本書を読んでクニマスの発見をどれだけ多くの人が切望していたか、また魚の識別がどれほど難しいかを知りました。
発表時に報道されていた事は事実とは違うのですね。
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絶滅魚クニマスの発見: 私たちは「この種」から何を学ぶか (新潮選書) 単行本(ソフトカバー) – 2021/4/21
中坊 徹次
(著)
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「不思議な生態」から湧き起った疑問が、「奇跡の発見」の扉を押し開けた!
1940年に秋田県田沢湖から姿を消した固有種の魚「クニマス」は、
なぜ、70年の時を経て、遠く離れた山梨県西湖で見つかったのか?
昭和初期の大規模開発による環境改変、生物の絶滅、失われた漁業――。失意の元漁師が残したクニマスへの思いが時空を超えて魚類学者に受け継がれた時、クニマスのある「不思議な生態」が姿を現した!
生態学を起点に分類学、ダーウィン進化論へと広がる「種の物語」は、やがて絶滅に向き合う「人々の物語」へとつながってゆき……。
「種」とは何か? 絶滅とは何か? 環境保護とは何か?
自然科学研究の本質と醍醐味を描く、未来の生物学者必読の一冊。
目次
プロローグ
第 I 部 どのような魚か
第1章 発見への道のり
第2章 西湖クロマスはクニマスか
第3章 伝説から科学へ
第4章 原型としてのヒメマス
第5章 田沢湖でクニマスになる
第6章 種の輪郭
第7章 記録の検証
第 II 部 絶滅と復活
第8章 消えゆくクニマス
第9章 田沢湖の昔
第10章 漁業組合の結成と終焉
第11章 見えない魚の行方
第12章 発見から保全へ
第13章 保全と里帰りのための研究
第14章 里帰り――現在から未来へ
エピローグ
1940年に秋田県田沢湖から姿を消した固有種の魚「クニマス」は、
なぜ、70年の時を経て、遠く離れた山梨県西湖で見つかったのか?
昭和初期の大規模開発による環境改変、生物の絶滅、失われた漁業――。失意の元漁師が残したクニマスへの思いが時空を超えて魚類学者に受け継がれた時、クニマスのある「不思議な生態」が姿を現した!
生態学を起点に分類学、ダーウィン進化論へと広がる「種の物語」は、やがて絶滅に向き合う「人々の物語」へとつながってゆき……。
「種」とは何か? 絶滅とは何か? 環境保護とは何か?
自然科学研究の本質と醍醐味を描く、未来の生物学者必読の一冊。
目次
プロローグ
第 I 部 どのような魚か
第1章 発見への道のり
第2章 西湖クロマスはクニマスか
第3章 伝説から科学へ
第4章 原型としてのヒメマス
第5章 田沢湖でクニマスになる
第6章 種の輪郭
第7章 記録の検証
第 II 部 絶滅と復活
第8章 消えゆくクニマス
第9章 田沢湖の昔
第10章 漁業組合の結成と終焉
第11章 見えない魚の行方
第12章 発見から保全へ
第13章 保全と里帰りのための研究
第14章 里帰り――現在から未来へ
エピローグ
- 本の長さ332ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2021/4/21
- 寸法12.8 x 2.1 x 19.1 cm
- ISBN-104106038641
- ISBN-13978-4106038648
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商品の説明
出版社からのコメント
エピローグ より一部抜粋
自然科学の研究者が何に興味をもつのか。
同じ対象であっても、そこから発している問題の捉え方は様々である。
魚類学の世界に入ったときから、フィールドで種に向き合ってきた。
種は棲み分けを見せており、その背後に進化を考えた。
分類学では類似の種の集まりが属として認識される。
私がフィールドで出会った棲み分けは同じ属内の種の間に見られるものであった。
同属内の種が見せる棲み分けに対して私がもっていた自然観が、クニマスの深い湖底での産卵を知った時に揺らいだのである。
