日本の、目前にある社会問題に、データと統計学で回答を示す。
財政破綻や緊縮財政は大量の死人が出る事実。で、今、「公的なお金(税金)を何にもっと使うか」「税収を増やすためにはどうすべきか」。
1. 高齢化と少子化:人口学、
本質は、少子化。家計が負担する子育てコストをゼロにする。保育サービス定員を2歳以下乳幼児数の50%確保。
更に、景気対策としても有望。子育て世代は、金が有れば有るだけ使って経済を回すから。
2. 貧困とその対策:公衆衛生学、
対策は、貧困となる原因へのアプローチ。回答は、社会保険。幼児教育。高齢者の労働力。
生活保護廃止しても、治安が悪化し社会コスト高くつく。劣等処遇徹底(刑務所)しても、管理コスト高い。金銭給付も、企業モラルハザード・労働意欲/生産性低下、増税、貧困者増加を招く。
で、貧困となる原因へのアプローチが必要である。
3. 医療費:医療経済学、
方向性は、医療のコストと価値を評価する。寿命1年にどれだけコスト掛かるか、医療技術評価という、経済手法で評価する。
コストの割に効果の低い医療が増えている事。大きな問題は、高齢者1人あたりの医療費の増加。
4. 経済成長:計量経済学。
経済成長と相関のある、研究・教育への投資、人口「密度」の維持、保育サービス拡充。
お金で解決できる不幸が存在する事から、目をそむけない。
衝撃的なのは、これら問題に有効な対策が既に見えている事。
「相関か因果か分からないから慎重に議論しよう」と思考停止するのではなく、データをより早く社会問題の解決につなげるよう動く姿勢が重要。賛成です。
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統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ 566) 新書 – 2016/11/8
西内 啓
(著)
私たちは限られた「お金」と「時間」を何にかけるべきなのか?
あらゆる権威やロジックを吹き飛ばし、正解を導き出す「統計学」。そのブームの火付け役で統計家の西内氏が日本の大問題に立ち向かう! 出生率アップに必ず効果がある政策とは? 1年分の健康寿命に医療費はどれだけかけられる? 税収が爆増する秘策とは? 少子高齢化や貧困などの課題に対し、私たちは限られたお金と時間をどう使うべきか。統計学で答えはすでに出ている!
はじめに
目前にある社会問題について/少子高齢化は何によって引き起こされているのか/「心の豊かさ」で人は救えるか/「未来」を変えられるのは「今」だけ
一章 統計学が導く少子高齢化の真実
防衛費と公共事業費が「ゼロ」になっても/経済危機で人命が失われる/緊縮財政でも人命が失われる/高齢化社会の本質とは/平均寿命と少子化の関係/少子化対策は不十分だった/少子化対策の遅れと取り返せない損失/統計が示す出生の現実/科学的根拠に基づく少子化対策とは/少子化を解決する方法はこれだ/他人の子育てに税金を費やす理由/少子化対策に必要なコストと財源/本章のまとめ
column 人口統計学の考え方
二章 貧困との戦いとしての社会保障論
歴史に学ぶことからはじめよう/「エリザベス救貧法」が成立した理由/劣等処遇の原則/「ウィリアム・ヤング法」と「スピーナムランド制度」/「社会保険制度」こそ現行最良の貧困対策である/原因をたどって貧困の連鎖を断ち切る/日本における貧困の原因/母子世帯の被生活保護者らの実態調査より/幼児教育はお買い得な「投資」である/深刻なのは高齢者世帯/「働く」と「生きる」の密接な関係/本章のまとめ
column パブリックヘルスと疫学の考え方
三章 医療を受ける患者とコストを負担する私たち
40兆円を超える医療費の内訳/医療費増大の理由は高齢化だけではない/データが導く残酷な事実/医療制度の倫理性/医療技術評価とは/日本人が認める「1年分の寿命」のコスト/なぜ日本医師会は混合医療に反対するのか/医者の所得について/「社会」の健康を守るのは誰か/社会的入院と介護コスト/亡くなる場所と社会的コスト/問題の「低減」か「先送り」か/予防医療は医療費削減につながるのか/本章のまとめ
column 医療経済学の考え方
四章 経済成長を実現するために今できること
なぜ経済成長が重要なのか/単純な人口増加は経済成長にならない/そもそも日本は豊かか/日本が経済成長を果たすために/教育という最も強力な施策/それでも教育費をかけない日本政府/学力を下支えする私的教育費/下がり続ける日本の研究力/その他の経済成長政策/「相関」か「因果」か/ランダム化比較実験による検証を進めよう/あやふやな不公平さを超えて/本章のまとめ
column メタアナリシスの考え方
など
あらゆる権威やロジックを吹き飛ばし、正解を導き出す「統計学」。そのブームの火付け役で統計家の西内氏が日本の大問題に立ち向かう! 出生率アップに必ず効果がある政策とは? 1年分の健康寿命に医療費はどれだけかけられる? 税収が爆増する秘策とは? 少子高齢化や貧困などの課題に対し、私たちは限られたお金と時間をどう使うべきか。統計学で答えはすでに出ている!
