マッチングアプリをすると、本当に疲れて
「現代ほど、恋愛やら結婚やらといった男女の交わりが観念化した時代もない」
という愚痴もこぼしたくなってくる
が、
こんな夫妻の存在を知るに至って、あまりにも巨大な悩みのスケールに圧倒される
ーーそれほどまでに観念化した男女関係を、具体的な時間軸の中でこの二人は生きた
と、決めつけるのも無粋かしら。
でも、この二人をして「狂う」というなら、私たちだって狂っている筈なのだ。
“結婚”も“運命の出逢い”も「神」の裏付けがあったんじゃないかしら?
だとすれば男女、そして夫婦の演戯は、今、誰に向けて為されているのだろう。
それは所詮、当人たちの自己満足=自慰的演技ではないのか?
そして何ら後ろ盾を持たない男女関係(ex,『抱擁家族』)にこそ、島尾夫妻の狂気は必要とされたのではないか?
なるほど、こうした逆説的な事柄を描写するには“ノンフィクション”という方法しかない
ーー私は、作者の技能、およびその才能に対して、驚きと、敬意を表したいと思います。
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狂うひと :「死の棘」の妻・島尾ミホ (新潮文庫) 文庫 – 2019/8/28
梯 久美子
(著)
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夫婦の間で何が起きたのか――。衝撃の真相が立ち現れる!
「そのとき私は、けものになりました」情事が記された夫の日記に狂乱する妻。その修羅を描いた『死の棘』。だが膨大な未公開資料を徹底解読し、取材を重ねた著者が辿りついたのは、衝撃の真実だった。消された「愛人」の真相、「書く/書かれる」引き裂かれた関係。本当に狂っていたのは妻か夫か。痛みに満ちたミホの生涯を明らかにし、言葉と存在の相克に迫る文学評伝。
読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞の3冠受賞!
「そのとき私は、けものになりました」情事が記された夫の日記に狂乱する妻。その修羅を描いた『死の棘』。だが膨大な未公開資料を徹底解読し、取材を重ねた著者が辿りついたのは、衝撃の真実だった。消された「愛人」の真相、「書く/書かれる」引き裂かれた関係。本当に狂っていたのは妻か夫か。痛みに満ちたミホの生涯を明らかにし、言葉と存在の相克に迫る文学評伝。
読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞の3冠受賞!
- 本の長さ905ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2019/8/28
- 寸法10.6 x 2.6 x 15.1 cm
- ISBN-104101352828
- ISBN-13978-4101352824
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対象商品: 狂うひと :「死の棘」の妻・島尾ミホ (新潮文庫)
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出版社より
散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 ― | 狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ― | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥737¥737 | ¥1,265¥1,265 |
【新潮文庫】梯久美子 作品 | 地獄の硫黄島で、玉砕を禁じ、生きて一人でも多くの敵を倒せと命じた指揮官の姿を、妻子に宛てた手紙41通を通して描く感涙の記録。〈大宅壮一ノンフィクション賞受賞〉 | 本当に狂っていたのは、妻か夫か。夫の作家的野心が仕掛けた企みとは。秘密に満ちた夫妻の深淵に事実の積み重ねで迫る傑作。〈読売文学賞・芸術選奨文部科学大臣賞ほか受賞〉 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2019/8/28)
- 発売日 : 2019/8/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 905ページ
