会社法は条文が多く一般的な基本書も実体法上の違法事由と訴訟類型を同列に扱って
書かれているものが多いため全体像の把握に難渋する科目である。
しかし本書は実務家の信頼できる記述の下で
判例法理を前提として訴訟類型毎に会社法の実際上の運用理解をとれる点において
優れた一冊となっている。訴訟類型が前面に出た整理となっていることで
まず手続的に当該主張がどういう扱いを受けるのか
そして次に主張内容自体の当否をどう扱うべきなのか、という段階的思考を
体得することができる。
商事要件事実の観点から整理されている点も相俟って
定期的に通読するに値するまとめノートとして全体が組みあがっている印象である。
全体としては中級者以上の読者が試験用のメインのまとめ素材として用いる時
最も威力を発揮する一冊といえるのではないか。
リーガルクエスト等のわかりやすい基本書と本書を普段から使い込みながら
演習をこなすことで会社法については必要十分な実力を身につけることができるとおもう。
おすすめである。
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