はじめに
目前にある社会問題について/少子高齢化は何によって引き起こされているのか/「心の豊かさ」で人は救えるか/「未来」を変えられるのは「今」だけ
一章 統計学が導く少子高齢化の真実
防衛費と公共事業費が「ゼロ」になっても/経済危機で人命が失われる/緊縮財政でも人命が失われる/高齢化社会の本質とは/平均寿命と少子化の関係/少子化対策は不十分だった/少子化対策の遅れと取り返せない損失/統計が示す出生の現実/科学的根拠に基づく少子化対策とは/少子化を解決する方法はこれだ/他人の子育てに税金を費やす理由/少子化対策に必要なコストと財源/本章のまとめ
column 人口統計学の考え方
二章 貧困との戦いとしての社会保障論
歴史に学ぶことからはじめよう/「エリザベス救貧法」が成立した理由/劣等処遇の原則/「ウィリアム・ヤング法」と「スピーナムランド制度」/「社会保険制度」こそ現行最良の貧困対策である/原因をたどって貧困の連鎖を断ち切る/日本における貧困の原因/母子世帯の被生活保護者らの実態調査より/幼児教育はお買い得な「投資」である/深刻なのは高齢者世帯/「働く」と「生きる」の密接な関係/本章のまとめ
column パブリックヘルスと疫学の考え方
三章 医療を受ける患者とコストを負担する私たち
40兆円を超える医療費の内訳/医療費増大の理由は高齢化だけではない/データが導く残酷な事実/医療制度の倫理性/医療技術評価とは/日本人が認める「1年分の寿命」のコスト/なぜ日本医師会は混合医療に反対するのか/医者の所得について/「社会」の健康を守るのは誰か/社会的入院と介護コスト/亡くなる場所と社会的コスト/問題の「低減」か「先送り」か/予防医療は医療費削減につながるのか/本章のまとめ
column 医療経済学の考え方
四章 経済成長を実現するために今できること
なぜ経済成長が重要なのか/単純な人口増加は経済成長にならない/そもそも日本は豊かか/日本が経済成長を果たすために/教育という最も強力な施策/それでも教育費をかけない日本政府/学力を下支えする私的教育費/下がり続ける日本の研究力/その他の経済成長政策/「相関」か「因果」か/ランダム化比較実験による検証を進めよう/あやふやな不公平さを超えて/本章のまとめ
column メタアナリシスの考え方
など
- 本の長さ230ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2016/11/8
- 寸法11 x 1.1 x 17.4 cm
- ISBN-104121505662
- ISBN-13978-4121505668
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商品の説明
出版社からのコメント
どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す「統計学」。ビッグデータが重宝される風潮からも分かるとおり、その影響は現代社会で強まる一方です。そこで統計学ブームの火付け役である西内氏にご相談。未来に立ちふさがる諸問題に私たちはどう立ち向かうべきか、学術的な根拠と意義のある対策をまとめていただきました。「すべての日本人を無制限に救えるほどの財政的余裕がない状況」が確実にやってくるこれから、私たちは何に優先してお金と時間ををかけるべきなのでしょうか? 少子高齢化や貧困、格差といった深刻な問題に解決策はあるのでしょうか? この本は東京大学政策ビジョン研究センターの研究成果をまとめた一冊で、喫緊の社会政策的課題に対して、その通説・俗説を統計学的にくつがえしていく切れ味は抜群。この秋『統計学が最強の学問である』の第三弾が刊行され、再び見込まれる統計学ブームのなか、話題になること間違いなしの一冊です!
