これまでの君塚氏の本に比べると売れ行きが良くないが、それはこの本の価値が一般の読者に理解しにくかっためだと考えられる。過去の事象に対する解釈である歴史から未来を確定することはできない。社会主義の必然的勝利を説いた唯物史観もは社会主義の崩壊によって説得力を失った。社会主義崩壊後の自由主義の発展を説いたフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』の予想も外れた。それでは歴史は将来の役に立たないのか?そうではない。複数の可能性とその条件を検討することは将来を主体的に考えるうえで有益である。その中でも国際関係史は有益である。諸国家が協調と対立を繰り返しその中から新しい時代が生まれてくるからである。
この本の中で君塚氏はイタリア戦争と三十年戦争について触れているが卓見である。各勢力が抗争を繰り広げたイタリア戦争は主権国家の概念が確立する以前に起きたものなので、近代の国際関係の前史とみなされる。そして主要な国で国民国家が成立した後に勃発した三十年戦争とこれを終結させたウエストファリア条約は国際関係の起源とされている。紙数の関係でその後の記述は王室外交と皇室外交に詳しいがこれらの章は外交における儀礼の重要性を示すものとして意味がある。本には書いていないが1960年のスパイ機U2の領空侵犯に対するソビエトの報復はアイゼンハワー大統領の訪ソ取り消しであった。また、1972年のニクソン訪中は米中の和解の象徴であった。
君塚氏が本書以降の時代についての本を出版し、互いに協調と対立を繰り返してゆく外交の実態について論じらられることに期待する。
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カラー版 王室外交物語 紀元前14世紀から現代まで (光文社新書) 新書 – 2021/3/16
君塚 直隆
(著)
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その夜明け、黄金期、継承、発展……
「生涯をかけた外交」が
果たす役割とは
饗宴、嫉妬、友情、確執…カラーで辿る3500年
【内容】
「時代遅れの遺物」から、民主政治や平和を支える存在へ――
今からわずか百年ほど前には、世界の大半が君主国とその植民地であった。
それが、21世紀の現在には、君主国は(日本も含め)28ヶ国。
とはいえ今やこれらの君主国こそが、新たな地球的課題に対していち早く動き、
社会や政治の右傾化のなかで、国内での均衡を保つ重要な存在になっている。
一見すると時代遅れの遺物と思われがちな王室や皇室が、
21世紀の現代に極めて重要な意味を持ち、
特に「外交」の面で力を発揮しているのはなぜか。
本書ではまず、外交の源流、3500年前の世界に読者をいざない、
中世イタリアの近代外交の夜明け、16世紀以降の宮廷外交の黄金期、
20世紀の二度の大戦を経ての英王室の発展を辿り、
さらに日本の皇室のあり方も振り返る。
【目次】
はじめに――王室外交とは何か
第一章 「外交」のはじまり――文明揺籃の地から
第二章 近代外交の夜明け――15世紀イタリアから
第三章 宮廷外交の黄金時代――1520~1913年
第四章 エリザベス二世の王室外交
第五章 皇室外交への示唆
おわりに
【著者プロフィール】
君塚直隆(きみづかなおたか)
1967年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。
英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。
上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。
東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。
専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。
著書に『悪党たちの大英帝国』『立憲君主制の現在』(後者は2018年サントリー学芸賞受賞、ともに新潮選書)、
『ヴィクトリア女王』『エリザベス女王』『物語 イギリスの歴史(上・下)』(以上、中公新書)、
『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』(光文社新書)、『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、
『女王陛下のブルーリボン』(中公文庫)、『女王陛下の外交戦略』(講談社)など多数。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2021/3/16
- ISBN-104334045278
- ISBN-13978-4334045272
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商品の説明
出版社からのコメント
その夜明け、黄金期、継承、発展……
「生涯をかけた外交」が
果たす役割とは
饗宴、嫉妬、友情、確執…カラーで辿る3500年
【内容】
「時代遅れの遺物」から、民主政治や平和を支える存在へ――
今からわずか百年ほど前には、世界の大半が君主国とその植民地であった。
それが、21世紀の現在には、君主国は(日本も含め)28ヶ国。
とはいえ今やこれらの君主国こそが、新たな地球的課題に対していち早く動き、
社会や政治の右傾化のなかで、国内での均衡を保つ重要な存在になっている。
