日本鳥学会の設立100年を記念して、学会の歩みと、明治以降の日本の鳥類を取り巻く出来事を、主要な研究者に焦点を当てて豊富なエピソードとともに綴っている。
長く続く「花鳥画」の伝統もあり、日本人はかなりの「鳥好き」であると思っていたので、日本鳥学会の設立から「まだ100年」という感想を持った。
日本の鳥学の創世記が、いわゆる「お殿様（皇族・貴族など）」に支えられていたというのも、改めて知った。
今私達がほとんど常識として知っている托卵、渡りといった鳥の生態も、研究者の地道な調査の結果明らかになったことである。
最近の「トキの復活」のニュースはまだ記憶に新しいが、本書で大きく取り上げられているとおり、日本には絶滅の危機にある鳥は他にもたくさんいる。
さらに、これまで身近すぎて保護の対象にはなってこなかったスズメやツバメですら、大きく数を減らしているという調査結果も紹介されている。
これまでの100年は、日本の鳥たちにとって、自然環境的にも社会環境的にも、決していい時代とは言えなかったのではないか。
これからの100年、またその先も、社会の努力によって、貴重な仲間である鳥たちと共に生活していきたいと願う。
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