- ISBN-10 : 4101352828
- ISBN-13 : 978-4101352824
- 寸法 : 10.6 x 2.6 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 123,544位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,638位新潮文庫
- - 27,213位ノンフィクション (本)
- - 34,099位文学・評論 (本)
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イメージ付きのレビュー
5 星
『死の棘』の嫉妬に狂う妻・島尾ミホの実像に迫った、力漲る評伝
評伝『狂うひと――「死の棘」の妻・島尾ミホ』(梯久美子著、新潮文庫)は、島尾敏雄の『死の棘』で夫の浮気に激しく荒れ狂う妻として描かれた島尾ミホの評伝であるが、梯久美子の、敏雄・ミホ夫妻それぞれの日記、手紙、草稿、ノート、メモなど膨大な資料に基づく綿密な追跡調査によって、思いがけない事実が突き止められている。思いがけない事実の第1――。今や定説化しているといってもよい、「特攻隊長と島の娘の運命的な愛の物語」、「純粋稀有な夫婦愛を描いた作品」、「日本の古代の神話的世界における理想的男女の愛の葛藤」、「無垢で激しい愛ゆえに狂気に至った聖女のような女性」といった『死の棘』やミホの評価が、事実とは異なることが明らかにされている。事実の第2――。島尾が作家としての野心に衝き動かされていたことが暴かれている。ミホについても、自身が「書かれること」で敏雄の文学に協力する姿、そして、晩年は、作り上げられたイメージを守ることに固執する姿が示されている。事実の第3――。島尾に「書かれること」に飽き足らず、自ら「書くこと」に没入していくミホが活写されている。「のちに長篇『死の棘』が(16年かけて)完結し、複数の賞を受けて評価が定まると、ヒロインのミホは、激しい愛情ゆえに神経に異常をきたした純粋無垢な女性としてある種の理想化が行われる」。「<私の理性は私の小説家としての資格を否定しているが、今からだって何がやって来るか知れたものではない!・・・はっきりひとに分ってもらうには、もっと犠牲が必要だ>。『もっと犠牲が必要だ』との一節は、その後に何が起こったかを知る読者の胸をざわつかせる。葛西善蔵も嘉村磯多も芸術のために家庭を戦場にしたのだ。・・・ミホが日記を見て狂乱したのは、この文章が書かれた十か月後である。島尾は今度こそ、なまなましい手応えのある悲劇を手に入れることができた。ミホはみずからの正気を犠牲として差し出すことで、島尾が求めた以上のものを提供したのである。・・・重要なのは、逃れようのない事態が起こることを島尾が求めていたことである。・・・破綻の中で初めて見えてくるものがあるはずだという期待が作家としての島尾の中にあり、この時期、それを見たいという強い欲望を持っていたのは確かだろう。ミホはミホで、自分が存分に狂ってみせることが、よどんで閉塞した状況に風穴をあけることになると、無意識のうちに気づいていたかもしれない。甘やかされたモダンガールだった二十代のころの彼女が『(加計呂麻島の特攻)隊長さま』の望む女性像を自然に汲み取り、悦びをもって殉死に踏み出そうとしたように。・・・そして島尾は、ミホの精神状態にもともと不安定なところがあり、何か決定的なことが起これば錯乱状態になるかもしれないことがわかっていた。・・・やはり、島尾は心のどこかで待ちのぞんでいたのではなかったか。ことが起こるのを、ある期待と怖れをもって。ただ、ミホがあそこまで見事に狂うことは予想していなかったかもしれないが」。「この時期、島尾はみずからの作家的野心を刺激するものを家の外に求めていた。そちら側の生活を記録したのが、(愛人・川瀬)千佳子(仮名)との情事を記した『交渉のノート』だったのだろう。しかしそれは失われた。もっとも、もし残っていたとしても、ミホが生きている限り、島尾がそれをもとに小説を書くことはなかっただろうが」。島尾とミホの長男・島尾伸三は、こう述懐している。「(父は)すべての人を不幸にしても、書きたい人だったんですよ」。島尾夫妻とも、千佳子とも親しかった稗田宰子は、梯にこう証言している。「ミホさんが神経を病んだことを知って、島尾は内心いい素材ができて喜んでいるんじゃないか、と言った人もいました」。