この本を読んだきっかけは、経済学者ヴェブレン(1857年~1929年)の学説に興味をもったことにあります。学説の概要を知ると次はそれを産んだ時代背景を知りたくなりました。そこで、手軽に読める新書からその時代に焦点をあてた本書を選びました。
読んでみると、限られたスペースのなかに当時(1890年~1945年)のアメリカの状況がよく描き出されており、初めて知ることが次から次に出てきました。
特に印象に残った事柄を要約しながら書き出します。
・1900年頃に現代アメリカの原型の多くができあがっていたこと。
・アメリカ史における革新主義とは急速に発展した工業繁栄のもとで「改革」を目指したが「進歩的」な側面ばかりではなかったこと。
・大量生産、大量消費、中産階級の勃興、余暇の拡がり、消費の多様化(スポーツや芸術鑑賞など)がみられたこと。
・1920年代国民総生産は年5%以上の成長を達成したこと。
・都市スラムの問題、女性、移民や黒人の権利問題は大きな問題として社会的な運動が起き始めたこと。
・世界恐慌がニューヨークで始まり全世界に波及していったことが示すように当時すでに世界一の工業国だったこと。その中で労使の対立が厳しくなって
いったこと。
・1929年10月24日に始まった恐慌を乗り越えたのはニューディールによるのではなく第二次大戦がもたらした軍需景気であった。ニューディールで発揮
された「知的探 求体制」が大戦下では機能したこと。
・第二次大戦で経済復興がなされた。労働者の実質賃金が39年から45年までで27%上昇したこと。
・原爆が日本に落とされたのはなぜか。戦争の早期終結を考えた。ソ連との対抗上から。白人の国でなかったというのも理由の一つとされているようだ。
四つ目はトルーマンが原爆を使って「男になろうとした」という見解もあるようです。
現代の日本ではアメリカの情報は大量に入って来ます。しかし、しかし、歴史のこととなるとイギリスやフランスのそれと大きな差があると思うのは私だけでしょうか。日米が深い関係であるだけに、もっともっとアメリカの歴史をしる必要があると感じました。
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アメリカの20世紀 上 1890年~1945年 (中公新書 1664) 新書 – 2002/10/1
有賀 夏紀
(著)
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- ISBN-104121016645
- ISBN-13978-4121016645
- 出版社中央公論新社
- 発売日2002/10/1
- 言語日本語
- 本の長さ234ページ
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2002/10/1)
- 発売日 : 2002/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 234ページ
- ISBN-10 : 4121016645
- ISBN-13 : 978-4121016645
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2015年12月25日に日本でレビュー済み
2013年9月2日に日本でレビュー済み
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黒船による開国に始まる日本の近代化は苦難に満ちた道筋をとり、戦前期は不幸な15年戦争に突入することになりました。その日本社会では、徳川期の村落共同体が1930年代まで農村に残っていました。1960年代の経済高度成長は明治期に始まる西欧模倣の近代化にデモクラシーや大衆消費というアメリカ化を加え、「西洋の衝撃」を経験してきた日本社会を根本から変化させる過程になったといえます。では日本人が見たアメリカ化とはどのようなものだったのか、それを具体的かつ身近に教えてくれるのが有賀先生のこの名著です。
2008年10月2日に日本でレビュー済み
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本書は、アメリカのフェミニズム研究の大家である著者が、20世紀のアメリカ社会の軌跡を概観する一冊である。
著者の言葉を借りるならば、20世紀アメリカ社会の基盤が、世紀転換期に興隆した「革新主義」と呼ばれる思想にもとづいて形成され、政治・経済の指導者から移民や黒人などに至る多様な人々によって動かされてきたその経緯を明らかにするものである。
