良書だと思います、序盤、専門的な用語を交えながら技術的な解説をしており
中盤、倫理的な考え方や医師のオピニオン、後半、新出生前診断のこれから、未来についてなどが
語られております、本の内容としては一貫して、お医者さんとしての立場で
妊婦さんやそのパートナーさん、ご家族の皆さんの立場に沿った第三者的な書き方を
されている本だという風に感じました、ですが、時折、筆者様の中絶、堕胎に対して
揺れ動く人道的な心情も多少書かれているような気もまたしました、本の終盤で印象的
だった一説を抜粋します、出生前診断をしてもし悪い結果が出て、生まれてくる子供に
障害が出るかもしれない、でも中絶するかそれとも出産するのか、どちらか選択しなければ
いけないという事態に妊婦さんやパートナーの方達が直面した時
「根拠があろうとなかろうと自分自身で決めることができれば、たとえそれがつらく苦しい
状況をまねいても、おそらく後悔することは少ないでしょう、ほかの誰でもない自分自身が
決めること、すなわち自己決定は、原理的にその選択の正しさを保証するわけではもちろん
ありません、しかし間違いなく自分の生を生きることになる、それだけは保証してくれる」
例え、選択の結果がよかろうと悪かろうと、まず自分で決めること、その中で考え、悩んで、苦しんだり
することももちろんあるでしょう、でも、選択すること、決める、決定する、そして立ち止まらず
前に進むこと、その先には悲劇が待っているかもしれない、幸せが待っているかもしれない
けれどもそれは誰にもわからない、答えなんてどこにもない、だけど前に進もう、未来を掴もう
僕自身はこの一説をそういう風に書いてると解釈しました
これから妊娠を考えられてる方や、妊娠されている方、出生前診断を受けようか
どうしようか考えておられる方は、一度読んでみられるとよいかと思います
ページ数、ボリューム的にも、一日一時間半、二日程度でさらっと読めました