「(島尾の原稿を)清書しながらしばしば狂乱しつつも、島尾に『死の棘』を書き続けることをうながしたミホ、それはミホ自身が、あの(夫の日記に記された、愛人との情事に関する)十七文字を帳消しにする膨大な量の言葉を島尾から捧げられることを求めていたからに違いない」。「取材のときのミホは、『死の棘』に描かれた日々を、夫婦の絆を強固にするための神の試練であったかのように語」っている。「晩年のミホは、『大作家の献身的な妻』を演じようとしていた」。「島尾が逝って一人になったミホは、島尾は最初から最後まで絶対的な愛情を自分に注いでくれた理想的な夫であり、夫婦愛は一度も揺るがなかったというストーリーに固執するようになる。自分たち夫婦の歴史を、いわば再編集するのである」。「絶対的な夫婦愛は、ミホが作り上げようとした神話だった。それは世間に対してだけではない。島尾のために養父を捨てたという負い目を抱えたミホは、島尾がそれに値する男であったこと、自分たちが至上の愛に結ばれた幸福な夫婦だったことを、誰よりもまず、死んだ養父母に対して示さなければならなかった。・・・ミホによる物語の中で、島尾の情事は抽象化され、天災、あるいは神の試練のように語られる」。「彼ら(吉本隆明と奥野健男)が定義づけたミホ像は、ミホ自身にとっても受け入れやすいものだった。自分が演じた狂態を聖性の証しと読み替えることが可能になるからだ。吉本と奥野がともに強調している『巫女』という語は、ミホの狂気がどこにでもいる世俗の女の嫉妬からくるものではなく、古代、神、信仰といったものに源泉を持つことを暗示している」。梯が見つけたミホのメモに、こういう文章が書きつけられていた。<その晩私は野獣に戻った。夫の日記に書かれたたった一行の十七文字を目にした時、突然ウォーウォーとライオンのほう吼が喉の奥からほとばしり、体じゅうに炎に焼かれるような熱気が走り、毛髪は逆立ち、四つ這いになって、私は部屋の中を駈け廻った>。島尾と愛人との情事が記されていたのである。ミホは『死の棘』の時期のことを自らの手で書こうと、『「死の棘」の妻の場合』と題した原稿を書き進めていたが、未完に終わっている。ミホが島尾の日記を見た昭和29年には、島尾の愛人・川瀬千佳子は、夫と別居中の人妻で子供のいる、島尾より3歳年上の40歳であった。「ミホもまた島尾と同じように、『書くこと』に魅入られた人だったのである」。「五十歳のミホが描いたのは、島尾が登場しない世界だった。まだ島尾によって書かれていない自分、つまり島尾と出会う前の自分を主人公にしたのだ」。実に読み応えのある一冊である。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月6日に日本でレビュー済み
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寂聴さんの死後すぐに出版されたエッセイ集「寂聴残された日々」の中に「作家の日記」という3ページの文章があり、その中で本書と出会った。寂聴さんは、出版直後に本書を読み、「死の棘」を改めて読み直したうえで、作者と対談をしている。「あまりに面白い」「ねばりある仕事」と高評価である。10年以上の年月をかけ、ミホの死後も遺された文章やメモまで読み通し、あらゆる人に会って取材をしている。ここまでのエネルギッシュな文学評伝を私は読んだことがなかった。梯久美子さん編集の島尾敏夫短編集「妻への祈り」、さらに「死の棘」を読まずにはいられない。
2020年5月18日に日本でレビュー済み
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文学を研究するってこういうことか、、と感服させられました。
研究の緻密さ。『死の棘』の様々な断片的な表現が、二人の生活者としての軌跡とともに、改めて、奥行きと具体性を伴って、まざまざと現前してくる。
ああ、文学の道に進まなくて良かった。わたしには、こんな気の長い仕事は到底できっこなかった。。と感じさせられました。
研究の緻密さ。『死の棘』の様々な断片的な表現が、二人の生活者としての軌跡とともに、改めて、奥行きと具体性を伴って、まざまざと現前してくる。
ああ、文学の道に進まなくて良かった。わたしには、こんな気の長い仕事は到底できっこなかった。。と感じさせられました。
2020年5月4日に日本でレビュー済み
