全集の編集者ランゲは、その序において、このように述べています。
「生涯ただ一つの思想を追い求めて、自己をたえず更新しつつこの思想に全的な帰依をもって奉仕する人、彼のようにこの思想のために一切を投入し、この思想への奉仕のために必要とあれば、石で打ち殺されようと十字架にかけられようと決していとわないという人、この奉仕にあってはためらいもぐらつきも知らず、いやほとんど疲れさえ知らずに、この世で幸福と呼ばれる一切のものをただただこの思想を実現することの中に見いだす人、このような人は偉大な人である。わたしはフリードリヒ・フレーベルの中に一人の偉大な男を見る。」
日本語訳全集監修者のことば。
「この『全集』こそ、幼児教育のバイブルである。大経典である。いな、幼児教育のみならず、全教育者が繙かねばならぬ教育全体の基本聖典である。特に、母親たちには朝夕、味読して頂きたい宝典である。」
以上のことばに、わたしも賛同します。読者に味読をさせてくれる本です。わたしは、次のフレーベルのことばに強く共鳴します。
フレーベルのことば。
「あらゆる教育は、唯一の源である精神の統一性から現れいずるものであり、ひとつの目標、ひとつの目的(精神の発達、形成、応用)をもたねばならない」
精神の統一性。これを要求するということがどれだけ根源的かつ決定的なことなのか。その根源からは、なんと偉大なものたちが流れ出てくることか。私、あなた、私たち、あなたたち、愛、歓び、希望。すべては多様でありながら、やはり、根源においては、一つ。そこでは、私とあなたと私たちとあなたたちは、多様なままで一つ。真実なる信頼の素晴らしさ。「まことの存在とは、これなのだ」とただ涙を流すこと。
教育が幸福をもとめる活動なら、教育は人間の核心です。
フレーベルの性格が端的に表されている記述です。
「わたしに近づいてくる精神的なものは何であれ、わたしはそれを自分の内的生活と完全にからみ合わせるか、それとも獲得を全く断念するかのどちらかでなければなりませんでした」 (『自伝』)
賢明な人格の根源とも言えるこのような欲求をフレーベルは抑制するのではなく、十全に発達させることに、人の教育への望みと大なる可能性を見いだしたのです。
そして、わたしたちはフレーベルのことばの響きから学ぶことができます。
「最高の目的を始めから、たとえできるだけであるにしても明らかにして見失わないようにすることは、きわめて賢明なことである」
(全集第三巻第一六章)
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フレーベル全集 第1巻 教育の弁明 単行本 – 2008/7/1
フリードリヒ・フレーベル
(著),
小原 国芳
(監訳)
- 言語日本語
- 出版社玉川大学出版部
- 発売日2008/7/1
- ISBN-104472014114
- ISBN-13978-4472014116
登録情報
- 出版社 : 玉川大学出版部 (2008/7/1)
- 発売日 : 2008/7/1
- 言語 : 日本語
- ISBN-10 : 4472014114
- ISBN-13 : 978-4472014116
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