山梨県西湖での発見からほぼ10年、当時を振り返ると、細い橋を渡ってきたと思う。
たった9個体での出発だった。
当初は、いろいろと不足しているところを指摘されたが、今では西湖のクニマスについて様々なことがわかってきている。何より周年産卵の片鱗も見られている。
本当なら、こういうことがわかってから西湖のクニマスは田沢湖のクニマスの末裔だと言うのが一番いいのだと思う。
しかし、初めからすべてがわかるわけではない。
自然科学の研究は細い橋を渡っているときこそ、しんどいけれども緊迫感がある。
そして、細い橋を渡った後には、それまで知られていなかった世界が展開していく。
既知の知識を用いて未知のことを明らかにしてゆくときは楽しい。
著者について
中坊徹次 Tetsuji Nakabo
1949年京都府生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)。専攻は魚類学。
著書に『日本産魚類検索全種の同定 初版、第二版、英文版、第三版』(編著、東海大学出版会)、『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(共著、東海大学出版部)、『日本魚類館』(編・監修・著、小学館)などがある。
1949年京都府生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)。専攻は魚類学。
著書に『日本産魚類検索全種の同定 初版、第二版、英文版、第三版』(編著、東海大学出版会)、『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(共著、東海大学出版部)、『日本魚類館』(編・監修・著、小学館)などがある。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2021/4/21)
- 発売日 : 2021/4/21
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 332ページ
- ISBN-10 : 4106038641
- ISBN-13 : 978-4106038648
- 寸法 : 12.8 x 2.1 x 19.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 276,084位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 103位魚類学
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年4月29日に日本でレビュー済み
36ページにクニマス初対面の下りでは誰がどういう経緯で持ってきたと記されていない。
一方299ページにエピローグで宮澤(さかなくん)が持ってきたと記載。
このあたりの記載は意図を含んでいるようだ。宮澤部分だけがマスコミに脚色、さかなくんークニマスーお手柄ー天皇のコメント このくくりで独り歩きしているので、この本では不要と判断したのかも。
導入部で、宮澤の記載なしは徹底しすぎているようにも思える。
学術面で宮澤が何かしたわけではないが、あまりのタイミングの良さ、やはり彼は持っている。
一方299ページにエピローグで宮澤(さかなくん)が持ってきたと記載。
このあたりの記載は意図を含んでいるようだ。宮澤部分だけがマスコミに脚色、さかなくんークニマスーお手柄ー天皇のコメント このくくりで独り歩きしているので、この本では不要と判断したのかも。
導入部で、宮澤の記載なしは徹底しすぎているようにも思える。
学術面で宮澤が何かしたわけではないが、あまりのタイミングの良さ、やはり彼は持っている。
