発売以来、8年を経過し興味深いレビューも多いが、最近発見し今読んで古さはなく刺激を受けたので記す。
著者提案の昆虫微小脳、哺乳類巨大脳の対比によりそれぞれの特質が浮き彫りとなっていく過程が見所となっている。
例えば、ハエの空間分解能はヒトより劣るが時間分解能はヒトより優れている。蛍光灯が点滅して見え映画は一コマ一コマが止まって見える。
だから、ハエには人の動きはスローモーションに見え、人がハエを撃ち落とすことは難しい。
生物の種を超えた共通遺伝子が数多く発見されている。
例えば、ショウジョウバエとマウスの共通マスター・コントロール遺伝子が発見されている。そして、無脊椎動物と脊椎動物のボディプランを決める遺伝子、眼や心臓、生物時計、中枢神経系の形成に関わる遺伝子が同一であるということも分っている。
このことは、私たち哺乳類の巨大脳と昆虫の微小脳の基本的部分も、共通の祖先つまり、無脊椎動物と脊椎動物のが分岐する前に共通の祖先動物がいて基本プランが既に確立されていたという可能性を示唆する。
ハエは、空間解像力が低いが、1秒間に何回の明暗の変化を見分ける事が出来るかで評価する時間解像力(因みに、ヒトは15回から60回、ハエは150回である)で補って巧みなアクロバット飛行を実現している。
つまり、生物によって物理的世界の中での時間間隔が異なるという事である。なので、ハエは主観的には十分生きているのかもしれない。
短期記憶はニューロンの持続的な電気的活動、中期記憶はニューロンのシナプス部での生化学的変化、長期的記憶は新規のタンパク質合成による新たなシナプスの形成である。刷り込みとは、書き換えが利かない長期記憶である。
そして、長期記憶形成の基盤をなす分子機構が無脊椎動物と脊椎動物の分岐以前に成立していた可能性が高いことが分かってきた。
記憶形成のメカニズムは、種を超えた共通性があることの一端が明らかになるつつある。
昆虫の微小脳の驚くべき巧妙な仕組みが研究の進展により明らかにされつつある。それは、ものによっては哺乳類の巨大脳に引けを取らない能力もある。
一つ印象深かったのは、第三の眼である。それは神話、伝説、チベットや仏教にもあり謎であった。突き詰めれば単眼でありそれは空と大地のコントラストを検知しているものであるということであり腑に落ちた。
ギッシリと詰まっているが真摯な研究態度が自ずから顕れていて気持ちの良い本であった。
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昆虫: 驚異の微小脳 (中公新書 1860) 新書 – 2006/8/25
水波 誠
(著)
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- ISBN-104121018605
- ISBN-13978-4121018601
- 出版社中央公論新社
- 発売日2006/8/25
- 言語日本語
- 本の長さ291ページ
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- 出版社 : 中央公論新社 (2006/8/25)
- 発売日 : 2006/8/25
- 言語 : 日本語
- 新書 : 291ページ
- ISBN-10 : 4121018605
- ISBN-13 : 978-4121018601
- Amazon 売れ筋ランキング: - 152,661位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2018年11月25日に日本でレビュー済み
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ルーペを使わないと見えないほどの小さな昆虫脳に、我々の脳に見劣りしない高度な機能が詰まっている事に、本当に本当に驚嘆しました。そして、最新の研究によって脳内の「配線」が相当に解明されてきており、それをわかりやすく解説してくれているのは本当に素晴らしいです。昆虫脳のチャートを見ていると、昆虫脳はディープラーニング的な要素とノイマン型コンピューター的な要素のハイブリッドになっているのではないかとイメージが膨らみました。
では、我々の巨大な脳との違いは何なのか?オトシブミの巣作りのような高度な作業プログラムがどのようにして生得されているのか?わからないにしても、この2点について考察を加えてくれていれば星5つでした。
では、我々の巨大な脳との違いは何なのか?オトシブミの巣作りのような高度な作業プログラムがどのようにして生得されているのか?わからないにしても、この2点について考察を加えてくれていれば星5つでした。
2019年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昆虫の行動に興味があり、購入したが専門的であり、昆虫の本能行動に興味を持ち始めた方には、逆に挫折するのでは?
2017年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昆虫に興味があり、深く掘り下げて知識を持ちたいと思っているようなので、購入しました。
中古ですが、状態が良く、満足しているようです。
中古ですが、状態が良く、満足しているようです。
2015年6月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昆虫には縁のない、一般人ですがふと目について購入して見ました。
読んでびっくり。
中枢神経系というか、脳というか
あるかないかわからないような小さい部位を観察する方法もすごくて研究者の熱意も伝わりましたが
昆虫には洗練された機能的なシステムがあるということに感動しました。
学術書を一般向けに易しく書いてくれていますが、それでも微小脳のすごさは伝わりました。
読んでびっくり。
中枢神経系というか、脳というか
あるかないかわからないような小さい部位を観察する方法もすごくて研究者の熱意も伝わりましたが
昆虫には洗練された機能的なシステムがあるということに感動しました。
学術書を一般向けに易しく書いてくれていますが、それでも微小脳のすごさは伝わりました。
2012年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を手に取った切欠は、昆虫のことをもっと詳しく知りたいと思ったからなのです。
昆虫のことをもっと詳しく知りたい!