(上巻)は、20世紀前夜(1890年代)から第2次世界大戦終結(1945年)まで。急速な工業化により「世界の工場」としての地位を確立し、2つの世界大戦を経て、アメリカ主導の世界を実現するまでの過程を描く。
一方、(下巻)は、第二次世界大戦終結後(1945年)から、同時多発テロ(2000年前半)まで。ソ連との対立、ベトナム戦争の泥沼化によりアメリカの国際地位が低下する中、公民権運動など社会改革を求める動きが加速する。冷戦の終結により超大国となったアメリカは、どこへ向かおうとするのか。国内外の新たな試練にさらされる現実を描く。
本書は、アメリカの政治、経済、文化、思想、外交など多方面の分野がコンパクトに解説されているだけでなく、前提知識の無い読者を想定して書かれているので、背景知識のない読者でも十分読みこなせるように仕上がっている。アメリカ社会の全体像を知る入門書としては最適な一冊といえる。
著者の言葉を借りるならば、20世紀アメリカ社会の基盤が、世紀転換期に興隆した「革新主義」と呼ばれる思想にもとづいて形成され、政治・経済の指導者から移民や黒人などに至る多様な人々によって動かされてきたその経緯を明らかにするものである。
(上巻)は、20世紀前夜(1890年代)から第2次世界大戦終結(1945年)まで。急速な工業化により「世界の工場」としての地位を確立し、2つの世界大戦を経て、アメリカ主導の世界を実現するまでの過程を描く。
一方、(下巻)は、第二次世界大戦終結後(1945年)から、同時多発テロ(2000年前半)まで。ソ連との対立、ベトナム戦争の泥沼化によりアメリカの国際地位が低下する中、公民権運動など社会改革を求める動きが加速する。冷戦の終結により超大国となったアメリカは、どこへ向かおうとするのか。国内外の新たな試練にさらされる現実を描く。
本書は、アメリカの政治、経済、文化、思想、外交など多方面の分野がコンパクトに解説されているだけでなく、前提知識の無い読者を想定して書かれているので、背景知識のない読者でも十分読みこなせるように仕上がっている。アメリカ社会の全体像を知る入門書としては最適な一冊といえる。
2008年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ローマの道は一日にして成らず。
コントラスト、消費社会、知的探求体制、人種差別……こうした現代アメリカを特徴づける
種々の要素が、「アメリカの世紀pax americana」の入り口において既に姿を覗かせていた
ことを、極めて明快に披露してみせる一冊。
産業、政治、文化のそれぞれについて、押さえるべきところを一通り押さえて、20世紀
アメリカ史の入門書としては最適であるようにも思う。気になったところについてさらに本を
読み重ねて、知識を強化していくための第一歩にうってつけの一冊、と言えよう。
しかし逆に言えば、ある程度そのジャンルについての知識を有しているものにとっては若干
刺激が足りない、とも言える。要は、入門書としてそれだけスマートであるということの証。
コントラスト、消費社会、知的探求体制、人種差別……こうした現代アメリカを特徴づける
種々の要素が、「アメリカの世紀pax americana」の入り口において既に姿を覗かせていた
ことを、極めて明快に披露してみせる一冊。
産業、政治、文化のそれぞれについて、押さえるべきところを一通り押さえて、20世紀
アメリカ史の入門書としては最適であるようにも思う。気になったところについてさらに本を
読み重ねて、知識を強化していくための第一歩にうってつけの一冊、と言えよう。
しかし逆に言えば、ある程度そのジャンルについての知識を有しているものにとっては若干
刺激が足りない、とも言える。要は、入門書としてそれだけスマートであるということの証。
2017年6月26日に日本でレビュー済み
タイトル通り、少し手前の1890年代から2000年まで、アメリカの20世紀の歴史をコンパクトにまとめた本である。
上下巻あわせて400ページちょっと(最近だったら一冊にまとめてしまう出版社もあるかも)あるが、書き方は分かりやすく一気に読める。
凡そ10年ごとに一章割いてまとめていく感じで、革新主義、大衆消費社会、激動の60年代、保守化など、各時代の特徴をうまく掴んでいる。
まとめ上げ方としては、筆者がフェミニズム研究を専門としていることもあり、女性やマイノリティの問題について紙面を多く割いている印象を受けた。