2021年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年に大きく報じられた「クニマスの発見」。その発見への道のりが、発見論文の著者によって、客観的事実として描かれている。発見のベースとなった「種としてのクニマスとは何か」「ヒメマスとクニマスの違いは何か」という根本的な問題が解説してあり、「深い湖底での産卵」が発見の大きなポイントであったことがよくわかる。本書では「発見」のみならず、クニマスがどのように進化してきたかという推察も述べられており、生物学の教科書としても役立つ。とくにサケ科魚類の進化には、「種」「亜種」とともに「コカニー」という概念が非常に重要であるということがわかり、非常に勉強になった。一般はもとより、魚類学、水産学研究者にも必読の本だと思う。
2021年7月12日に日本でレビュー済み
2010年、絶滅魚クニマスが70年ぶりに発見されるという衝撃的なニュースが報じられた。本書はその発見劇の舞台裏と、それからのクニマス研究の進展をまとめた、クニマスについての集大成と言うべき一冊である。
まず印象に残ったのは、種の同定の大変さである。外見ではヒメマスに酷似したクニマスを見分ける為に、鰓耙と幽門垂を顕微鏡で見て数えるという、華々しい再発見のニュースの裏にあった地道な作業を知る事が出来る。そして、学問とは気の遠くなるような努力の集成であることに気付かされる。また、湖の深部で繁殖するという特異な生態を持つ魚がどうやって誕生したのかについての考察は、倒叙ミステリーを読み解くような面白さがある。
クニマスについてまとめられた書籍としては、杉山秀樹の『クニマス百科』がある。しかし当時は情報が限られており、クニマスの真実については過去の伝聞・記録の分析に依るしかなかった。本書では現に生きたクニマスが見つかったため、今一度往時の文献を読み直すと当時に、本物のクニマスの生態観察を行う事で、半ば伝説的な存在だったクニマスの姿を、科学的に分析された生物として浮かび上がらせている。
特に、『クニマス百科』では謎とされていた、田沢湖にいたもう1種のマス「クチグロマス」の正体を解明したのは画期的な進歩といえる。1種の生物が絶滅する事によって失われる「知」が如何に大きいのかに気付かされる。
後半では、田沢湖が酸性化する以前の田沢湖の生態系と、なぜ毒水を湖に流し込むような愚行が行われたのか、その詳細が緻密な文献の検証によって解き明かされており、歴史ドキュメントの趣がある。結果的には擁護しようのない環境破壊となったにせよ、そこに至るまでは何とか毒水を克服し、この地域を開拓しようとした先人の切実さが感じられ、一概に現代の尺度から批判する事は出来ないとも考えさせられる。
と同時に、かつて田沢湖の漁業を振興するために、ヒメマスを放流したり、クニマスの人工孵化・移植を試みたりといった、先人の努力と苦労が跡が偲ばれる。人間がクニマスに対し、害悪ばかりもたらした訳ではないと、僅かに安堵させられるものがある。
単純な絶滅魚の発見のドキュメント・解説に留まらず、生物学の研究とは如何なるものであるか、また環境を取りまく先人の歩みを辿り、どのように環境保護を人々に啓発していくか、人文学の要素も盛り込まれている。学問の真髄を多角的に詰め込んだ、極めて内容の濃い書籍で、まさに良書である。
最後に、人間の愚行によって原産地では滅び、人間の作為によって移植されて生き延びる、という数奇な運命を辿ったクニマスが、故郷・田沢湖に「里帰り」する日を願って已まない。
まず印象に残ったのは、種の同定の大変さである。外見ではヒメマスに酷似したクニマスを見分ける為に、鰓耙と幽門垂を顕微鏡で見て数えるという、華々しい再発見のニュースの裏にあった地道な作業を知る事が出来る。そして、学問とは気の遠くなるような努力の集成であることに気付かされる。また、湖の深部で繁殖するという特異な生態を持つ魚がどうやって誕生したのかについての考察は、倒叙ミステリーを読み解くような面白さがある。
クニマスについてまとめられた書籍としては、杉山秀樹の『クニマス百科』がある。しかし当時は情報が限られており、クニマスの真実については過去の伝聞・記録の分析に依るしかなかった。本書では現に生きたクニマスが見つかったため、今一度往時の文献を読み直すと当時に、本物のクニマスの生態観察を行う事で、半ば伝説的な存在だったクニマスの姿を、科学的に分析された生物として浮かび上がらせている。
