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街とその不確かな壁(下巻) (新潮文庫 む 5-47) ペーパーバック – 2025/4/23

5つ星のうち4.3 37個の評価

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図書館の奥まった半地下の館長室で、薪ストーブの火を見つめながら子易(こやす)老人は「私」に語りかける。「ここはなにより、失われた心を受け入れる特別な場所でなくてはならない」、と。そんなある日、「私」の前に不思議な少年があらわれる。「イエロー・サブマリン」の絵のついた緑色のヨット・パーカを着て、図書館のあらゆる本を読み尽くす高校生の少年だった。「その街に行かなくてはならない」――少年は自ら描いた〝街〟の地図を携え、「私」に問いかける。そして舞台は第二部の〝町〟から第三部の〝街〟へ。幻想と現世を往還する物語が、ふたたび動き出す……。
*なお巻末には、この作品の成立をめぐり、著者による「あとがき」が付されている。
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老博士が<私>の意識の核に組み込んだ、ある思考回路。そこに隠された秘密を巡って同時進行する、幻想世界と冒険活劇の二つの物語。 〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。 村上春樹の秘密の場所へ――〈古い夢〉が図書館でひもとかれ、封印された〝物語〟が動き出す。魂を深く静かに揺さぶる村上文学の迷宮。 

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 文庫版 (2025/4/23)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2025/4/23
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ペーパーバック ‏ : ‎ 432ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101001790
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101001791
  • 寸法 ‏ : ‎ 15.1 x 10.6 x 1.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち4.3 37個の評価

著者について

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村上 春樹
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。

1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。

カスタマーレビュー

星5つ中4.3つ
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2025年6月27日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバックAmazonで購入
    村上春樹は、ずっと苦手だったのに、
    いや、エッセイとかはとても好きだったけど、
    小説がなぜかずっと理解できない青春時代を過ごし、
    結果、今、オッサンになって、めちゃハマった。
    自分が孤独であることの、寂しさと豊かさを思い知る。
    全ての作品を読んでいるのは、村上春樹だけだ。
    ありがとう、大先生。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年6月5日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバックAmazonで購入
    世界の終わりとハードボイルドワンダーランドに関連する話みたいな前情報で買って読んでみました。また違った味わいでとても楽しかったです。
  • 2025年4月24日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバックAmazonで購入
    過去の作品を延長化させて、想像力を架空の物語から実際のリアルな世界で書かれた読む手が進む一冊。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年5月15日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバックAmazonで購入
    この作品は、原作からの変化が大きいのがすごい(原作は雑誌発表だけなのだけれども、これはこれで面白い)。
    「世界の終わり・・・・」とは全く違った作品に蘇り、異彩を輝かしている。
  • 2025年6月16日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバック
    世界の終わり〜でも感じましたが、表現がきめ細やかで壁に囲まれた街もありありと感じられ一気に読んでしまった。
    こっちの世界での山深い田舎町での図書館長の生活もどこか壁の世界での生活と似通っていて自分は前作のワンダーランドの壁の中の世界観が好きだったのでどっぷり浸れてよかった。
    世界の終わりと〜と同じようでいて全く別の世界観でどちらの作品も味わい深い作品でした。
    この本も何度も読み返していくんだろうなぁ。
  • 2025年4月30日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバック
    2002年の「海辺のカフカ」までの作品は、何度も読み返してきた。「1Q84」以降は読み返す頻度が減った。そして「街とその不確かな壁」は1度しか読み返していない。かつての村上作品にあったものが、この作品にはない。それは何だろう?

    一つは、主人公の生活スタイルや思考に対して、憧れや共感が持てなくなったことだ。かつての村上作品の主人公たちは、高度資本主義社会の中で自分だけの行動規範を持ち、社会と距離を保ちながらも、自分の自由を大切にしながら生活していた。文章を読みながら、村上作品の主人公のように生きたいと感じ、心地よさを感じることが幾度もあった。「1Q84」以降では、そのような思いが沸かない。

    もう一つは、非現実的な設定が、現代を舞台としている小説から浮いてきたことだ。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では、地下のやみくろの世界も、脳内の世界「世界の終わり」も、その存在が無理なく腑に落ちた。現実に立脚した小説であっても、非現実な出来事についての記述が、本当に起こったこととして読めた。「騎士団長殺し」以降では、特にそれが難しい。

    ベストセラーの「1Q84」以降に違和感をもっているハルキストゆえの感想なのかもしれない。一種の「ダークファンタジー」として読めば、他のベストセラー作品のようにすらすらと、楽しく読めるのだろう。文章は圧倒的に上手い。ただ、どうしても「昔の村上作品のほうがよかった」と思えてしまうのだ。
    6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年6月9日に日本でレビュー済み
    フォーマット: ペーパーバック
    今までの作品に比べてとても分かりやすかったです。悪や闇みたいな存在は登場しませんが主要な人物たちは皆何かしらの喪失を抱えていてそれでも懸命に生きて行く姿がとても良かったです
    ハッピーエンドなのかはわかりませんが懸命に生きた結果それぞれが落ち着く場所に落ち着けたんじゃないかなと
    生きて行く勇気みたいなものをいただけました