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論争する宇宙 ―「アインシュタイン最大の失敗」が甦る (集英社新書) 新書 – 2006/1/17
吉井 譲
(著)
宇宙に満ちる「ダーク・エネルギー」とは?
数多くの天才たちが、激しく論争しながら創り上げてきた宇宙像。途方もないスケールの宇宙の果て、始まり、終わりを観測するとはどういうことか。銀河物理学者の案内でめぐる、宇宙論の変遷。
数多くの天才たちが、激しく論争しながら創り上げてきた宇宙像。途方もないスケールの宇宙の果て、始まり、終わりを観測するとはどういうことか。銀河物理学者の案内でめぐる、宇宙論の変遷。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2006/1/17
- ISBN-104087203271
- ISBN-13978-4087203271
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2006/1/17)
- 発売日 : 2006/1/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4087203271
- ISBN-13 : 978-4087203271
- Amazon 売れ筋ランキング: - 949,522位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 406位各種の天体
- - 1,525位宇宙学・天文学(一般)関連書籍
- - 1,554位集英社新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経済と最もかけ離れている学問ということですが、、、 内容はとても興味を惹き、楽しく読みました。
2016年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半部分は面白く読みました。後半のご自身のプロジェクトに関するところはちょっとグチっぽいところもあっていまいち。
2007年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は銀河物理学者で現在マグナムという望遠鏡を用いた国家プロジェクトに参加している。本書では20世紀における宇宙研究の歩み、最先端の宇宙論を平易に語ってくれる。研究者達の苦闘は人間ドラマでもある。
自らの相対性理論から予見できた筈の宇宙膨張論を、信条に反するとして「宇宙定数」という概念(未知の力)を生み出したアインシュタイン。しかし観測データから膨張の事実を認めざるを得ず、「宇宙定数」を「生涯最大の失敗」と悔いたアインシュタイン。そしてハッブルによって、宇宙の膨張率を示す「ハッブル定数」の最初の値が出される。ハッブル定数の大小によって宇宙の年齢が決まるのだ。だが、最初に出されたハッブル定数の値では、最古の銀河より宇宙の年齢の方が若いという矛盾が出てしまう。そこから延々と続くハッブル定数を求めるための研究者達の苦闘と論争。一方、膨張を遡れば過去のある一点では宇宙は空だった事になる。これがビッグバン理論に繋がるが、これだけだと宇宙の「平坦性問題」、「地平線問題」を説明できない。これがインフレーション理論を産む。一方、ハッブル定数問題の最終結論がほぼ出た段階で、「宇宙定数」が復活(!)する。未知の力が存在するのだ。まさにドラマである。
星(銀河)までの距離ってどうやって測るの、という素朴な疑問に対しても、基本となる三角視差から分光法、ドップラー効果を用いた赤方偏移法、近い星の距離をベースにより遠い星の距離を測る「距離の梯子」、変光星を用いる方法等、丁寧に解説してくれる。人知に驚くと共に星、宇宙の魅力、そしてまだまだ多く残された謎を感じさせてくれる。宇宙のロマンと謎、そこに隠された人間ドラマを味あわせてくれる良書。
自らの相対性理論から予見できた筈の宇宙膨張論を、信条に反するとして「宇宙定数」という概念(未知の力)を生み出したアインシュタイン。しかし観測データから膨張の事実を認めざるを得ず、「宇宙定数」を「生涯最大の失敗」と悔いたアインシュタイン。そしてハッブルによって、宇宙の膨張率を示す「ハッブル定数」の最初の値が出される。ハッブル定数の大小によって宇宙の年齢が決まるのだ。だが、最初に出されたハッブル定数の値では、最古の銀河より宇宙の年齢の方が若いという矛盾が出てしまう。そこから延々と続くハッブル定数を求めるための研究者達の苦闘と論争。一方、膨張を遡れば過去のある一点では宇宙は空だった事になる。これがビッグバン理論に繋がるが、これだけだと宇宙の「平坦性問題」、「地平線問題」を説明できない。これがインフレーション理論を産む。一方、ハッブル定数問題の最終結論がほぼ出た段階で、「宇宙定数」が復活(!)する。未知の力が存在するのだ。まさにドラマである。