著者について
西内啓(にしうち・ひろむ)
1981年、兵庫県生まれ。統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月より株式会社データビークル創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)など。
1981年、兵庫県生まれ。統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月より株式会社データビークル創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)など。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2016/11/8)
- 発売日 : 2016/11/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 230ページ
- ISBN-10 : 4121505662
- ISBN-13 : 978-4121505668
- 寸法 : 11 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 382,805位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 358位中公新書ラクレ
- - 39,191位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
兵庫県出身の統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ ハーバード がん研究センター客員研究員を経て、現在は、分析サービスを提供する株式会社データビークルの取締役として、全てのビジネスマンが分析に携われるツールの開発、官民のデータ活用プロジェクトの支援に従事。
著書である「統計学が最強の学問である」は、シリーズ累計40万部を超え 2014年度ビジネス書大賞、2017年度日本統計学会出版賞を受賞している。
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のアドバイザー。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年2月2日に日本でレビュー済み
2018年2月16日に日本でレビュー済み
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著者もはじめにで述べているが、統計学の専門的な知識を身につけるというよりは、
統計的なものの見方、考え方をざっくりと身につけるのに適した入門書である。
統計的なものの見方、考え方をざっくりと身につけるのに適した入門書である。
2017年1月11日に日本でレビュー済み
「日本の財政再建には、少子化を防いで経済成長させることが必要だ」と訴える。OECDのデータを中心にした人口、医療統計を横断的に分析している。フランスなどを例示し「育児にかかる金銭負担を家庭に代わって、税控除やサービスの形で政府が負担する」「保育サービスを拡充する」2点を提案しているほか、教育OECDの試算では、OECD最高水準にすれば、出生率2.0まで引きあがると試算しているという。「高学力の国ほど経済成長率は高い」という相関を示すグラフを提示し、「因果関係は不明でも、確実に相関があるなら躊躇なく学力を上げる政策を取るべきである」と強く訴えている。
著者の専門である医療についても、これまで聖域視されてきたが、高齢者を中心にコストに見合わない医療が行われている現状を問題視している。医療保険が本格導入され、高齢者が優遇され始めた1960年以降、高齢者の受診回数は、ほかの世代の3倍以上になった。後期高齢者の人口増以上に医療費は膨らんだ。にもかかわらず、高齢者の平均余命は支出に見合うほどには伸びていないし、10年以上ある健康寿命と平均寿命の差は縮まらない。高齢者医療のうち、1年持たない患者への医療費が1割を占める。「病気を治療する」という、目的を果たせない治療のために2兆円が毎年費やされている。著者は効果のある支出になるように誘導すべきではないか、と問うている。