特に、『クニマス百科』では謎とされていた、田沢湖にいたもう1種のマス「クチグロマス」の正体を解明したのは画期的な進歩といえる。1種の生物が絶滅する事によって失われる「知」が如何に大きいのかに気付かされる。
後半では、田沢湖が酸性化する以前の田沢湖の生態系と、なぜ毒水を湖に流し込むような愚行が行われたのか、その詳細が緻密な文献の検証によって解き明かされており、歴史ドキュメントの趣がある。結果的には擁護しようのない環境破壊となったにせよ、そこに至るまでは何とか毒水を克服し、この地域を開拓しようとした先人の切実さが感じられ、一概に現代の尺度から批判する事は出来ないとも考えさせられる。
と同時に、かつて田沢湖の漁業を振興するために、ヒメマスを放流したり、クニマスの人工孵化・移植を試みたりといった、先人の努力と苦労が跡が偲ばれる。人間がクニマスに対し、害悪ばかりもたらした訳ではないと、僅かに安堵させられるものがある。
単純な絶滅魚の発見のドキュメント・解説に留まらず、生物学の研究とは如何なるものであるか、また環境を取りまく先人の歩みを辿り、どのように環境保護を人々に啓発していくか、人文学の要素も盛り込まれている。学問の真髄を多角的に詰め込んだ、極めて内容の濃い書籍で、まさに良書である。
最後に、人間の愚行によって原産地では滅び、人間の作為によって移植されて生き延びる、という数奇な運命を辿ったクニマスが、故郷・田沢湖に「里帰り」する日を願って已まない。
2021年11月18日に日本でレビュー済み
「70年前に絶滅した魚が違う湖で発見された」というだけでドラマチックな話であるけれども、「発見までの過程」と「発見されてから」がとても面白い。
深い田沢湖で生息したクニマスは、移転先の湖でも深いところにいて発見しにくく、人の目に触れたところでヒメマスとの分類が難しいために「発見」には至らなかったらしい。
そしてクライマックスは、発見後の「保護」。新しい生態系で「発見」された魚をどう保護したらいいのか。ヒメマス漁やヒメマス釣りは継続していいのか。当然に、田沢湖に戻したいという人も出てくる。
世紀の大発見である種の再発見は、生物学の枠に収まらず、ゆえに、筆者は田沢湖の江戸時代まで思いをはせている。
深い田沢湖で生息したクニマスは、移転先の湖でも深いところにいて発見しにくく、人の目に触れたところでヒメマスとの分類が難しいために「発見」には至らなかったらしい。
そしてクライマックスは、発見後の「保護」。新しい生態系で「発見」された魚をどう保護したらいいのか。ヒメマス漁やヒメマス釣りは継続していいのか。当然に、田沢湖に戻したいという人も出てくる。
世紀の大発見である種の再発見は、生物学の枠に収まらず、ゆえに、筆者は田沢湖の江戸時代まで思いをはせている。
2024年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
国鱒が再発見された時は驚いた。そしてこの本を読みたいと思っていた。が、期待ハズレでした。文章が下手すぎますね。もう少し何とかなってほしかった。
2021年6月25日に日本でレビュー済み
1940年代に絶滅したと思われていた秋田県田沢湖の固有種クニマスが、2010年に山梨県の西湖で“再発見”されたことは大きな話題となった。本書はその中心人物であった魚類学者・中坊徹次さんがクニマス“再発見”から将来までを熱く語ったものである。
●クニマスとは何者か?
クニマスはヒメマス同様”コカニー”と呼ばれるベニザケの陸封型である。ただしそれは、水深423mの日本最深の田沢湖という特異な地形の湖に陸封された特殊なコカニーであった。その田沢湖は明治以来その膨大な貯水量が発電・灌漑用として注目され、1940年代に湖周囲の狭い集水域と西岸の潟尻川からの流出という本来の水環境が、北東から玉川の水の導入、南部からの導出トンネルというものに人為的に大きく変えられた。とりわけ強酸性の玉川の水の導入により田沢湖の水質は酸性化しクニマスは”絶滅”とされていた。
●なぜ西湖にクニマスが生きていたのか?