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この夫婦の壮絶な日記を過去読みました。しかし、その背景については知らないままでした。この本はそれを明らかにしてくれました。1組の特別な夫婦についての人生を興味深く眺め、知ることができました。本書を読む後に日記を読む方が、日記の意味をより良く楽しめるかもしれません。
2022年4月20日に日本でレビュー済み
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もつれた糸の塊をそのまま提示されても困惑するばかり。
評価の高い作品だけに期待して読んだが、私には良さが伝わらなかった。島尾敏雄
の作=「死の棘」で主人公の妻である、島尾ミホの評伝。「伝説的夫婦の真実に迫り、『死
の棘』の謎を解く衝撃大作」らしいが、どこが衝撃的大作なのか理解に苦しみ、全く評
価できなかった。「死の棘」自体も感心しなかったが、この評伝はその上をいく面白く
なさ。この著作の何が人を惹きつけたのか、理解不能。
初めこそ、あの精神的に病んでいた島尾ミホの心理に切り込む面白さを感じさせた
が、次第につまらなくなり最後は唖然とする「落ちのなさ」。
この著者は文章は巧みであると思う。「おたがいに内蔵をついばみあうような」とい
う表現などはさすがと思う。だが、「特攻という任務ゆえに未来にかかわる責任からも
のがれることができた男と、戦争のため適齢期をのがしかけていた女との破れかぶれ
の熱情」と大上段に構えたはいいが尻つぼみで、興ざめだった。戦中の複雑な戦況と島
尾の様子、その時のミホの行動を詳述してあるが、これ自体人によっては(私にとって
は)、内容が煩雑と感じるであろう。
記述スタイルも時系列に沿ってはいない。戦中の行動を描くのに戦後の著作から引
用するが、それが絡み合って全く整理されておらず、理解しにくいだけ。著者が調べ
た順番に材料を示す方法は多くの人が試み、「謎解き」の手段としてはテクニックが必
要なのだろう。この分厚い本では途中でだれてしまう。緊張感も最後までは続いてい
ない。散文的に「~があった。調べたら~があった。当時の状況は~だった。エピソー
ドは~だった」では、何が重要なのかさえ分かりにくい。その当時を示す年代も、元号
でのみ示してあったり、西暦を()中に書いていたり、時代を行きつ戻りつしているの
で、一体いつの話をしているのかすら判然としなくなる。
もつれた糸をさらにもつれさせ、さあ感心しろと言われても困るだけ。せめて文章
を整理して叙述できなかったのか。調べた資料が膨大だったことは分かるが、その膨大
な資料をきちんと仕分けして提示する努力をしたのだろうか。おそらく著者はこの評
伝を「小説」にしたかったのでは、とまで邪推してしまう。沢山のポストイットを貼り
付けた、混乱したノートを見せられても感心できない。調べたことをベタベタと書か
れても興趣を削ぐだけ。材料を精選しないでそのまま書いている。
時折この様な、「勘違いした」ルポ(評伝)がありますね。と溜息。
「そのとき私は、けものになりました」この冒頭の文章の衝撃以上の内容はない。
また島尾の日記の「十七文字」を読んで、ミホは精神的におかしくなったとするが、
結局はその謎の文字は何だったのか不明。これには腰が抜けた。600ページを書いて
何を示したかったのか。
「死の棘」自体が、「不快」な作と思える私には、全く評価できない出来の悪い「作品」
でしかない。ただ、ミホの小説はこの本を読んで興味をもてた。これだけは有り難か
ったが、本書はやっぱりお勧めできない。理由は簡単。「面白くない」から。
失礼ながらすぐに処分しました。
よって、☆は ☆ のみ。
評価の高い作品だけに期待して読んだが、私には良さが伝わらなかった。島尾敏雄
の作=「死の棘」で主人公の妻である、島尾ミホの評伝。「伝説的夫婦の真実に迫り、『死
の棘』の謎を解く衝撃大作」らしいが、どこが衝撃的大作なのか理解に苦しみ、全く評
価できなかった。「死の棘」自体も感心しなかったが、この評伝はその上をいく面白く
なさ。この著作の何が人を惹きつけたのか、理解不能。
初めこそ、あの精神的に病んでいた島尾ミホの心理に切り込む面白さを感じさせた
が、次第につまらなくなり最後は唖然とする「落ちのなさ」。
この著者は文章は巧みであると思う。「おたがいに内蔵をついばみあうような」とい
う表現などはさすがと思う。だが、「特攻という任務ゆえに未来にかかわる責任からも
