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回教概論 (ちくま学芸文庫 オ 17-1) 文庫 – 2008/8/6
大川 周明
(著)
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- 本の長さ266ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2008/8/6
- ISBN-10448009167X
- ISBN-13978-4480091673
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2008/8/6)
- 発売日 : 2008/8/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 266ページ
- ISBN-10 : 448009167X
- ISBN-13 : 978-4480091673
- Amazon 売れ筋ランキング: - 377,450位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 121位イスラム教(一般)関連書籍
- - 1,282位ちくま学芸文庫
- - 1,536位宗教入門 (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イスラム教についてが、わかりやすく説明してあります。しっかりした本です。学者大川周明にふれることができました。
2020年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イスラム教に対して初めて向き合えました。予想もできない沢山の知識を与えられました。旧漢字が多く、久し振りに漢和辞典を開きました。只今苦闘して居ます。
2023年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちくま学芸文庫がkindle版を期間限定販売ののように売っていますが全く別物で他の版をスキャンしただけのものです。
クレームが来ないように注意書きはされていますが、ちくまに失礼です。
このような形で販売を行なっているAmazonに不信を抱きます
クレームが来ないように注意書きはされていますが、ちくまに失礼です。
このような形で販売を行なっているAmazonに不信を抱きます
2016年4月30日に日本でレビュー済み
アジア主義者にして大東亜戦争のイデオローグ大川周明は『
復興亜細亜の諸問題
』で、白人支配にあえぐイスラム諸国の団結を訴えたが、本書は大川の純学術的なイスラム研究である。大川のイスラム観で注目すべきは政治と宗教の関係だ。かつて繁栄を誇ったアジアが停滞し、白人への隷属を余儀なくされたのは、高度な精神性に到達した宗教が、その原理を社会生活上に実現する努力を怠り、内面的・個人的生活と外面的・社会的生活が分離したからだという。大川のイスラム教への関心はその政教一致原理であり、アジアの宗教に見られる両者の全き分離がもたらす弊害の克服である。
もちろん大川は行き過ぎた政教一致が近代世界に不適合な面があることも知っている。本書にはイスラム法学の興味深い紹介があるが、政教の未分離が統治団体の成員としての自覚を阻害し、公法の発達が甚だ不完全になったとの指摘は鋭い。大川が熱い視線を注いだ青年トルコ党のケマル・アタチュルクや、ペルシャのレザー・シャーによる政治改革も宗教界による過度な政治介入の排除を企図するものだった。
要するに大川が目指したのは、政教の完全な一致でも完全な分離でもない両者の適切な関係だ。近代的政治システムの合理性を損なわず、同時にそれが利益政治に堕すことを防ぐ精神性や指導原理を宗教に期待する。観念右翼とは一線を画する現実感覚と言ってよい。蓑田胸喜との論争で大川は「忠君」は宗教、「愛国」は政治であり、ともに大切であるとし、簑田がこの両者を混同していると批判する。ここにも政教を峻別した上での協働という発想がうかがえる。大川は精神世界と社会生活の関係の一つの理想形を、敬虔な信仰と活発な経済活動を両立させたユダヤ教に見出している。往々にして東洋的宗教と見做されがちなイスラム教だが、その西洋的性質、ユダヤ教との共通性を大川は理解していた。