玉川の水が田沢湖に導入される前、僅か7年間に過ぎないが、クニマスの人工孵化事業が行われ、数か所の湖にその受精卵が移殖導入されていた。その一つの西湖ではその後それが“自然繁殖”していたのだ。ただし、クニマスとヒメマスは外見上ほとんど見分けがつかず、遺伝子分析で同定されるまで別種であることがわからなかった。
●将来に向けて
“クニマス再発見物語”の最終章はクニマスの田沢湖への里帰りである。そのためのハードルはまだまだ高い。第一には田沢湖の水質を玉川の水導入前の状態に戻さなければならない。玉川の酸性水の中和化工事が引き続き行われているが、まだ満足すべき結果は得ていない。手っ取り早い方法は玉川の水の導入をやめることがだが、それでは電力利用や灌漑水受益者の農民が困窮することになる。現状に即したかたちでのクニマスの里帰りでなければならないと著者は考えている。その時までにクニマスという貴重な種を絶やしてしまっては元も子もない。クニマス増殖の努力が必要だ。そのために、受精卵が成魚になって生殖可能になるまでを生け簀で育てる人工増殖試験が行われ成功している。ヒメマスとクニマスは自然交配が可能で雑種が繁殖している。ヒメマスとクニマスを様々な組み合わせで交配し、その雑種を”戻し交配”によって純種にを戻す試験が行われている。また生物学的先端技術を応用することが出来る。例えば凍結保存したクニマスの生殖細胞を別の魚に移植し、クニマスを生ませる「代理親魚試験」も行われ成功している。遺伝子編集技術を応用できるかもしれない。本書からは著者ら魚類学者、山梨県・秋田県の水産試験場関係者、河口湖町・仙北市の地元民間人の熱意が伝わってくる。きっといつかクニマスが田沢湖を泳ぎ回る姿を見ることが出来るのではないだろうか。
私見だが、東西2㎞南北1kmの西湖ではあまりにキャパシティが小さい。田沢湖に里帰りができるようになるまで、クニマスの稚魚を十和田湖に移殖して増やしてみてはどうだろうか?日本の湖の中で十和田湖は地形的にいちばん田沢湖に似ている。十和田湖なら生着できるのではないだろうか?ただしヒメマスとの自然交には注意しなければならないだろう。
写真は約20年前、私が田沢湖に行った際に買ったクニマスの賞金付きのポスター。
●クニマスとは何者か?
クニマスはヒメマス同様”コカニー”と呼ばれるベニザケの陸封型である。ただしそれは、水深423mの日本最深の田沢湖という特異な地形の湖に陸封された特殊なコカニーであった。その田沢湖は明治以来その膨大な貯水量が発電・灌漑用として注目され、1940年代に湖周囲の狭い集水域と西岸の潟尻川からの流出という本来の水環境が、北東から玉川の水の導入、南部からの導出トンネルというものに人為的に大きく変えられた。とりわけ強酸性の玉川の水の導入により田沢湖の水質は酸性化しクニマスは”絶滅”とされていた。
●なぜ西湖にクニマスが生きていたのか?