のがれることができた男と、戦争のため適齢期をのがしかけていた女との破れかぶれ
の熱情」と大上段に構えたはいいが尻つぼみで、興ざめだった。戦中の複雑な戦況と島
尾の様子、その時のミホの行動を詳述してあるが、これ自体人によっては(私にとって
は)、内容が煩雑と感じるであろう。
記述スタイルも時系列に沿ってはいない。戦中の行動を描くのに戦後の著作から引
用するが、それが絡み合って全く整理されておらず、理解しにくいだけ。著者が調べ
た順番に材料を示す方法は多くの人が試み、「謎解き」の手段としてはテクニックが必
要なのだろう。この分厚い本では途中でだれてしまう。緊張感も最後までは続いてい
ない。散文的に「~があった。調べたら~があった。当時の状況は~だった。エピソー
ドは~だった」では、何が重要なのかさえ分かりにくい。その当時を示す年代も、元号
でのみ示してあったり、西暦を()中に書いていたり、時代を行きつ戻りつしているの
で、一体いつの話をしているのかすら判然としなくなる。
もつれた糸をさらにもつれさせ、さあ感心しろと言われても困るだけ。せめて文章
を整理して叙述できなかったのか。調べた資料が膨大だったことは分かるが、その膨大
な資料をきちんと仕分けして提示する努力をしたのだろうか。おそらく著者はこの評
伝を「小説」にしたかったのでは、とまで邪推してしまう。沢山のポストイットを貼り
付けた、混乱したノートを見せられても感心できない。調べたことをベタベタと書か
れても興趣を削ぐだけ。材料を精選しないでそのまま書いている。
時折この様な、「勘違いした」ルポ(評伝)がありますね。と溜息。
「そのとき私は、けものになりました」この冒頭の文章の衝撃以上の内容はない。
また島尾の日記の「十七文字」を読んで、ミホは精神的におかしくなったとするが、
結局はその謎の文字は何だったのか不明。これには腰が抜けた。600ページを書いて
何を示したかったのか。
「死の棘」自体が、「不快」な作と思える私には、全く評価できない出来の悪い「作品」
でしかない。ただ、ミホの小説はこの本を読んで興味をもてた。これだけは有り難か
ったが、本書はやっぱりお勧めできない。理由は簡単。「面白くない」から。
失礼ながらすぐに処分しました。
よって、☆は ☆ のみ。
2020年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
死の棘と併せて読んだので大変読み応えがあった
2019年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
分厚い本であり、読み切れるのかと思ったが、目が離せないほど引き込まれるものでした。以前に読んだ「死の棘」の中の妻の行動が理解できなかったが、この本で夫と妻の関係性が理解できすっきりした。
2024年3月26日に日本でレビュー済み
島尾敏雄の日記を見たことが、ミホが狂ってゆく端緒となったと、かなり始まりの部分で提示しているので、その解題がいつか行われるものだと信じて読み進みました。
島尾敏雄の日記にあった17文字。それが何だったのか、600ページを読んで、最後まで解題されていなかったので、この分厚い本を忍耐して読み進んだ果てにオチがない。そんな感想です。17文字がなぜ明かせないのか。その理由の説明もどこにもなく、もやもやしたままの読後感だった。
またミホとの関係が取材をはじめてまもなく、当事者であるミホ自身の拒絶によって、筆者との関係は終了しており、本人の証言が得られないままに、くだくだと膨大な文字数を費やしていることになる。
はっきりいって、島尾敏雄の「死の棘」と日記を読めば済むテーマであり、当然のことながら、原作の「死の棘」には及ぶべくもない。原作の補完にもなりません。
島尾敏雄の日記にあった17文字。それが何だったのか、600ページを読んで、最後まで解題されていなかったので、この分厚い本を忍耐して読み進んだ果てにオチがない。そんな感想です。17文字がなぜ明かせないのか。その理由の説明もどこにもなく、もやもやしたままの読後感だった。
またミホとの関係が取材をはじめてまもなく、当事者であるミホ自身の拒絶によって、筆者との関係は終了しており、本人の証言が得られないままに、くだくだと膨大な文字数を費やしていることになる。
はっきりいって、島尾敏雄の「死の棘」と日記を読めば済むテーマであり、当然のことながら、原作の「死の棘」には及ぶべくもない。原作の補完にもなりません。