マイノリティの話は他書でもよく見るが、女性の社会的地位、家庭環境、主婦の役割等を詳しく書いているのは本書の大きな特徴でもあろう。
そうはいっても勿論経済政策や外交政策などもきちんと触れられている。
最後に文献リストがついているので、進んで知りたければさらに読み進められるようになっているのもいい。
巻末に年表と索引がついており、まさに手堅くまとめたアメリカ史教科書という感じであろう。
上下巻あわせて400ページちょっと(最近だったら一冊にまとめてしまう出版社もあるかも)あるが、書き方は分かりやすく一気に読める。
凡そ10年ごとに一章割いてまとめていく感じで、革新主義、大衆消費社会、激動の60年代、保守化など、各時代の特徴をうまく掴んでいる。
まとめ上げ方としては、筆者がフェミニズム研究を専門としていることもあり、女性やマイノリティの問題について紙面を多く割いている印象を受けた。
マイノリティの話は他書でもよく見るが、女性の社会的地位、家庭環境、主婦の役割等を詳しく書いているのは本書の大きな特徴でもあろう。
そうはいっても勿論経済政策や外交政策などもきちんと触れられている。
最後に文献リストがついているので、進んで知りたければさらに読み進められるようになっているのもいい。
巻末に年表と索引がついており、まさに手堅くまとめたアメリカ史教科書という感じであろう。
2010年11月11日に日本でレビュー済み
著者はアメリカ史が専門の埼玉大学教養学部教授。2002年刊。
私は常々、岩波新書、講談社現代新書、そして中公新書がクォリティの高い3大新書であると考えてきました。特に中公新書は、岩波新書が時に陥りがちな硬質な日本語による衒学主義からは距離をとり、一方で講談社現代新書ほど砕けすぎることもない、極めてバランスの良い表現と構成立てが魅力だと思います。この『アメリカの20世紀〈上〉』は中公新書らしく、私の期待を全く裏切ることのない、大変手堅い一冊であるといえます。
上巻はアメリカの20世紀史の前半1945年までを短時間で概観できる200頁強の新書となっています。
アメリカが20世紀に築いてきた価値観と社会システムとして著者が強調するのは「革新主義」という言葉です。
1920年代、信仰と形容してもいいほどの強い科学への信頼をバックボーンとし、企業・政府・学界が一体となって社会の発展を推進していく政治・経済・社会システムの構築、それが「革新主義」です。それはまた、人種や性による差別の問題や、外交問題にも強い影響を与えて行くことになります。
少し時代が下ってニュー・ディールを推進したローズヴェルト大統領のブレーンたちもまさにこの「革新主義」を継承した「知的探求体制」であったと著者は言います。
このキーワードは現代アメリカを今後見つめる上で常に立ち返る必要がありそうです。
また、第二次大戦中のアメリカで市民の高級品消費が盛んだったという点は興味深く読みました。同時期の日本人が食うや食わずの困窮生活であった一方、戦場にならなかったアメリカでこうした物質生活が進んでいたとは。考えてみれば想像がつかないというほどのことでもありませんが、この本で改めてその彼我の差を思った次第です。
高校生以上の読者で、アメリカの現代史をおさらいしてみようと考える人にはうってつけの一冊だと思います。
私は常々、岩波新書、講談社現代新書、そして中公新書がクォリティの高い3大新書であると考えてきました。特に中公新書は、岩波新書が時に陥りがちな硬質な日本語による衒学主義からは距離をとり、一方で講談社現代新書ほど砕けすぎることもない、極めてバランスの良い表現と構成立てが魅力だと思います。この『アメリカの20世紀〈上〉』は中公新書らしく、私の期待を全く裏切ることのない、大変手堅い一冊であるといえます。
上巻はアメリカの20世紀史の前半1945年までを短時間で概観できる200頁強の新書となっています。
アメリカが20世紀に築いてきた価値観と社会システムとして著者が強調するのは「革新主義」という言葉です。
1920年代、信仰と形容してもいいほどの強い科学への信頼をバックボーンとし、企業・政府・学界が一体となって社会の発展を推進していく政治・経済・社会システムの構築、それが「革新主義」です。それはまた、人種や性による差別の問題や、外交問題にも強い影響を与えて行くことになります。
少し時代が下ってニュー・ディールを推進したローズヴェルト大統領のブレーンたちもまさにこの「革新主義」を継承した「知的探求体制」であったと著者は言います。
