本書は全五章から成り立っており、序章と終章が伝記や歴史的位置づけ、中の三章がショーペンハウアーの哲学の要約となっている。だがもちろん、哲学については直接ショーペンハウアーの書を読むのが一番だし、これだけのページ数で要約できるものではない。だから本書で注目すべきところは、序章と終章ということになる。そこでは少ないページ数で中身の濃い文章を書くことに成功している。特に、冒頭の三行はこのフランス人筆者のショーペンハウアーに対する熱意が感じられる。
《ショーペンハウアーは、混乱を引き起こす。ヘーゲル哲学と精神の進歩という弁証法への信仰とが全盛を誇っていたその時期に、哲学の国家的殿堂に押し入った、この妥協を知らない孤立した思想家は常に、多かれ少なかれ、周縁的存在であると同時に偶像破壊者であるとみなされている。》
そして終章では、彼がどれだけ多くの哲学者や作家に影響を与えたのかということを説明している。さすがにフランス人の名前がたくさん出てくる。ゾラ、モーパッサン、カミュなどフランス文学に欠かせない作家たちは、ショーペンハウアーに恩恵を受けていたことがわかった。
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ショーペンハウアー (文庫クセジュ 749) 新書 – 1994/7/1
エドゥアール サンス
(著),
原田 佳彦
(翻訳)
カント、プラトンに加えて古代インド思想に沈潜し、そのペシミズムによって十九世紀末ヨーロッパに衝撃をあたえた意志の哲学者ショーペンハウアー。果敢にへーゲルに挑み、ニーチェ、フロイトへと受けつがれたショーペンハウアーの豊かで独創的な哲学を、新たな世紀末にあたって読み直す刺激的な試み。
- 本の長さ165ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日1994/7/1
- ISBN-104560057494
- ISBN-13978-4560057490
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登録情報
- 出版社 : 白水社 (1994/7/1)
- 発売日 : 1994/7/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 165ページ
- ISBN-10 : 4560057494
- ISBN-13 : 978-4560057490
- Amazon 売れ筋ランキング: - 826,692位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 277位文庫クセジュ
- - 720位ドイツ・オーストリアの思想
- カスタマーレビュー:
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2007年5月8日に日本でレビュー済み
よく「ペシミズム」の形容とともに語られる哲学者・ショーペンハウアー。その人となりから哲学の内容、現代的意義まで言及した一冊。その哲学を紹介する1章から4章までは、それでもそれなりに難解な部分もあり、評者のような初学者が読み進めるには一定の忍耐力を要するが、終章まで読み通すことができれば、ショーペンハウアーの「意志の哲学」に対してある程度のイメージを結ぶことができるだろう。知性は意志に従属し、人間の意志は世界の意志に従属するというそのテーゼの影響力は、想像以上に大きい。それは、大いに現代性を有する知的遺産なのである。
ショーペンハウアーの哲学はおそらく、当人のそれに対する認識や実際の生き様とはまた違った形での読まれ方へと、開かれるべきものなのであろう。
ショーペンハウアーの哲学はおそらく、当人のそれに対する認識や実際の生き様とはまた違った形での読まれ方へと、開かれるべきものなのであろう。
2005年7月6日に日本でレビュー済み
ショーペンハウアーをドイツの孤独な厭世哲学者としてではなく、
現代にまでその意義を持つものとして彼の思想を捉えるフランス人
による一書。彼の文章の簡明、思想の普遍性・魅力を簡潔かつ
わかりやすく紹介する好著である。
ニーチェも最終的に「誰にも隷従することのなかった」とショーペン
ハウアーを賞賛している。
現代にまでその意義を持つものとして彼の思想を捉えるフランス人
による一書。彼の文章の簡明、思想の普遍性・魅力を簡潔かつ
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ハウアーを賞賛している。