星(銀河)までの距離ってどうやって測るの、という素朴な疑問に対しても、基本となる三角視差から分光法、ドップラー効果を用いた赤方偏移法、近い星の距離をベースにより遠い星の距離を測る「距離の梯子」、変光星を用いる方法等、丁寧に解説してくれる。人知に驚くと共に星、宇宙の魅力、そしてまだまだ多く残された謎を感じさせてくれる。宇宙のロマンと謎、そこに隠された人間ドラマを味あわせてくれる良書。
2017年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
よくぞ見つかり、よかったです。既に書店で見つけることは困難の一冊です。
2018年11月16日に日本でレビュー済み
20世紀以降の宇宙に関する論争(勿論論争しているのは物理学者であって宇宙ではない)を、読者の好奇心を煽る巧みなストーリー仕立てで、しかもコンパクトに纏めたお薦めの一書である。
● 星や銀河までの距離はどうやったら正確に測定できるのか
● 宇宙には始まりはあるのか、あるとすればどうやって始まったのか。
● 宇宙にある物質=元素は一体どうやってできたのか
● 宇宙はどういう構造をしているのか、どちらを向いてもどの部分を取ってもほぼ同じなのか。
● 宇宙は定常状態にあるのか、それとも膨張/縮小しているのか。そして、これからどうなるのか。
● 宇宙はそもそも誕生してからどれくらい経っているのか。
● 宇宙にある物質は、どのくらいの密度で存在するのか。物質以外に何かあるのか。
この100年、本書に登場する数多の物理学者はこうした疑問に対する答えを求めて観測し、理論を組み立て、そして論争して来た。本書を読めば(本書の出版年までのものであるが)その答えがわかる仕組みになっている。
まず登場するのは、アインシュタインだ。1917年に発表した『一般相対性理論についての宇宙論的考察』の中で、彼は「宇宙方程式」なるものを明らかにする。「Ω+λ=1+Κ」というのがそれで、Ω(オメガ)は宇宙の密度に関係する数値。λ(ラムダ)は本書のもう一人の主役である「宇宙定数」。そして「Κ(カッパ)」は宇宙の「曲率」だという。アインシュタインが「宇宙定数」を方程式に入れたのは、これがなければ、理論上宇宙は重力によって一か所に収縮してしまうと考えたからだ。「宇宙定数」とは、つまり、重力に反するなんらかの力であり、アインシュタインはこれによって宇宙は膨張も収縮もせず、定常なものだと主張したのである。
ところが。1922年にロシアのアレクサンドル・フリードマンは、「宇宙方程式」を使って「宇宙定数」がゼロでも、宇宙はその密度次第で膨張し続ける(膨張宇宙)か、膨張と収縮を繰り返す(振動宇宙)か、しかしないことを明らかにする。そして、1929年には、アメリカのエドウィン・ハッブルが銀河の観測によって、宇宙が猛スピードで膨張していることを発見する。定常宇宙説を論破されたアインシュタインは、1931年「生涯最大の失敗だった」という述懐と共に「宇宙定数」を公式に放棄する。以後、「宇宙定数」は誰からも見向きもされない存在となったのである。
その後、宇宙の起源を説明するジョージ・ガモフらのビッグバン理論(1948年)や佐藤勝彦らのインフレーション理論(1981年)が発表され、天文学者は、観測によってそれら理論を裏付けようと競い合う時代が到来する。インフレーション理論は宇宙の曲率(Κ:カッパ)がゼロであることを想定しており、「宇宙方程式」によってΩ(オメガ)は自動的に1となる筈である。しかし、どんなに観測精度を上げても、Ωは0.2~0.3など0に近い数値にしかならない。宇宙が膨張し続ける(曲率=ゼロ)ためには、観測できる宇宙にある物質は少なすぎ(密度が低い)、インフレーション理論と現実とが大きく矛盾することがわかって来たのである。
こうして、それまでの宇宙論が行き詰まったと思われた、まさにその時、アインシュタインの宇宙定数を復活させ、「Ω+λ=1」と考えると、理論で様々な観測結果がうまく説明できることを最初に発見したのが、なんと、本書の著者、吉井先生なのである。読者はここでビックリすることになる。アインシュタイン、フリードマン、ガモフ、ハッブル、サンディジなど人類を代表する物理学の「巨星」が論争している表舞台に、いきなり本書の著者が現れるのだ。解説者がいきなり格闘技のリングに上がるのを見るような、そんな不思議な気にさせられる。