著者も言うように90年代から最近まで、ふわふわした個人の経験談に基づく、科学的根拠のない政策が「有識者」から官庁、立法府まで横行していた。不況が長引き、少子化に突入し始めたこの貴重な時代をこうした空論に基づく政策で浪費したのは惜しまれる。著者も医療などでははっきりした私見を示しているわけではない。だが、「人口や医療政策は統計の相関をよく見て、科学的根拠と費用対効果を分析して決定せよ」というメッセージがはっきり伝わる本だった。
著者の専門である医療についても、これまで聖域視されてきたが、高齢者を中心にコストに見合わない医療が行われている現状を問題視している。医療保険が本格導入され、高齢者が優遇され始めた1960年以降、高齢者の受診回数は、ほかの世代の3倍以上になった。後期高齢者の人口増以上に医療費は膨らんだ。にもかかわらず、高齢者の平均余命は支出に見合うほどには伸びていないし、10年以上ある健康寿命と平均寿命の差は縮まらない。高齢者医療のうち、1年持たない患者への医療費が1割を占める。「病気を治療する」という、目的を果たせない治療のために2兆円が毎年費やされている。著者は効果のある支出になるように誘導すべきではないか、と問うている。
著者も言うように90年代から最近まで、ふわふわした個人の経験談に基づく、科学的根拠のない政策が「有識者」から官庁、立法府まで横行していた。不況が長引き、少子化に突入し始めたこの貴重な時代をこうした空論に基づく政策で浪費したのは惜しまれる。著者も医療などでははっきりした私見を示しているわけではない。だが、「人口や医療政策は統計の相関をよく見て、科学的根拠と費用対効果を分析して決定せよ」というメッセージがはっきり伝わる本だった。
2016年12月26日に日本でレビュー済み
2000年以降、「失われた10年、20年」「格差貧困・非正雇用の拡大」そして「中国脅威論」といった悲観的な見方がマスコミや新聞各紙で報道されてきた。逆にバブル時代には、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」「日本的経営」などの言葉でもって、自信過剰ともみられる評価を下してきたが、両者に共通することは、日本の現状に対する過剰評価である。では、こうした過剰なリアクションに右往左往しないためには、どうすればよいのか。本書は、そのヒントを私たちに教えてくれている。
たとえば、少子高齢化について言及されているところでは、「政府が本気で少子化対策に取り組もう、というのであれば、やるべきことは(中略)子育て世帯向けの大幅な減税・給付、そして保育サービスの拡充」であると(第一章)。またパブリックヘルス(公共の健康)を充実させることにより、高齢化の問題にも効果的に取り組むことができると主張している。
一方、教育と研究費については、最近の日本は先進国というよりも発展途上国のレベルにあるといえる。その原因の一つは「経済財政諮問委員会の議事録をみても、教育再生が議論に上った途端、財務大臣や経済再生担当大臣など、およそ教育の専門家とはいえない人までもが“私の経験によると…”と、自分の経験談をもとに、主観的な持論を展開している(第四章)ように、政治家らの意識の低さにある。それに対して、筆者は、いくつかの情報やデータを参考にしながら−−−たとえば「ペリー幼稚園プログラム」や「各国の研究費と経済成長との関係」などを分析−−−科学的に証明されている効果を紹介している。
本書では、さらに「医療技術評価が進まない理由」や「社会的入院と介護コスト」についてデータを用いながら、分かりやすく紹介している。今後、統計学の成果を日本が、また日本人が如何に真面目に活用し、経済成長や個々の生活の向上に役立てていくべきかを考えさせてくれる一冊である。
たとえば、少子高齢化について言及されているところでは、「政府が本気で少子化対策に取り組もう、というのであれば、やるべきことは(中略)子育て世帯向けの大幅な減税・給付、そして保育サービスの拡充」であると(第一章)。またパブリックヘルス(公共の健康)を充実させることにより、高齢化の問題にも効果的に取り組むことができると主張している。
一方、教育と研究費については、最近の日本は先進国というよりも発展途上国のレベルにあるといえる。その原因の一つは「経済財政諮問委員会の議事録をみても、教育再生が議論に上った途端、財務大臣や経済再生担当大臣など、およそ教育の専門家とはいえない人までもが“私の経験によると…”と、自分の経験談をもとに、主観的な持論を展開している(第四章)ように、政治家らの意識の低さにある。それに対して、筆者は、いくつかの情報やデータを参考にしながら−−−たとえば「ペリー幼稚園プログラム」や「各国の研究費と経済成長との関係」などを分析−−−科学的に証明されている効果を紹介している。
