日米の係りについて考える際に
米国の対日観や日米安保を背景にした力関係を
外して考えることは出来ない。
様々な分野の技術で
非常に優れた技術を保持しているにも拘らず
日本がいまだに航空機産業においてイニシアチブを握れない理由が
ここに明確に記されている。
かつて、石原慎太郎の「NOと言える日本」を読んだときと同様の衝撃を受けた。
「NOと言える日本」は多分に概念的で事実関係を裏付ける物が少ない。
それに対し、本書はノンフィクションの形態をとり
複数の関係者からの言質に基づいている心象が得られるため
核心に迫る物があった。
FSXの開発秘話とか、日米安保を考えるというよりは
今後の日米関係を考える上で一読の価値はある。
FSX開発から大分時間が経過しているが
今だからこそ、その後の事象とも照らし合わせつつ
検証できるのではないだろうか。
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たそがれゆく日米同盟―ニッポンFSXを撃て (新潮文庫) 文庫 – 2006/6/30
手嶋 龍一
(著)
次期支援戦闘機・FSXを自主開発したい――。それが、日米同盟のジュニア・パートナー日本の悲願だった。だが米国は、ニュー・ゼロファイターを許そうとしなかった。ニッポンが独自の航空機産業を育て、ワシントンから自立していくことを恐れたのだ。国家的ビジョンを持たぬまま、孤立無援の闘いを続ける哀しき外交戦士たちの姿がここにある。『ニッポンFSXを撃て』改題。
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/6/30
- ISBN-104101381135
- ISBN-13978-4101381138
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/6/30)
- 発売日 : 2006/6/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 380ページ
- ISBN-10 : 4101381135
- ISBN-13 : 978-4101381138
- Amazon 売れ筋ランキング: - 44,789位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 1,120位新潮文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
空自の次期支援戦闘機FSXを巡る1985~1995年ごろの日米関係のお話。当時、西側諸国の軍事的な敵国はソ連であるが、日米貿易不均衡を巡る対立もあって、アメリカの議会や外交官の一部にとっての「敵」は日本だったんだなと感慨深い。
日本の国力が最高潮に達し、自分たちの技術力に自信を深めていたと同時に、アメリカからの「安保ただ乗り」批判もあって防衛庁の予算も潤沢。歴代の主力戦闘機のライセンス生産で蓄えた技術で「自主開発を!」という機運が高まっていたのも頷ける。
まあしかし、やけに日本を敵視する主要登場人物ケビン・カーンズの奮闘は、2021年の視点で読むと滑稽だな。日本が経済で自信を付けて、多少傲慢なふるまいを見せたかも知らんが、現在の共産党中国と比べたら全然可愛いもんじゃないか。極東でこんなに安定的な同盟国は他にないよ。
日本の国力が最高潮に達し、自分たちの技術力に自信を深めていたと同時に、アメリカからの「安保ただ乗り」批判もあって防衛庁の予算も潤沢。歴代の主力戦闘機のライセンス生産で蓄えた技術で「自主開発を!」という機運が高まっていたのも頷ける。
まあしかし、やけに日本を敵視する主要登場人物ケビン・カーンズの奮闘は、2021年の視点で読むと滑稽だな。日本が経済で自信を付けて、多少傲慢なふるまいを見せたかも知らんが、現在の共産党中国と比べたら全然可愛いもんじゃないか。極東でこんなに安定的な同盟国は他にないよ。
2019年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦闘機の開発をめぐる日米の衝突を、緻密な取材で描いた一冊。政界では今、次期戦闘機の開発に関し、国産、完全輸入、国際共同開発の間で揺れている。昔の本ではあるものの、次期戦闘機開発を考える上でも非常に参考になる。米国は日本単独の開発を認めないだろう。国産戦闘機は夢のまた夢である。
2012年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は、FSX選定について書かれたものだが、内容が示唆的で、政府内の決定プロセスが見えてこないFX選定においても、日米政府内にどのような力学が働いたのか推測する素材として説得力のある内容になっている。
その意味で、今だからこそ評価されるべき本。
その意味で、今だからこそ評価されるべき本。
2008年8月20日に日本でレビュー済み
奇跡のようなノンフィクション作品の金字塔である。次期支援戦闘機の導入を巡って、日本国内では零戦の伝統を汲む国産推進派と米国から完成品を購入する輸入促進派の対立。米国内ではペンタゴンと商務省の対立。それらが相互に干渉する関係の中に、日米同盟というお題目だけでは指の間から滑り落ちてしまうような、日米関係の真実の姿が鮮明に表れている。対立する関係者複数の視点を取り、実名とエビデンスを明かして描かれている本書の手法をもって初めてわかることだ。
日本の対米戦略(というものがあったとして)に対して疑心暗鬼に陥る官僚たちや日本になにがしかのシンパシーを抱く議員たちの心理描写も、じつに細かい。日米同盟という理想は、その縁の下で汗をかいて働く男たちの存在なしにはあり得ない。その当たり前のことが痛いほどよくわかる。
ここまで大きな対象を、ここまで「客観的」に描ききった力業には感服せざるを得ない。提供された情報のバイアスに引っかからないためには、反対勢力の話を聞けばよい。業界では「裏を取る」とか「当たる」とか言うが、このことは簡単に見えて、じつはむずかしい。ある主要な情報なり視点なりに依拠しすぎた場合、明らかにそれと反する情報なり証言が出てくると、誰だってそれを素のままに受け容れないものだ。この著者はその罠にほとんど引っかかっていない(強いて言えば外務省寄り過ぎかもしれないくらいか)。それが「奇跡のような」と冒頭に書いた理由だ。
名声を得た後に露見した著者の自己顕示ぶりは、本書の読後感からはウソのように見えてくるが、この本でもけっして著者は「自分」を消していたわけではなかったのかもしれない。また単行本の『ニッポンFSXを撃て』のタイトルのほうがよかったと思う。
日本の対米戦略(というものがあったとして)に対して疑心暗鬼に陥る官僚たちや日本になにがしかのシンパシーを抱く議員たちの心理描写も、じつに細かい。日米同盟という理想は、その縁の下で汗をかいて働く男たちの存在なしにはあり得ない。その当たり前のことが痛いほどよくわかる。
ここまで大きな対象を、ここまで「客観的」に描ききった力業には感服せざるを得ない。提供された情報のバイアスに引っかからないためには、反対勢力の話を聞けばよい。業界では「裏を取る」とか「当たる」とか言うが、このことは簡単に見えて、じつはむずかしい。ある主要な情報なり視点なりに依拠しすぎた場合、明らかにそれと反する情報なり証言が出てくると、誰だってそれを素のままに受け容れないものだ。この著者はその罠にほとんど引っかかっていない(強いて言えば外務省寄り過ぎかもしれないくらいか)。それが「奇跡のような」と冒頭に書いた理由だ。
名声を得た後に露見した著者の自己顕示ぶりは、本書の読後感からはウソのように見えてくるが、この本でもけっして著者は「自分」を消していたわけではなかったのかもしれない。また単行本の『ニッポンFSXを撃て』のタイトルのほうがよかったと思う。
2009年1月16日に日本でレビュー済み
日米同盟が危機に陥った時期があった。
日米同盟を守るために、ギリギリの戦いを
行った人たちがいた。彼らの活動に焦点を
あてながら、日米同盟の歴史を知ることができる。
日本経済の繁栄によってアメリカの保守化を
もたらしていた時期、この傾向は湾岸戦争にも
続いていく。「外交敗戦」とあわせて読みたい。
日米同盟を守るために、ギリギリの戦いを
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