今日、「宇宙定数」は、物質密度の不足を補うダーク・エネルギーの量と見なされ、ハッブル定数による宇宙年齢の算定の際などに、欠くことのできない存在になっているという。まさに、完全復活を遂げたのだ。吉井先生はその先駆となる研究をされた大物理学者だということに、本書の後半で漸く気づかされるのである。その辺のサイエンス・ライターの著作とは重みが違うのだ。考えようによっては、本書は著者が半生を捧げる宇宙物理学の現場報告であり、自伝であるとも言えるだろう。
本書の白眉は、従って、最終章だ。ご自身の研究のために、国や関係者を動かして、ハワイのマウイ島、ハレアカラ山頂にに東京大学の「マグナム」望遠鏡を設置する苦労譚である。いくつもの障害を乗り越える不屈の精神力と行動力。男のロマン溢れる物語は読みごたえがある。
但し、2002年に本格運用が開始された「マグナム(Multicolor Active Galactic Nuclei Monitoringの略)」望遠鏡は、その役目を終えたのか、今日、既に撤去されているようである。研究成果など後日談に興味のあるところだ。
● 星や銀河までの距離はどうやったら正確に測定できるのか
● 宇宙には始まりはあるのか、あるとすればどうやって始まったのか。
● 宇宙にある物質=元素は一体どうやってできたのか
● 宇宙はどういう構造をしているのか、どちらを向いてもどの部分を取ってもほぼ同じなのか。
● 宇宙は定常状態にあるのか、それとも膨張/縮小しているのか。そして、これからどうなるのか。
● 宇宙はそもそも誕生してからどれくらい経っているのか。
● 宇宙にある物質は、どのくらいの密度で存在するのか。物質以外に何かあるのか。
この100年、本書に登場する数多の物理学者はこうした疑問に対する答えを求めて観測し、理論を組み立て、そして論争して来た。本書を読めば(本書の出版年までのものであるが)その答えがわかる仕組みになっている。
まず登場するのは、アインシュタインだ。1917年に発表した『一般相対性理論についての宇宙論的考察』の中で、彼は「宇宙方程式」なるものを明らかにする。「Ω+λ=1+Κ」というのがそれで、Ω(オメガ)は宇宙の密度に関係する数値。λ(ラムダ)は本書のもう一人の主役である「宇宙定数」。そして「Κ(カッパ)」は宇宙の「曲率」だという。アインシュタインが「宇宙定数」を方程式に入れたのは、これがなければ、理論上宇宙は重力によって一か所に収縮してしまうと考えたからだ。「宇宙定数」とは、つまり、重力に反するなんらかの力であり、アインシュタインはこれによって宇宙は膨張も収縮もせず、定常なものだと主張したのである。
ところが。1922年にロシアのアレクサンドル・フリードマンは、「宇宙方程式」を使って「宇宙定数」がゼロでも、宇宙はその密度次第で膨張し続ける(膨張宇宙)か、膨張と収縮を繰り返す(振動宇宙)か、しかしないことを明らかにする。そして、1929年には、アメリカのエドウィン・ハッブルが銀河の観測によって、宇宙が猛スピードで膨張していることを発見する。定常宇宙説を論破されたアインシュタインは、1931年「生涯最大の失敗だった」という述懐と共に「宇宙定数」を公式に放棄する。以後、「宇宙定数」は誰からも見向きもされない存在となったのである。
その後、宇宙の起源を説明するジョージ・ガモフらのビッグバン理論(1948年)や佐藤勝彦らのインフレーション理論(1981年)が発表され、天文学者は、観測によってそれら理論を裏付けようと競い合う時代が到来する。インフレーション理論は宇宙の曲率(Κ:カッパ)がゼロであることを想定しており、「宇宙方程式」によってΩ(オメガ)は自動的に1となる筈である。しかし、どんなに観測精度を上げても、Ωは0.2~0.3など0に近い数値にしかならない。宇宙が膨張し続ける(曲率=ゼロ)ためには、観測できる宇宙にある物質は少なすぎ(密度が低い)、インフレーション理論と現実とが大きく矛盾することがわかって来たのである。
こうして、それまでの宇宙論が行き詰まったと思われた、まさにその時、アインシュタインの宇宙定数を復活させ、「Ω+λ=1」と考えると、理論で様々な観測結果がうまく説明できることを最初に発見したのが、なんと、本書の著者、吉井先生なのである。読者はここでビックリすることになる。アインシュタイン、フリードマン、ガモフ、ハッブル、サンディジなど人類を代表する物理学の「巨星」が論争している表舞台に、いきなり本書の著者が現れるのだ。解説者がいきなり格闘技のリングに上がるのを見るような、そんな不思議な気にさせられる。
