、前著『銅像受難の近代』や『戦争と美術』と重なる部分はあるが、彫刻というメディアならではのエピソードが面白く、その点で成功している。
本書によれば、日本において彫刻は微妙な存在だったようだ。単なる置物と断じられたかと思えば、あるときは美術として、そして、戦時中は戦意高揚の表現としても機能した。奥深いというべきか、変貌自在というべきか。とにかく、純粋芸術の確固たる地位を獲得しなかったからこその変遷のドラマが面白い。それにしても、「八紘之基柱」の塔が、戦後は「平和の塔」と名を変えただけで、今もそのまま同じ場所に立っているだなんて…。