イスラム教に不案内の評者は本書が今日の研究水準からしてどの程度価値があるか知らない。大川が指導した東亜経済調査局から巣立った井筒俊彦が後に補うことになるイスラム神秘主義について全く言及がないのは確かに物足りない。しかし少なくとも当時としては先駆的な業績であったことについては竹内好の証言がある。そして何より大川がイスラム教をどんな角度から見ていたかを知ることができる貴重な文献である。
もちろん大川は行き過ぎた政教一致が近代世界に不適合な面があることも知っている。本書にはイスラム法学の興味深い紹介があるが、政教の未分離が統治団体の成員としての自覚を阻害し、公法の発達が甚だ不完全になったとの指摘は鋭い。大川が熱い視線を注いだ青年トルコ党のケマル・アタチュルクや、ペルシャのレザー・シャーによる政治改革も宗教界による過度な政治介入の排除を企図するものだった。
要するに大川が目指したのは、政教の完全な一致でも完全な分離でもない両者の適切な関係だ。近代的政治システムの合理性を損なわず、同時にそれが利益政治に堕すことを防ぐ精神性や指導原理を宗教に期待する。観念右翼とは一線を画する現実感覚と言ってよい。蓑田胸喜との論争で大川は「忠君」は宗教、「愛国」は政治であり、ともに大切であるとし、簑田がこの両者を混同していると批判する。ここにも政教を峻別した上での協働という発想がうかがえる。大川は精神世界と社会生活の関係の一つの理想形を、敬虔な信仰と活発な経済活動を両立させたユダヤ教に見出している。往々にして東洋的宗教と見做されがちなイスラム教だが、その西洋的性質、ユダヤ教との共通性を大川は理解していた。
イスラム教に不案内の評者は本書が今日の研究水準からしてどの程度価値があるか知らない。大川が指導した東亜経済調査局から巣立った井筒俊彦が後に補うことになるイスラム神秘主義について全く言及がないのは確かに物足りない。しかし少なくとも当時としては先駆的な業績であったことについては竹内好の証言がある。そして何より大川がイスラム教をどんな角度から見ていたかを知ることができる貴重な文献である。
2013年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この概説書は、「概説書らしい」内容を保っています。この本を理解するするためには先ず「コーラン」をあらすじでもいいから読んで臨むべきでしょう。予備知識なしでは理解が「無味乾燥」になっていて理解が進みません。内容の深い概説書なのでついていけなくなります。イスラム世界の理解は「コーラン」とこの「概説書」を併読することです。
内容は、学術的です。コーランの概説からイスラム世界の社会構成、イスラム寺院内の人的構成、イスラム教義の奥義と盛りだくさんです。人名、基本的イスラム教の用語には現地用語で記すなど内容は文庫とはいえ重厚さがあります。ただ、現在のイスラム世界の現状を知る手掛かりを掴む原初があるばかりでなくこの本が手っ取り早くイスラム問題の把握ができる優れモノです。
この概説書を読み解くためためには先ず「コーラン」を素読してからお勧めします。コーランのテキストの文献学的研究はありません。これらは現代の問題点として残されています。
内容は、学術的です。コーランの概説からイスラム世界の社会構成、イスラム寺院内の人的構成、イスラム教義の奥義と盛りだくさんです。人名、基本的イスラム教の用語には現地用語で記すなど内容は文庫とはいえ重厚さがあります。ただ、現在のイスラム世界の現状を知る手掛かりを掴む原初があるばかりでなくこの本が手っ取り早くイスラム問題の把握ができる優れモノです。
この概説書を読み解くためためには先ず「コーラン」を素読してからお勧めします。コーランのテキストの文献学的研究はありません。これらは現代の問題点として残されています。
2022年8月14日に日本でレビュー済み
1942年(昭和17年)に刊行された大川周明著のイスラム概論だ。大川周明は茗荷谷の拓殖大学の教授でもあったが、戦前戦中は国家主義者、大東亜共栄圏の思想的代弁者、またその実践者でもあった。そのため戦後、A級戦犯として極東軍事裁判で裁かれることになったが、精神病を発病して都立松沢病院(世田谷)に入院。やがて快癒して、病院内でクルアーンを和訳した。ただしこの和訳は、アラビア語からではなく、欧米の研究者の翻訳本からの和訳だ。結果的に不起訴となって釈放されることになったが、民間人としてA級戦犯とされたのは彼一人だ。