今日、「宇宙定数」は、物質密度の不足を補うダーク・エネルギーの量と見なされ、ハッブル定数による宇宙年齢の算定の際などに、欠くことのできない存在になっているという。まさに、完全復活を遂げたのだ。吉井先生はその先駆となる研究をされた大物理学者だということに、本書の後半で漸く気づかされるのである。その辺のサイエンス・ライターの著作とは重みが違うのだ。考えようによっては、本書は著者が半生を捧げる宇宙物理学の現場報告であり、自伝であるとも言えるだろう。
本書の白眉は、従って、最終章だ。ご自身の研究のために、国や関係者を動かして、ハワイのマウイ島、ハレアカラ山頂にに東京大学の「マグナム」望遠鏡を設置する苦労譚である。いくつもの障害を乗り越える不屈の精神力と行動力。男のロマン溢れる物語は読みごたえがある。
但し、2002年に本格運用が開始された「マグナム(Multicolor Active Galactic Nuclei Monitoringの略)」望遠鏡は、その役目を終えたのか、今日、既に撤去されているようである。研究成果など後日談に興味のあるところだ。
2013年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
兎も角、理論と実践の往復運動がとてもよく分かる。理論物理と天文学がそういう関係にあるとは、まったく思ってもいませんでした。しかし、他のさまざまな研究領域でも、こうした関係はあるのでは? 「日本は○○の国」「最近の若者は○○」といったパラフレーズがあった時に、俗に(マスコミ的に、など)信じられていることと、実際の調査結果との齟齬は互いに影響し合って、さらに確からしい話に発展すべきだと思います。この本は自然科学ですが、社会科学、もしかすると人文科学にも適用できる話だと思い、楽しく読みました。
2020年9月27日に日本でレビュー済み
自然を理解するためのアプローチには理論と観察という2本の柱があって、著者吉井氏は理論の人だといいます。
その理論家の著者が、フィジカルな望遠鏡制作のプロジェクトを立ち上げ、成功させる物語。
7章構成の第6章までは、宇宙の成り立ちや運命を巡る20世紀の宇宙論の流れが、理論的アイディアと観測技術の両面の紹介を絡めて描かれています。ハードSFを読むような、あるいは小学生が図鑑を見るときのような、何だか知らんがワクワクする、といった気分を味わえます。
「科学者にも流行があり、その時々の学問の潮流に敏感にならざるを得ず」(p101)とあって、宇宙論の論争の背景にはそれぞれの研究者の信念が反映している部分もあるのだと想像させます。
天文関連で信念の人といえば火星の運河を信じたパーシバル・ローウェルですが、彼は研究者ではなかった。
でも、本格的な研究者の代表格であるアインシュタインさえ、信念の人です。ところが彼の場合、信念の辻褄を合わせるためにあえてした苦心が、その後の観測の成果と突き合わせると実は真相の核心を突いていたことがわかってきたといいます。さすがです、例えていえばイケメンは何をやってももてる!
最終章は著者自身のプロジェクト成功の道のりが描かれます。クエーサーを継続的に自動で観測するロボット望遠鏡を作るまでの苦心惨憺の様子がわかります。鉛筆一本で仕事をしてきた理論家が、資金集めや現場視察に奔走する日々。
観察結果を説明できない理論は意味がない。一方、観察の精度が上がればそれはまた、新たなる謎を理論家に突き付けてくる。かくして自然の理解が深まっていく、というのが著者の信念のようです。
ところで、ハッブルが天の川銀河の外にある系外銀河を発見したり(1924年)、宇宙の膨張を示唆する赤方偏移を観測したり(1929年)した、ウィルソン山天文台に、山火事が迫っているといいます。歴史的な意味のある場所が危機に瀕しているということでしょうか。
その理論家の著者が、フィジカルな望遠鏡制作のプロジェクトを立ち上げ、成功させる物語。
7章構成の第6章までは、宇宙の成り立ちや運命を巡る20世紀の宇宙論の流れが、理論的アイディアと観測技術の両面の紹介を絡めて描かれています。ハードSFを読むような、あるいは小学生が図鑑を見るときのような、何だか知らんがワクワクする、といった気分を味わえます。
「科学者にも流行があり、その時々の学問の潮流に敏感にならざるを得ず」(p101)とあって、宇宙論の論争の背景にはそれぞれの研究者の信念が反映している部分もあるのだと想像させます。
天文関連で信念の人といえば火星の運河を信じたパーシバル・ローウェルですが、彼は研究者ではなかった。
でも、本格的な研究者の代表格であるアインシュタインさえ、信念の人です。ところが彼の場合、信念の辻褄を合わせるためにあえてした苦心が、その後の観測の成果と突き合わせると実は真相の核心を突いていたことがわかってきたといいます。さすがです、例えていえばイケメンは何をやってももてる!
