ランボー、特に詩を書かなくなってからの彼に対して
興味・関心を持っている人にとっての必読書。
著者は、叙情的・観念的に流れていく描写を避け、事実を追いながら、彼の後半生を書きあげていく。
北アフリカの石材採掘会社の現場監督になり、働きまくるランボー。あるいはサーカス付きの通訳になるランボー。
200キロを歩き通した後、日射病で倒れ、旅先から送り返されてしまうランボー。
文学に未練はないが、自身の探険行を地理学会誌に投稿し、駱駝50頭のキャラバンの先頭に立ち、物資を運ぶ男となる。
同時期、パリにはエッフェル塔が建設され、万国博覧会で沸き返っている。
若い文学者たちは、自国を代表する詩人としてランボーに歓声をあげる。
しかしかれはもうそこにはいない。
そして終節、この本の主人公は、マルセイユの病院で、全身をガンに冒され、ベッドで転げまわっている。
詩人として頂点を極める20歳までの人生と、詩から離れてからの人生。
まったく異なる２つの側面を、後者から照らして余すところがない。
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