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検証 日本の「失われた20年」 単行本 – 2015/5/29
船橋 洋一
(著)
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日本の「失われた時代」の原因として、次の5つが指摘できる。
その第一は、「最優先課題」と「損切り」の先送りである。これは、バブル崩壊後、金融機関が背負い込んだ不良債権の処理をめぐって典型的に表れた。
第二は、部分最適と全体最適のトレード・オフを克服し、全体の利益を追求する国家戦略を打ち出せなかったことだ。政府が重要な決定を下すにあたって、全体最適解を下そうとする際、それに抵抗する政治力の強い組織的ストレスを克服できず、その組織の部分最適解を優越させてしまう。このことは、国家課題に関する明確な政策優先順位を設定し、それを容赦なくかつ効果的に追求し、実現する意思と能力の不在とリーダシップの不在を示している。
第三は、既得権益層の岩盤構造である。これは、既得権益層がインサイダー集団を形成し、そこで手にするレント(過剰利潤)を守るために改革に抵抗する政治的に強固な構造のことである。
第四は、政府も企業も「成功体験の虜」になったことだ。グローバル化とIT化と新興国の台頭と挑戦という新たな環境の下でも、日本企業の多くは高度成長期のビジネス慣行を維持し、それにしがみついていた。
最後の第五は、官民問わずに危機意識が不十分だったことだ。日本の危機感の乏しさは、この間に深まった日本人の悲観主義の高まりと著しい対比を成している。そうした危機感なき悲観論の傾向は二一世紀初頭にはすでに明瞭に表れていた。
これら五つの原因のうち、部分最適解と全体最適解のギャップにこそ、日本の「失われた時代」の本質がある。
日本の「失われた時代」の行方は、世界に大きな意味を持つだろう。
その第一は、「最優先課題」と「損切り」の先送りである。これは、バブル崩壊後、金融機関が背負い込んだ不良債権の処理をめぐって典型的に表れた。
第二は、部分最適と全体最適のトレード・オフを克服し、全体の利益を追求する国家戦略を打ち出せなかったことだ。政府が重要な決定を下すにあたって、全体最適解を下そうとする際、それに抵抗する政治力の強い組織的ストレスを克服できず、その組織の部分最適解を優越させてしまう。このことは、国家課題に関する明確な政策優先順位を設定し、それを容赦なくかつ効果的に追求し、実現する意思と能力の不在とリーダシップの不在を示している。
第三は、既得権益層の岩盤構造である。これは、既得権益層がインサイダー集団を形成し、そこで手にするレント(過剰利潤)を守るために改革に抵抗する政治的に強固な構造のことである。
第四は、政府も企業も「成功体験の虜」になったことだ。グローバル化とIT化と新興国の台頭と挑戦という新たな環境の下でも、日本企業の多くは高度成長期のビジネス慣行を維持し、それにしがみついていた。
最後の第五は、官民問わずに危機意識が不十分だったことだ。日本の危機感の乏しさは、この間に深まった日本人の悲観主義の高まりと著しい対比を成している。そうした危機感なき悲観論の傾向は二一世紀初頭にはすでに明瞭に表れていた。
これら五つの原因のうち、部分最適解と全体最適解のギャップにこそ、日本の「失われた時代」の本質がある。
日本の「失われた時代」の行方は、世界に大きな意味を持つだろう。
- 本の長さ488ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2015/5/29
- 寸法15 x 3 x 21 cm
- ISBN-104492396179
- ISBN-13978-4492396179
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商品の説明
著者について
船橋 洋一(フナバシ ヨウイチ)
一般財団法人 日本再建イニシアティブ 理事長
元朝日新聞社主筆
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。
朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長等を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。
2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」設立、理事長。福島第一原発事故を独自に検証する「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」を作る。2013年、危機管理をテーマにした『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(2013年、新潮社)刊行。
『カウントダウン・メルトダウン』(2013年、文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。直近の著書は『原発敗戦―危機のリーダーシップとは』(2014年、文春新書)。
一般財団法人 日本再建イニシアティブ 理事長
元朝日新聞社主筆
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。
朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長等を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。