本書では、さらに「医療技術評価が進まない理由」や「社会的入院と介護コスト」についてデータを用いながら、分かりやすく紹介している。今後、統計学の成果を日本が、また日本人が如何に真面目に活用し、経済成長や個々の生活の向上に役立てていくべきかを考えさせてくれる一冊である。
2016年12月15日に日本でレビュー済み
かねてから私は「これからの日本は人口減だから衰退」との決まり文句に疑問を持っていた。
20世紀を通じインドや中国は「人口過剰の故に発展できない」と言われていたし、現代でも人口爆発のアフリカの経済成長はもたついている。また、人口の少ないスイスなどが「衰退」したなど聞いたこともない。
では経済発展の要因として大きいのが何かと言えば、要するに人材育成=教育であり、人材育成のための投資(と最低限の少子化対策)こそが、実は最も安上がりな国家発展への処方箋だということが、著者得意の統計データの分析により分かりやすく説明されている。福祉には消極的なアメリカも、初等教育への投資額は莫大であることも紹介されており、また、日本の近代化に教育が果たした役割の大きさはつとに指摘されているとおりである。
日本の将来が決して悲観的なものではなく、実行可能な政策によって持続的成長が可能であることがデータによって解説されている点がすばらしいと思う。
20世紀を通じインドや中国は「人口過剰の故に発展できない」と言われていたし、現代でも人口爆発のアフリカの経済成長はもたついている。また、人口の少ないスイスなどが「衰退」したなど聞いたこともない。
では経済発展の要因として大きいのが何かと言えば、要するに人材育成=教育であり、人材育成のための投資(と最低限の少子化対策)こそが、実は最も安上がりな国家発展への処方箋だということが、著者得意の統計データの分析により分かりやすく説明されている。福祉には消極的なアメリカも、初等教育への投資額は莫大であることも紹介されており、また、日本の近代化に教育が果たした役割の大きさはつとに指摘されているとおりである。
日本の将来が決して悲観的なものではなく、実行可能な政策によって持続的成長が可能であることがデータによって解説されている点がすばらしいと思う。
2017年7月5日に日本でレビュー済み
ゼミの友人から、「最悪例」として紹介されました。この手の著作が良しとされるなら、著者のように博士でも看護師でもない人が「○○というデータがある。だから○○だ」という著作を出し放題、という世の中になってしまいます。大橋靖夫研の博士課程にでも入り直して力をつけて次作?を出さないと恥づかしい...
2017年2月12日に日本でレビュー済み
統計学は、ただ数的傾向はこうだと示すだけのものに過ぎず、分析の質によって斬れ味が大きく変わり名刀にも鈍刀にもなるということを実証したと言える。はっきり言って選択バイアスが強過ぎる。
第1章の少子化問題については、悪くはないがもう一歩。既に、加藤久和・明大教授が家族予算規模や現物給付と出生率に正の相関があることを明記しているので、それを参考にすべきだった。
『世代間格差 人口減少社会を問い直す』加藤久和
第2章の貧困問題については、類書の方が詳しいだろう。せめて再分配と貧困率の関係に言及しないと不充分である。
『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』
第3章の医療問題についても、悪くはないが踏み込みがやや浅い。都道府県により医療費の差が大きいことから、医療インフラ(医師や診療所、病床数の多さ)の影響を指摘する声が出ている。
第4章の経済成長分析が最も劣る。相関性と因果関係の違いを分かっていながら教育だけ強調するのは基本的に間違いだ。日本は元々学力水準が高いのに、大学進学率の低いドイツに成長率でも賃金上昇率でも負けている。大学進学率が日本より高くなった韓国の成長率が逆相関で下がっているという厳然たる事実もある。日本の「失われた20年」と教育水準や学力との相関は皆無であり、育児支援が成長率を向上させることを実証した柴田准教授の足下にも及ばない。
『子育て支援が日本を救う (政策効果の統計分析)』柴田悠