どのようにしてあの小さな体でここまで多種多様な進化を遂げたのか。
そのフォルムに魅了される。地球上のどこを探してもこんなに知識欲を掻立てる世界はない。
文の随所に現れるその凄惨な実験方法を知り、今までのそんな姿勢に疑問を感じてしまいました。
確かに、私自身昆虫の魅力は、その機械的で無機質な構造に有ると認識しております。
生物学者の多くは、自らの専門とする動物を好きだと言います。
ファーブルも彼らは友達だと、幼少期に読んだ本に書いてあったように思います。
科学者の皆様はこれについてどのように心の中で整理をつけ実験を行っているのでしょうか?
そういった科学者の倫理観の置き場所にも、とても興味をそそられる内容でした。
昆虫のことをもっと詳しく知りたい!
どのようにしてあの小さな体でここまで多種多様な進化を遂げたのか。
そのフォルムに魅了される。地球上のどこを探してもこんなに知識欲を掻立てる世界はない。
文の随所に現れるその凄惨な実験方法を知り、今までのそんな姿勢に疑問を感じてしまいました。
確かに、私自身昆虫の魅力は、その機械的で無機質な構造に有ると認識しております。
生物学者の多くは、自らの専門とする動物を好きだと言います。
ファーブルも彼らは友達だと、幼少期に読んだ本に書いてあったように思います。
科学者の皆様はこれについてどのように心の中で整理をつけ実験を行っているのでしょうか?
そういった科学者の倫理観の置き場所にも、とても興味をそそられる内容でした。
2010年8月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間は猿から進化したばかりではなく、もっと遡ると人間の祖先はネズミに似た一種の哺乳類から進化した程度までは、私は素人なりにわかっていたので、もうこれ以上驚かされることはないだろうと構えていたが、本書はさらに驚愕とも言える最新研究成果の連続であった。著者は昆虫と哺乳類の対比を微小脳と巨大脳という比較でとらえ、微小脳を「外骨格をもつ動物の脳」と定義する。昆虫は確かに捕まえてみると外骨格といえるような硬めの組織で覆われており、我々哺乳類は内部に骨格を有している。全く別物である。
実際、約2世紀前にキュヴィエが動物のボディプランを脊椎、節足、軟体、棘皮と4区分して以来、それらが絶対不動の真理として信じられてきた。昆虫という節足動物では神経系は腹を走り、人間(脊椎動物)では背を走り、長い間同一とはされてこなかった。ところがキュヴィエの反対論者のジョフロワは「脊椎動物のボディプランは、節足動物が背腹ひっくり返したものと考えれば同じ」とし、最終的に1990年代にジョフロワが正しいことになった。なるほど、アリをひっくり返せして歩かせれば、神経系は背側となる。つまり、ムカデ、アリ、ミミズ等は脊椎動物と一部共通する遺伝子を持っているようである!私は、以来、ゲジゲジを見て、人間の背骨を連想するようになったし、哺乳類の背骨のレントゲン写真はムカデの体節と非常によく似ているではないか!ジョフロワにしても科学的な推論から真理に到達したわけではなく、神秘思想が背景にあったようである。
このように「昆虫と脊椎動物の中枢神経系の形成にも、同一の遺伝子群が使用されていることがわかってきた」のは、進化発生生物学のおかげであり、この分野は急速に発展しているという。まずこの点をしっかり押さえておかないと本書の魅力は大きく減じる。
結局、進化を絶えず念頭に置いて本書を読むと、最新の知見が一層輝きを増して興味が尽きることがない。
実際、約2世紀前にキュヴィエが動物のボディプランを脊椎、節足、軟体、棘皮と4区分して以来、それらが絶対不動の真理として信じられてきた。昆虫という節足動物では神経系は腹を走り、人間(脊椎動物)では背を走り、長い間同一とはされてこなかった。ところがキュヴィエの反対論者のジョフロワは「脊椎動物のボディプランは、節足動物が背腹ひっくり返したものと考えれば同じ」とし、最終的に1990年代にジョフロワが正しいことになった。なるほど、アリをひっくり返せして歩かせれば、神経系は背側となる。つまり、ムカデ、アリ、ミミズ等は脊椎動物と一部共通する遺伝子を持っているようである!私は、以来、ゲジゲジを見て、人間の背骨を連想するようになったし、哺乳類の背骨のレントゲン写真はムカデの体節と非常によく似ているではないか!ジョフロワにしても科学的な推論から真理に到達したわけではなく、神秘思想が背景にあったようである。
このように「昆虫と脊椎動物の中枢神経系の形成にも、同一の遺伝子群が使用されていることがわかってきた」のは、進化発生生物学のおかげであり、この分野は急速に発展しているという。まずこの点をしっかり押さえておかないと本書の魅力は大きく減じる。
結局、進化を絶えず念頭に置いて本書を読むと、最新の知見が一層輝きを増して興味が尽きることがない。
2015年5月10日に日本でレビュー済み
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内容が難しすぎた。でも、寝る前の睡眠薬代わりになったかも。これは専門家が読むものだと買ってから気付いた。