一見すると時代遅れの遺物と思われがちな王室や皇室が、
21世紀の現代に極めて重要な意味を持ち、
特に「外交」の面で力を発揮しているのはなぜか。
本書ではまず、外交の源流、3500年前の世界に読者をいざない、
中世イタリアの近代外交の夜明け、16世紀以降の宮廷外交の黄金期、
20世紀の二度の大戦を経ての英王室の発展を辿り、
さらに日本の皇室のあり方も振り返る。
【目次】
はじめに――王室外交とは何か
第一章 「外交」のはじまり――文明揺籃の地から
第二章 近代外交の夜明け――15世紀イタリアから
第三章 宮廷外交の黄金時代――1520~1913年
第四章 エリザベス二世の王室外交
第五章 皇室外交への示唆
おわりに
著者について
【著者プロフィール】
君塚直隆(きみづかなおたか)
1967年東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。
英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。
上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。
東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。
専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。
著書に『悪党たちの大英帝国』『立憲君主制の現在』(後者は2018年サントリー学芸賞受賞、ともに新潮選書)、
『ヴィクトリア女王』『エリザベス女王』『物語 イギリスの歴史(上・下)』(以上、中公新書)、
『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』(光文社新書)、『ヨーロッパ近代史』(ちくま新書)、
『女王陛下のブルーリボン』(中公文庫)、『女王陛下の外交戦略』(講談社)など多数。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2021/3/16)
- 発売日 : 2021/3/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4334045278
- ISBN-13 : 978-4334045272
- Amazon 売れ筋ランキング: - 478,405位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年5月25日に日本でレビュー済み
2021年3月20日に日本でレビュー済み
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たくさんの一般向け本、新書本を書かれているイギリス史の専門家による「王室外交物語ー紀元前14世紀から現代までー」である。
はいめに、おわりに、によると、現代の王室外交が中心の企画だったようだが、著者にはすでにエリザベス二世外交の本があることから、今回は、「今から3500年ほど前の古代中東世界から話を説き起こすという無謀な物語」となったようである。
第一章「外交」のはじまりー文明揺籃の地から・・古代エジプト~東ローマ帝国滅亡まで。
第二章 近代外交の夜明けー15世紀イタリアから・・常駐大使について。15世紀イタリア、オスマン帝国、ハプスブルク家、中国史。
第三章 宮廷外交の黄金時代ー1520~1923年
第四章 エリザベス二世の王室外交
第五章 皇室外交への示唆・・明治天皇以後の日本の皇室外交史。
私的感想
〇一般書を書き慣れている著者の本なので、読みやすい歴史読み物となっていた。カラー図版も多く、ビジュアル的にも楽しい。
〇ただ、王と王族が外交権限を持ち、王室外交が外交そのものであった第一次大戦前に比べると、現代の王室外交は、親善外交であり、緩衝外交であり、慰霊外交であり、和解外交である。歴史を書くなら、大戦間のイギリス等の王室外交の変化が重要と思うが、その点は省かれてしまっている。
〇第四章はちょっとゴタゴタしている印象。王室外交に貢献したはずのダイアナ妃が全く出てこないのは悲しい。
〇王室外交は、現代の王族皇族の義務なのか、という私的疑問はちょっとある。
はいめに、おわりに、によると、現代の王室外交が中心の企画だったようだが、著者にはすでにエリザベス二世外交の本があることから、今回は、「今から3500年ほど前の古代中東世界から話を説き起こすという無謀な物語」となったようである。
第一章「外交」のはじまりー文明揺籃の地から・・古代エジプト~東ローマ帝国滅亡まで。
第二章 近代外交の夜明けー15世紀イタリアから・・常駐大使について。15世紀イタリア、オスマン帝国、ハプスブルク家、中国史。
第三章 宮廷外交の黄金時代ー1520~1923年
第四章 エリザベス二世の王室外交
第五章 皇室外交への示唆・・明治天皇以後の日本の皇室外交史。
私的感想
〇一般書を書き慣れている著者の本なので、読みやすい歴史読み物となっていた。カラー図版も多く、ビジュアル的にも楽しい。
〇ただ、王と王族が外交権限を持ち、王室外交が外交そのものであった第一次大戦前に比べると、現代の王室外交は、親善外交であり、緩衝外交であり、慰霊外交であり、和解外交である。歴史を書くなら、大戦間のイギリス等の王室外交の変化が重要と思うが、その点は省かれてしまっている。
〇第四章はちょっとゴタゴタしている印象。王室外交に貢献したはずのダイアナ妃が全く出てこないのは悲しい。
〇王室外交は、現代の王族皇族の義務なのか、という私的疑問はちょっとある。