西洋クラシック音楽史上 最も重要な作曲家シェーンベルクのエッセイ集です。表現主義的に自己分析しており、フロイトやフッサールやシュペングラーの文章のように面白い。おすすめです。
シェーンベルクは 次のように主張しています。
◆芸術作品は、新しいアイデア(楽想,思想,メッセージ)を表出する。その際、アイデア(楽想,思想,メッセージ)は、相応のスタイル(様式,技法)を必要とする。
◆現代音楽作品が 複雑なのは、作品が表出しようとするアイデア(楽想,思想,メッセージ)が 複雑だからである。
◆音楽作品のアイデア(楽想,思想,メッセージ)は、繰り返し聴いて、旋律を記憶することで はじめて 理解される。
シェーンベルクは、動機の展開(発展)を (実際に展開(発展)させる前に) あらかじめ 洞察(知覚)する 作曲家の能力を 重要と考えていたようです。
※最初の『音楽のスタイル(様式,技法)とアイデア(楽想,思想,メッセージ)』は、シェーンベルクの音楽を理解する上で 大変 参考になります。これで、早期(渡米前)の12音作品の謎(違和感)が解けました。
※訳者解説『シェーンベルクの調性感について』も シェーンベルクの音楽を理解する上で 参考になります。
※シェーンベルクが創始した無調主義は、物理学における量子力学に相当します。現代物理学が、量子力学をベースにしているのと同様、現代音楽(現代西洋クラシック音楽)は、無調主義をベースにしています。無調主義は、既に100年を超える歴史を持って、今日に至っています。
※シェーンベルクを後期ロマン派と見做すことは、ニールス・ボーアを古典物理学者と見做すようなものです。
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