女性の労働参加率が高く、就労を強制する高負担社会のスウェーデンの方が成長率において日本の2倍以上は高いという近年の事実を直視して謙虚に考察する姿勢が必要である。日本と違い企業に対しても峻厳で、対内投資を促進し劣等企業を淘汰する厳しい国だから高成長なのだ。
『スウェーデン・パラドックス』
法人税率に関する分析も極めて底が浅い。日本の法人税率と経済成長率をプロットして比較するがいい。税率が下がっても金融資産だけ増えて成長率もGDPも低迷し続けたという惨状なのだ。
『「新興富裕層」が日本を滅ぼす』
【評価】選択バイアスが強い 【入手先】書店 【お薦め度】因果関係実証の限界を要認識
第1章の少子化問題については、悪くはないがもう一歩。既に、加藤久和・明大教授が家族予算規模や現物給付と出生率に正の相関があることを明記しているので、それを参考にすべきだった。
『世代間格差 人口減少社会を問い直す』加藤久和
第2章の貧困問題については、類書の方が詳しいだろう。せめて再分配と貧困率の関係に言及しないと不充分である。
『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』
第3章の医療問題についても、悪くはないが踏み込みがやや浅い。都道府県により医療費の差が大きいことから、医療インフラ(医師や診療所、病床数の多さ)の影響を指摘する声が出ている。
第4章の経済成長分析が最も劣る。相関性と因果関係の違いを分かっていながら教育だけ強調するのは基本的に間違いだ。日本は元々学力水準が高いのに、大学進学率の低いドイツに成長率でも賃金上昇率でも負けている。大学進学率が日本より高くなった韓国の成長率が逆相関で下がっているという厳然たる事実もある。日本の「失われた20年」と教育水準や学力との相関は皆無であり、育児支援が成長率を向上させることを実証した柴田准教授の足下にも及ばない。
『子育て支援が日本を救う (政策効果の統計分析)』柴田悠
女性の労働参加率が高く、就労を強制する高負担社会のスウェーデンの方が成長率において日本の2倍以上は高いという近年の事実を直視して謙虚に考察する姿勢が必要である。日本と違い企業に対しても峻厳で、対内投資を促進し劣等企業を淘汰する厳しい国だから高成長なのだ。
『スウェーデン・パラドックス』
法人税率に関する分析も極めて底が浅い。日本の法人税率と経済成長率をプロットして比較するがいい。税率が下がっても金融資産だけ増えて成長率もGDPも低迷し続けたという惨状なのだ。
『「新興富裕層」が日本を滅ぼす』
【評価】選択バイアスが強い 【入手先】書店 【お薦め度】因果関係実証の限界を要認識
2017年1月24日に日本でレビュー済み
結論*日本の経済・政治の方位磁石のような情報が詰まった本だ。
「少子高齢化社会」の原因が「少子化」にあること、(著者はフリーライダーという経済用語は避けておられるが)「少子化問題」は、既成の年金・社会福祉制度が子供を産まない、家庭を作らないというフリーライダーを無制限に増大する制度であることが前半で明快に示されている。この結果起きている日本経済の現状や近未来の社会保障のリスクを指摘しているが、最終章では、研究開発や幼児教育など、有効な施策を決定するためにランダム化比較実験という社会実験と行って、解決策を生みだすことができれば経済成長は可能だと述べられている。
他にも随所に具体的な政策例が述べられていて興味深い。例えば「2歳以下の人口に対して50%の保育サービスの定員を確保」することができれば少子化問題は解決する可能性が極めて大きくなるらしい。日本を考える学生・社会人必読の書。
「少子高齢化社会」の原因が「少子化」にあること、(著者はフリーライダーという経済用語は避けておられるが)「少子化問題」は、既成の年金・社会福祉制度が子供を産まない、家庭を作らないというフリーライダーを無制限に増大する制度であることが前半で明快に示されている。この結果起きている日本経済の現状や近未来の社会保障のリスクを指摘しているが、最終章では、研究開発や幼児教育など、有効な施策を決定するためにランダム化比較実験という社会実験と行って、解決策を生みだすことができれば経済成長は可能だと述べられている。
他にも随所に具体的な政策例が述べられていて興味深い。例えば「2歳以下の人口に対して50%の保育サービスの定員を確保」することができれば少子化問題は解決する可能性が極めて大きくなるらしい。日本を考える学生・社会人必読の書。