このキーワードは現代アメリカを今後見つめる上で常に立ち返る必要がありそうです。
また、第二次大戦中のアメリカで市民の高級品消費が盛んだったという点は興味深く読みました。同時期の日本人が食うや食わずの困窮生活であった一方、戦場にならなかったアメリカでこうした物質生活が進んでいたとは。考えてみれば想像がつかないというほどのことでもありませんが、この本で改めてその彼我の差を思った次第です。
高校生以上の読者で、アメリカの現代史をおさらいしてみようと考える人にはうってつけの一冊だと思います。
2003年1月19日に日本でレビュー済み
二〇世紀はアメリカの世紀だった。アメリカが二〇世紀の超大国として、世界の政治・経済を動かし、アメリカ文明・文化の影響力は世界の隅々にまで及んでいった。本書は超大国アメリカの社会そのものの発展・変化に焦点をあて、多様な人種的民族的文化的背景をもつ人で構成されているアメリカ社会が、どのような勢力によって、どのような思想に基づいて形成され、変化していったのかという点を明快に論じている。結論を一言で言えば、二〇世紀アメリカ社会は、政治・経済の指導者から移民や黒人などに至る多様な人々によって、世紀転換期に興隆した革新主義と呼ばれる思想に基づいて形成され、動かされたのである。
筆者は、現代アメリカの原型が世紀転換期に形成されたと明言する。科学技術の革新に裏付けられた急速な工業化、移民の大量流入、都市人口の増大などで一九世紀のアメリカ社会は一変した。このような社会の混乱を克服するために出てきたのが革新主義思想だった。革新主義思想とは、組織化、科学的合理的な方法を用いれば社会の諸問題を解決することができ、正義が実現できるという、科学万能主義的な考え方である。この革新主義思想に基づき、秩序・安定・効率を求めて政府・企業・研究機関の三者が緊密に協力する社会体制を確立し、このシステムの下で経済発展は加速し、一九二〇年代末の大恐慌と二度の世界大戦を経て、アメリカは世界をリードする超大国にのしあがっていった。
専門用語など皆無で、特別アメリカ史の知識がなくても十分理解できる。アメリカ研究の第一人者が、平易な表記・文体で書き下ろした傑作だ。特に下巻の最終章「『九月一一日』が示すアメリカ」は圧巻である。
筆者は米国の名門スタンフォード大学で博士号を取得、現在埼玉大学教養学部教授。代表作『アメリカ・フェミニズムの社会史』(勁草書房、1988)は不朽の名作であり、山川菊栄賞および日米友好基金賞を受賞。強く一読を薦める。
筆者は、現代アメリカの原型が世紀転換期に形成されたと明言する。科学技術の革新に裏付けられた急速な工業化、移民の大量流入、都市人口の増大などで一九世紀のアメリカ社会は一変した。このような社会の混乱を克服するために出てきたのが革新主義思想だった。革新主義思想とは、組織化、科学的合理的な方法を用いれば社会の諸問題を解決することができ、正義が実現できるという、科学万能主義的な考え方である。この革新主義思想に基づき、秩序・安定・効率を求めて政府・企業・研究機関の三者が緊密に協力する社会体制を確立し、このシステムの下で経済発展は加速し、一九二〇年代末の大恐慌と二度の世界大戦を経て、アメリカは世界をリードする超大国にのしあがっていった。
専門用語など皆無で、特別アメリカ史の知識がなくても十分理解できる。アメリカ研究の第一人者が、平易な表記・文体で書き下ろした傑作だ。特に下巻の最終章「『九月一一日』が示すアメリカ」は圧巻である。
筆者は米国の名門スタンフォード大学で博士号を取得、現在埼玉大学教養学部教授。代表作『アメリカ・フェミニズムの社会史』(勁草書房、1988)は不朽の名作であり、山川菊栄賞および日米友好基金賞を受賞。強く一読を薦める。
2005年2月20日に日本でレビュー済み
新大陸のフロンティアへの膨張があらかた終了し、超大国としての道を歩みはじめた20世紀のアメリカの足跡を詳細に記述するアメリカ現代史の好著。本書は本格的な工業化がはじまる1890年から原爆投下による日本に対する勝利の年である1945年までを扱う上巻と、そしてスーパー・パワーとして長い米ソ冷戦対立を経て、最終的に共産主義に勝利し、米国中枢同時テロ直前の2000年までを扱う下巻で構成されている。各巻とも巻末に詳細な年表と「20世紀のアメリカを知る本」という文献リストが整備されている。世界貿易センターへのテロについては下巻で「『9月11日』が示すアメリカ-結びにかえて」という章を設けて、著者の意見が開陳されている。