最終章は著者自身のプロジェクト成功の道のりが描かれます。クエーサーを継続的に自動で観測するロボット望遠鏡を作るまでの苦心惨憺の様子がわかります。鉛筆一本で仕事をしてきた理論家が、資金集めや現場視察に奔走する日々。
観察結果を説明できない理論は意味がない。一方、観察の精度が上がればそれはまた、新たなる謎を理論家に突き付けてくる。かくして自然の理解が深まっていく、というのが著者の信念のようです。
ところで、ハッブルが天の川銀河の外にある系外銀河を発見したり(1924年)、宇宙の膨張を示唆する赤方偏移を観測したり(1929年)した、ウィルソン山天文台に、山火事が迫っているといいます。歴史的な意味のある場所が危機に瀕しているということでしょうか。
2012年2月2日に日本でレビュー済み
『論争する宇宙』(吉井譲著、集英社新書)は、アインシュタインやそのライバルたち、後継者たちによる宇宙論の論争の歴史と、宇宙論の最先端の課題が手際よく紹介されている。
1929年にエドウィン・ハッブルが「宇宙は猛烈な勢いで膨張している」ことを発見した時、アインシュタインは衝撃を受ける。アインシュタインは、この宇宙を、膨張も収縮もせず、どちらを向いても同じような、凪いだ海のように静かなものと考えていたからである。
ジョージ・ガモフが、一般相対性理論と熱力学の方程式を解き、1948年に「ビッグバン理論」を発表する。140億年前に起こった、超高温で高密度に凝集した火の玉状態の物質の大爆発(ビッグバン)によって、宇宙が誕生したという考えだ。ガモフが、当時知られていなかった宇宙マイクロ波背景放射(宇宙全体を一様に満たしている非常に低温の電波)の存在を予言し、それが1965年の観測で発見され、ビッグバンの証拠が得られたことによって、ビッグバン理論は宇宙論の標準理論となったのである。
1980年に佐藤勝彦とアラン・グースが「インフレーション理論」を発表する。「宇宙の誕生→誕生から10-44秒(1秒より遥かに短い時間)後にインフレーション→誕生から10-33秒後(この時点の宇宙の大きさは直径・約1cm)にビッグバン→137(140)億年経過→現在」という考えである。すなわち、宇宙誕生の1千億分の1秒後には宇宙が極微の状態から何億光年という大きさまで急激に膨張したというのである。
1929年にエドウィン・ハッブルが「宇宙は猛烈な勢いで膨張している」ことを発見した時、アインシュタインは衝撃を受ける。アインシュタインは、この宇宙を、膨張も収縮もせず、どちらを向いても同じような、凪いだ海のように静かなものと考えていたからである。
ジョージ・ガモフが、一般相対性理論と熱力学の方程式を解き、1948年に「ビッグバン理論」を発表する。140億年前に起こった、超高温で高密度に凝集した火の玉状態の物質の大爆発(ビッグバン)によって、宇宙が誕生したという考えだ。ガモフが、当時知られていなかった宇宙マイクロ波背景放射(宇宙全体を一様に満たしている非常に低温の電波)の存在を予言し、それが1965年の観測で発見され、ビッグバンの証拠が得られたことによって、ビッグバン理論は宇宙論の標準理論となったのである。
1980年に佐藤勝彦とアラン・グースが「インフレーション理論」を発表する。「宇宙の誕生→誕生から10-44秒(1秒より遥かに短い時間)後にインフレーション→誕生から10-33秒後(この時点の宇宙の大きさは直径・約1cm)にビッグバン→137(140)億年経過→現在」という考えである。すなわち、宇宙誕生の1千億分の1秒後には宇宙が極微の状態から何億光年という大きさまで急激に膨張したというのである。