玉川の水が田沢湖に導入される前、僅か7年間に過ぎないが、クニマスの人工孵化事業が行われ、数か所の湖にその受精卵が移殖導入されていた。その一つの西湖ではその後それが“自然繁殖”していたのだ。ただし、クニマスとヒメマスは外見上ほとんど見分けがつかず、遺伝子分析で同定されるまで別種であることがわからなかった。
●将来に向けて
“クニマス再発見物語”の最終章はクニマスの田沢湖への里帰りである。そのためのハードルはまだまだ高い。第一には田沢湖の水質を玉川の水導入前の状態に戻さなければならない。玉川の酸性水の中和化工事が引き続き行われているが、まだ満足すべき結果は得ていない。手っ取り早い方法は玉川の水の導入をやめることがだが、それでは電力利用や灌漑水受益者の農民が困窮することになる。現状に即したかたちでのクニマスの里帰りでなければならないと著者は考えている。その時までにクニマスという貴重な種を絶やしてしまっては元も子もない。クニマス増殖の努力が必要だ。そのために、受精卵が成魚になって生殖可能になるまでを生け簀で育てる人工増殖試験が行われ成功している。ヒメマスとクニマスは自然交配が可能で雑種が繁殖している。ヒメマスとクニマスを様々な組み合わせで交配し、その雑種を”戻し交配”によって純種にを戻す試験が行われている。また生物学的先端技術を応用することが出来る。例えば凍結保存したクニマスの生殖細胞を別の魚に移植し、クニマスを生ませる「代理親魚試験」も行われ成功している。遺伝子編集技術を応用できるかもしれない。本書からは著者ら魚類学者、山梨県・秋田県の水産試験場関係者、河口湖町・仙北市の地元民間人の熱意が伝わってくる。きっといつかクニマスが田沢湖を泳ぎ回る姿を見ることが出来るのではないだろうか。
私見だが、東西2㎞南北1kmの西湖ではあまりにキャパシティが小さい。田沢湖に里帰りができるようになるまで、クニマスの稚魚を十和田湖に移殖して増やしてみてはどうだろうか?日本の湖の中で十和田湖は地形的にいちばん田沢湖に似ている。十和田湖なら生着できるのではないだろうか?ただしヒメマスとの自然交には注意しなければならないだろう。
写真は約20年前、私が田沢湖に行った際に買ったクニマスの賞金付きのポスター。
1940年代に絶滅したと思われていた秋田県田沢湖の固有種クニマスが、2010年に山梨県の西湖で“再発見”されたことは大きな話題となった。本書はその中心人物であった魚類学者・中坊徹次さんがクニマス“再発見”から将来までを熱く語ったものである。
●クニマスとは何者か?
クニマスはヒメマス同様”コカニー”と呼ばれるベニザケの陸封型である。ただしそれは、水深423mの日本最深の田沢湖という特異な地形の湖に陸封された特殊なコカニーであった。その田沢湖は明治以来その膨大な貯水量が発電・灌漑用として注目され、1940年代に湖周囲の狭い集水域と西岸の潟尻川からの流出という本来の水環境が、北東から玉川の水の導入、南部からの導出トンネルというものに人為的に大きく変えられた。とりわけ強酸性の玉川の水の導入により田沢湖の水質は酸性化しクニマスは”絶滅”とされていた。
●なぜ西湖にクニマスが生きていたのか?
玉川の水が田沢湖に導入される前、僅か7年間に過ぎないが、クニマスの人工孵化事業が行われ、数か所の湖にその受精卵が移殖導入されていた。その一つの西湖ではその後それが“自然繁殖”していたのだ。ただし、クニマスとヒメマスは外見上ほとんど見分けがつかず、遺伝子分析で同定されるまで別種であることがわからなかった。
●将来に向けて
“クニマス再発見物語”の最終章はクニマスの田沢湖への里帰りである。そのためのハードルはまだまだ高い。第一には田沢湖の水質を玉川の水導入前の状態に戻さなければならない。玉川の酸性水の中和化工事が引き続き行われているが、まだ満足すべき結果は得ていない。手っ取り早い方法は玉川の水の導入をやめることがだが、それでは電力利用や灌漑水受益者の農民が困窮することになる。現状に即したかたちでのクニマスの里帰りでなければならないと著者は考えている。その時までにクニマスという貴重な種を絶やしてしまっては元も子もない。クニマス増殖の努力が必要だ。そのために、受精卵が成魚になって生殖可能になるまでを生け簀で育てる人工増殖試験が行われ成功している。ヒメマスとクニマスは自然交配が可能で雑種が繁殖している。ヒメマスとクニマスを様々な組み合わせで交配し、その雑種を”戻し交配”によって純種にを戻す試験が行われている。また生物学的先端技術を応用することが出来る。例えば凍結保存したクニマスの生殖細胞を別の魚に移植し、クニマスを生ませる「代理親魚試験」も行われ成功している。遺伝子編集技術を応用できるかもしれない。本書からは著者ら魚類学者、山梨県・秋田県の水産試験場関係者、河口湖町・仙北市の地元民間人の熱意が伝わってくる。きっといつかクニマスが田沢湖を泳ぎ回る姿を見ることが出来るのではないだろうか。
私見だが、東西2㎞南北1kmの西湖ではあまりにキャパシティが小さい。田沢湖に里帰りができるようになるまで、クニマスの稚魚を十和田湖に移殖して増やしてみてはどうだろうか?日本の湖の中で十和田湖は地形的にいちばん田沢湖に似ている。十和田湖なら生着できるのではないだろうか?ただしヒメマスとの自然交には注意しなければならないだろう。
写真は約20年前、私が田沢湖に行った際に買ったクニマスの賞金付きのポスター。
●クニマスとは何者か?
