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コメント: カバー付きです。見返しに献署名があります。ペンによる書込があります。初版。2012年発行。在庫限りにつき、稀に売り切れの場合がございます。その際はご容赦くださいませ。
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ヒュームの一般的観点 人間に固有の自然と道徳 単行本 – 2012/2/1

3.6 5つ星のうち3.6 5個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 勁草書房 (2012/2/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2012/2/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 392ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4326102144
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4326102143
  • カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本

2012年5月2日に日本でレビュー済み
本書は、著者 矢嶋直規氏が2005年にエディンバラ大学に提出した博士学位論文に基づくものである。「あとがき」にある通り、本書は博士学位論文の翻訳ではなく、学位取得後、個別論文として発表したものを「さらに統一的に書き改めたもの」であり、「大幅な改稿が施されている」ものである。

日本におけるヒューム研究は、蓄積の浅いものでは決してない。とりわけ社会思想、経済思想の観点からは浩瀚かつ高度な研究書が数多く世に出されてきた。政治学の観点からは、犬塚元『デイヴィッド・ヒュームの政治学』(東京大学出版会、2004年)という非常に優れたモノグラフがものされてもいる。これに森直人『ヒュームにおける正義と統治: 文明社会の両義性』(創文社、2010年)が続き、批判的な応答が両者の間でなされたことは、日本におけるヒューム研究の豊かさを例証するものだろう。(犬塚氏による森氏への応答は、『社会思想史研究』第35号を参照のこと。)

そうした盛況の中にあって、ヒュームの哲学を真正面から取り上げた著作は意外なほどに少ない。

懐疑論に着目しての優れた著作はあっても、Treatise 全巻を視野の入れた、ヒューム哲学の全体像を描き出そうとする研究は、神野慧一郎『モラル・サイエンスの形成: ヒューム哲学の基本構造』(名古屋大学出版会、1996年)および古賀勝次郎のヒューム研究(1994年、99年)を数えるのみである。とりわけ『モラル・サイエンスの形成』は、前著『ヒューム研究』とあわせて、ヒューム哲学研究の主要文献として多く参照され続けてきた。学部生がヒューム理解の助けを得ようと図書館に走れば、日本語では同著に当たる他、選択肢がなかった、というのが実際ではないだろうか。

同書に当たることは、その刊行以来、Hume Studies を中心として更新され続けてきたヒューム哲学研究の恩恵に浴するに不足があるだけではない。知性論理解の決定的な偏り、空間・時間論および外的物体論に関する道徳哲学的意義の取りこぼしは、批判的な検証を必要とするものである。

本書『ヒュームの一般的観点』は、そうした状況を一新する、非常に優れて野心的な著作である。ヒュームの哲学的プロジェクト全体が、著者独自の観点(「一般的観点」への着目)から明らかにされる。読者は、ある一つの統一的なヒューム理解が打ち立てられる様を目撃することになり、その刺激に打たれることだろう。

本書の記述が、ヒュームその人の精神にならってか、研究書にしては非常に平易であることにも注目したい。研究者のサークルにのみに閉じられてはいない本書を前に、高校倫理が伝え、世に流通する粗雑なヒューム「理解」もとい「曲解」が瓦解することが読者により確認されるだろう。

先行研究に対する独自性の観点からは、「第二章 空間・時間論の意義」および「第四章 「外的物体論」の道徳哲学的意義」の二章がとりわけ興味深いように思われる。

本書は批判的な応答を求める著作であり、ヒュームに関心をもつ者に応答を迫る著作である。本書の目次を末尾に転載し、稚拙な内容の要約は避けることとしたい。紹介にとどめ、レビュワーとしての責任は、別所にて果たしたい。

本書の表紙は、フェルメール「デルフトの眺望」、エピグラフにはスピノザ『国家論』が引かれている。読後にエピグラフを再読することを薦めたい。

はしがき

序章「人間に固有の自然と道徳」
 1. 「人間本性」と「人間に固有の自然」
 2. 英国哲学の背景
 3. 自然と道徳
 4. 「一般的観点」
 5. 第三巻「道徳論」の概要

I 人間に固有の自然

第一章 抽象観念と習慣ーー「一般的観点」の認識論的木曾
 1. ロックの抽象観念論とその解釈
 2. 抽象観念と習慣
 3. 理性の区別について
 4. 抽象観念と一般的観点
 5. 結び

第二章 空間・時間論の意義
 1. 空間・時間概念の人間科学化
 2. 知覚の「仕方」(マナー)としての空間・時間
 3. 空間・時間と一般的観点
 4. 真空論批判
 5. 公共的秩序の基礎としての空間・時間
 6. 結び

第三章 因果論と規範の生成
 1. 信念論と自然主義
 2. 「信念」の定義
 3. ロックの「力能」概念とヒュームの規範論
 4. 「必然的結合」
 5. 因果の定義と一般的観点
 6. 「ニュー・ヒューム論争」
 7. 結び

第四章 「外的物体論」の道徳哲学的意義
 1. 知覚と存在
 2. 「私たちの知覚」としての物体
 3. 外的物体の虚構
 4. 観念と対象の二重存在批判
 5. 一次性質と二次性質の区別の批判
 6. 物体論の道徳哲学意義
 7. 結び

II 公共的秩序と道徳

第五章 シンパシーと情念の公共的知覚
 1. 誇り・卑下論と所有の成立
 2. 情念の公共的知覚
 3. 「社会の接着剤」
 4. 結び

第六章 シンパシーと情念の公共的知覚
 1. スミスのシンパシー論
 2. 「公平な観察者」と「胸中の半神」
 3. スミスのヒューム批判
 4. 一般的観点と公平な観察者
 5. 結び

第七章 ホッブズとロックにおける正義の認識論的基礎
 1. 本人の観点としてのホッブズの道徳的観点
 2. ロックの正義論と理性的観点
 3. 結び

第八章 正義と一般的観点
 1. 人為的徳としての正義
 2. 正義の先行条件
 3. 正義の最初の動機と所有の安定
 4. 相互性と一般的観点
 5. 権利の成立
 6. 所有権を決定する規則
 7. 結び

第九章 「道徳の理由」ーー「狡猾な悪人」をめぐって
 1. 「狡猾な悪人」と正義論
 2. 「狡猾な悪人」への反論
 3. 正義の自然主義的基礎づけ
 4. 「狡猾な悪人」とは誰のことか?
 5. 結び

第一〇章 契約と政府への忠誠
 1. 「原始契約について」
 2. 「合意による所有の移転」
 3. 正義の法の最終段階としての約束
 4. 正義の完成としての政府の起源
 5. 政府への忠誠
 6. 抵抗権について
 7. 結び

結語
あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
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