2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」設立、理事長。福島第一原発事故を独自に検証する「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」を作る。2013年、危機管理をテーマにした『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(2013年、新潮社)刊行。
『カウントダウン・メルトダウン』(2013年、文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。直近の著書は『原発敗戦―危機のリーダーシップとは』(2014年、文春新書)。
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2015/5/29)
- 発売日 : 2015/5/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 488ページ
- ISBN-10 : 4492396179
- ISBN-13 : 978-4492396179
- 寸法 : 15 x 3 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 477,357位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 309位経済史 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全く無知だった私には大変役に立った。白書にありがちな、総花的な記述は目についたが、私には有益でした。失われた20年について興味あるかた全てにおすすめします。
2015年11月22日に日本でレビュー済み
編者は朝日新聞社元主筆で現在は日本再建イニシアティブの理事長。
一章から順に、人口、金融・財政、マクロ経済、企業競争力、労働・雇用・格差、教育、原発政策、政治改革、安全保障、貿易、中国・アジア太平洋、日米同盟、歴史認識、国連外交、理念・価値観の15の論点について、内外の著名な学者や実務家が、過去20年に日本で起きた変化と、政策対応について、何を失ったのかという論点から整理している。
なお、章によって、将来に向けた提言まで含んでいる場合と、過去に起きたことの整理に徹している場合がある。
個人的には、金融・財政、マクロ経済、企業競争力、政治改革、安全保障、国連外交あたりが面白かった。
一方、貿易とか日米同盟は、それぞれの章の記述の後に、TPPや新ガイドラインといった大きな動きがあるので、この本の記述だけでは足りない。
一章一章はそれほど長くないので深い記述に物足りなさを感じる人はいるかもしれないが、政治、経済、社会に関してこれだけの多くの論点を一冊でカバーしてくれているので、日本の課題を広く浅く把握するにはとても便利な本だと思う。
一章から順に、人口、金融・財政、マクロ経済、企業競争力、労働・雇用・格差、教育、原発政策、政治改革、安全保障、貿易、中国・アジア太平洋、日米同盟、歴史認識、国連外交、理念・価値観の15の論点について、内外の著名な学者や実務家が、過去20年に日本で起きた変化と、政策対応について、何を失ったのかという論点から整理している。
なお、章によって、将来に向けた提言まで含んでいる場合と、過去に起きたことの整理に徹している場合がある。
個人的には、金融・財政、マクロ経済、企業競争力、政治改革、安全保障、国連外交あたりが面白かった。
一方、貿易とか日米同盟は、それぞれの章の記述の後に、TPPや新ガイドラインといった大きな動きがあるので、この本の記述だけでは足りない。
一章一章はそれほど長くないので深い記述に物足りなさを感じる人はいるかもしれないが、政治、経済、社会に関してこれだけの多くの論点を一冊でカバーしてくれているので、日本の課題を広く浅く把握するにはとても便利な本だと思う。
2015年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今、自分なりにまとめているところです。なかなか読みごたえがあります。
2019年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この手の検討は多く出回っています。
事後に過去の出来事を分析するのは簡単ですが、そこから得られた知見や経験を後世に生かす事が必要です。
この報文は何の為に?率直な読後感です。
事後に過去の出来事を分析するのは簡単ですが、そこから得られた知見や経験を後世に生かす事が必要です。
この報文は何の為に?率直な読後感です。
2015年11月5日に日本でレビュー済み
後半な問題を各章にわけて書いています。
分野、章で著者が異なっています。
ですのできちんと分析されている章もあればいまいちな章もあります。
ヒドいのが13章の歴史問題。
日中問題と日韓問題、いわゆる「慰安婦」問題も上げていますが
平たく言うと朝日新聞そのまま、事実誤認、一部情報の隠蔽。ヒドいもんです。
網羅的に各分野納めてますので、こういう見方もあるんだと思って見てみるのがいいのでは。
決してしっかり検証した結果だと思って見てはダメです。
分野、章で著者が異なっています。
ですのできちんと分析されている章もあればいまいちな章もあります。
ヒドいのが13章の歴史問題。
日中問題と日韓問題、いわゆる「慰安婦」問題も上げていますが
平たく言うと朝日新聞そのまま、事実誤認、一部情報の隠蔽。ヒドいもんです。
網羅的に各分野納めてますので、こういう見方もあるんだと思って見てみるのがいいのでは。
決してしっかり検証した結果だと思って見てはダメです。