クニマスはヒメマス同様”コカニー”と呼ばれるベニザケの陸封型である。ただしそれは、水深423mの日本最深の田沢湖という特異な地形の湖に陸封された特殊なコカニーであった。その田沢湖は明治以来その膨大な貯水量が発電・灌漑用として注目され、1940年代に湖周囲の狭い集水域と西岸の潟尻川からの流出という本来の水環境が、北東から玉川の水の導入、南部からの導出トンネルというものに人為的に大きく変えられた。とりわけ強酸性の玉川の水の導入により田沢湖の水質は酸性化しクニマスは”絶滅”とされていた。
●なぜ西湖にクニマスが生きていたのか?
玉川の水が田沢湖に導入される前、僅か7年間に過ぎないが、クニマスの人工孵化事業が行われ、数か所の湖にその受精卵が移殖導入されていた。その一つの西湖ではその後それが“自然繁殖”していたのだ。ただし、クニマスとヒメマスは外見上ほとんど見分けがつかず、遺伝子分析で同定されるまで別種であることがわからなかった。
●将来に向けて
“クニマス再発見物語”の最終章はクニマスの田沢湖への里帰りである。そのためのハードルはまだまだ高い。第一には田沢湖の水質を玉川の水導入前の状態に戻さなければならない。玉川の酸性水の中和化工事が引き続き行われているが、まだ満足すべき結果は得ていない。手っ取り早い方法は玉川の水の導入をやめることがだが、それでは電力利用や灌漑水受益者の農民が困窮することになる。現状に即したかたちでのクニマスの里帰りでなければならないと著者は考えている。その時までにクニマスという貴重な種を絶やしてしまっては元も子もない。クニマス増殖の努力が必要だ。そのために、受精卵が成魚になって生殖可能になるまでを生け簀で育てる人工増殖試験が行われ成功している。ヒメマスとクニマスは自然交配が可能で雑種が繁殖している。ヒメマスとクニマスを様々な組み合わせで交配し、その雑種を”戻し交配”によって純種にを戻す試験が行われている。また生物学的先端技術を応用することが出来る。例えば凍結保存したクニマスの生殖細胞を別の魚に移植し、クニマスを生ませる「代理親魚試験」も行われ成功している。遺伝子編集技術を応用できるかもしれない。本書からは著者ら魚類学者、山梨県・秋田県の水産試験場関係者、河口湖町・仙北市の地元民間人の熱意が伝わってくる。きっといつかクニマスが田沢湖を泳ぎ回る姿を見ることが出来るのではないだろうか。
私見だが、東西2㎞南北1kmの西湖ではあまりにキャパシティが小さい。田沢湖に里帰りができるようになるまで、クニマスの稚魚を十和田湖に移殖して増やしてみてはどうだろうか?日本の湖の中で十和田湖は地形的にいちばん田沢湖に似ている。十和田湖なら生着できるのではないだろうか?ただしヒメマスとの自然交には注意しなければならないだろう。
写真は約20年前、私が田沢湖に行った際に買ったクニマスの賞金付きのポスター。
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