この本を読む前に山本七平の「現人神の創作者たち」を読んでいたためか、大川周明がなぜイスラームを研究し、大東亜共栄圏に発展させたかの仮説を持つことができた。とにかく、イスラームと他の宗教との大きな違いは、例えば、キリスト教が聖俗が分離し、心の内にあるものを宗教としているが、イスラームは社会システムと心の内なる宗教が一体となっているところにある。
それは、天皇を現人神として国体を作ることと一致する。つまり、国家神道=カリフ制(ムハンマドの血筋がリーダー)ということになる。さらに、イスラームを普遍的な価値として部族社会のアラビア半島を制服統一していったことは、大東亜共栄圏につながったのだろう。
さらに本書では、古欄(コーラン)の開経章(開扉章)を以下のように紹介している。
「古欄開経章は、既に述べた如く回教に於ける主の禊(みそぎ)に相当し、その根本信仰を要約せるものであり、総ての回教徒が毎日5回の礼拝に於て、少なくとも三十回は読誦せるる重要な章句である。」
クルアーンの「開扉章(開端)の7行=教育勅語」ということになる。このように、大川周明の頭の中では、イスラームと国家神道はシステム的に一致していて、ウマイヤ朝、アッバース朝とイスラーム支配地域が拡大していくように、亜細亜諸国を考えたのではないだろうか。直接的なきっかけは、大学卒業後のインド独立運動の支援経験からかも知れないが…
この仮説は、「復興亜細亜の諸問題」で確認することにしよう。
この本を読む前に山本七平の「現人神の創作者たち」を読んでいたためか、大川周明がなぜイスラームを研究し、大東亜共栄圏に発展させたかの仮説を持つことができた。とにかく、イスラームと他の宗教との大きな違いは、例えば、キリスト教が聖俗が分離し、心の内にあるものを宗教としているが、イスラームは社会システムと心の内なる宗教が一体となっているところにある。
それは、天皇を現人神として国体を作ることと一致する。つまり、国家神道=カリフ制(ムハンマドの血筋がリーダー)ということになる。さらに、イスラームを普遍的な価値として部族社会のアラビア半島を制服統一していったことは、大東亜共栄圏につながったのだろう。
さらに本書では、古欄(コーラン)の開経章(開扉章)を以下のように紹介している。
「古欄開経章は、既に述べた如く回教に於ける主の禊(みそぎ)に相当し、その根本信仰を要約せるものであり、総ての回教徒が毎日5回の礼拝に於て、少なくとも三十回は読誦せるる重要な章句である。」
クルアーンの「開扉章(開端)の7行=教育勅語」ということになる。このように、大川周明の頭の中では、イスラームと国家神道はシステム的に一致していて、ウマイヤ朝、アッバース朝とイスラーム支配地域が拡大していくように、亜細亜諸国を考えたのではないだろうか。直接的なきっかけは、大学卒業後のインド独立運動の支援経験からかも知れないが…
この仮説は、「復興亜細亜の諸問題」で確認することにしよう。
2015年1月31日に日本でレビュー済み
太平洋戦争までの、思想運動の中心の一人として解釈され、東京裁判の被告となった著者は、獄中にあって開戦には反対していたという。裁判中には意味不明の言葉を発し東条被告の頭を叩いた。そして精神病で入院。原因菌はスピロヘータ菌。これを熱で退治するためにマラリア菌を注射したという。学者としては有能であったが、右翼思想でもうまく時代に合わせることができなかった著者の紹介が興味深かった。
2012年3月28日に日本でレビュー済み
戦後A級戦犯として起訴された大川周明が戦中に出版したイスラム教についての概論。
アラブという風土とアラブ人について、
マホメットについて、
コーランとイスラム教の内容について、
イスラム教国の興亡、
儀礼やイスラム法についてなど、文字通りのイスラム教の概論になっている。
今となっては、いずれも内容に新見はないが、日本のイスラム教研究の原点とも言える書。
この本を読むと、大川周明は、イスラム教とアラブ人に対して、日本との共通性と相違点を、学者の視点で冷静に捉えていたようだ。
アラブという風土とアラブ人について、
マホメットについて、
コーランとイスラム教の内容について、
イスラム教国の興亡、
儀礼やイスラム法についてなど、文字通りのイスラム教の概論になっている。
今となっては、いずれも内容に新見はないが、日本のイスラム教研究の原点とも言える書。
この本を読むと、大川周明は、イスラム教とアラブ人に対して、日本との共通性と相違点を、学者の視点で冷静に捉えていたようだ。