本書を読むと、日本の証券会社では顧客に売買を繰り返させて手数料を稼ぐ「回転売買」が収益の基盤になっていることがわかる。この場合、個人投資家は薄利に甘んじたり、損失を被ったりするのに対して、売買のたびに手数料が入る証券会社が損をすることはない。顧客と証券会社の関係はウィン・ウィンにはならず、懲りた投資家が市場から去るたびに、新たなカモを探す焼畑農業のようなやり方にはいつか限界が来るだろう。こうした状況に嫌気がさして、若手社員の退職も増えているらしい。
これに対して米国の証券会社では顧客との利害が一致する態勢への進化がみられるという。すなわち売買手数料への依存度を下げて、顧客資産の増加と連動して得る運用報酬を収入の柱とするビジネスモデルへの転換であり、その担い手の一つがIFAである。IFAはインディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザーという金融商品仲介業者で、証券会社に属さずに、独立して個人投資家に資産形成のアドバイスを行う。すでに米国においては巨大証券会社に比肩する存在になっているそうで、著者は日本でもIFAが増えていくと予想する。
本書によると、米国最大手級のリテール証券会社「チャールズ・シュワブ」が投信の販売手数料を無料化した。これは自爆覚悟の消耗戦を仕掛けるのが目的ではなく、運用報酬という収益の源泉になる顧客を獲得するための戦略なのだ。こうしたダイナミックな革新をみると、アメリカは凄いとあらためて感心せざるを得ない。日本はFAANGのみならず、金融ビジネスでも周回遅れの状況にあるわけで、実に情けないと思ってしまった。
わたしも個人投資家のひとりだが、この本には知らないことがたくさん書いてあって、とてもためになった。また、「なぜ投資信託を買うと必ず損をするのか」「なぜ仕組債や新興国の債券をしつこく勧めるのか」といった長年の疑問も氷解した。こんなに面白い本なのに、サブタイトルのIFAという英語を見て証券マンが読む本と思い込み、あやうく敬遠するところだった。個人投資家にとって必ず役立つ本なので、ぜひお勧めしたい。
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証券会社がなくなる日 IFAが「株式投資」を変える (講談社現代新書) 新書 – 2020/9/16
浪川 攻
(著)
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購入オプションとあわせ買い
社長表彰の常連社員、労組の委員長経験者
海外修練生に選抜された営業成績優秀者…。
将来を嘱望されていた大手証券会社の
エリートたちがいま続々と転身している
IFA(独立系ファイナンシャル・
アドバイザー)とはいったい何なのか?
2兆円規模ともされる日本のIFAビジネスを
補助線としながら、ネット専業証券の
明暗を分けた理由、
業界が固執する「儲けのカラクリ」に迫る
ととともに、次の時代に存続する証券会社の
姿を考える。
日本の証券業界を代表する「野村」は
はたして生き残ることができるのか?
【本書の内容】
序 章 証券ビジネスを変える「IFA」とは何か
これまでとは異なる人材流出の動き
相次いで辞めていくエリートたち
米国ではIFA=巨大証券会社の社員に比肩する存在
IFA説明会の実態 ほか
第1章 証券業界が固執する「儲けのカラクリ」
販売手数料無料化の衝撃
「回転売買」と「はめ込み営業」
テーマ型ファンドを保有していない投信会社の元役員
放置されたままの「残骸ファンド」
仕組債「早期償還条項」の罠 ほか
第2章 米国の証券業界で「いま起きていること」
注目すべきはチャールズ・シュワブの「変貌ぶり」
米国で主流の「ゴールベース・アプローチ」とは
常勝軍団「エドワード・ジョーンズ」の独創性
米国では支店長が「どぶ板営業」
激化する買収合戦の中心的存在
あのGSが個人向け無担保ローン事業に進出 ほか
第3章 誰が信頼できる「IFA」なのか
むやみに数は追わない…GAIA 中桐啓貴
相場の話をしない…
ファイナンシャルスタンダード 福田 猛
投信はやらない…
Japan Asset Management 堀江智生
売れる商品でも売らない…いちよし証券 武樋政司
第4章 進化を止めた絶対王者・野村の苦悩
金融業界が色めき立った「野村買収」情報
野村HD前CEOが吐露していた「潰れる恐怖」
ソフトバンクの株式上場時に演じた「厳しい結末」
時代遅れの「日本型総合証券モデル」
野村HD新CEOの考え ほか
終 章 いまの証券会社がなくなる日
IFA転職支援サイトの近況
在宅勤務が助長したIFAへの“民族大移動”
SBIと楽天が勝ち、
マネックスと松井が引き離された理由
玉石混交のIFA法人とプラットフォーマー ほか
海外修練生に選抜された営業成績優秀者…。
将来を嘱望されていた大手証券会社の
エリートたちがいま続々と転身している
IFA(独立系ファイナンシャル・
アドバイザー)とはいったい何なのか?
2兆円規模ともされる日本のIFAビジネスを
補助線としながら、ネット専業証券の
明暗を分けた理由、
業界が固執する「儲けのカラクリ」に迫る
ととともに、次の時代に存続する証券会社の
姿を考える。
日本の証券業界を代表する「野村」は
はたして生き残ることができるのか?
【本書の内容】
序 章 証券ビジネスを変える「IFA」とは何か
これまでとは異なる人材流出の動き
相次いで辞めていくエリートたち
米国ではIFA=巨大証券会社の社員に比肩する存在
IFA説明会の実態 ほか
第1章 証券業界が固執する「儲けのカラクリ」
販売手数料無料化の衝撃
「回転売買」と「はめ込み営業」
テーマ型ファンドを保有していない投信会社の元役員
放置されたままの「残骸ファンド」
仕組債「早期償還条項」の罠 ほか
第2章 米国の証券業界で「いま起きていること」
注目すべきはチャールズ・シュワブの「変貌ぶり」
米国で主流の「ゴールベース・アプローチ」とは
常勝軍団「エドワード・ジョーンズ」の独創性
米国では支店長が「どぶ板営業」
激化する買収合戦の中心的存在
あのGSが個人向け無担保ローン事業に進出 ほか
第3章 誰が信頼できる「IFA」なのか
むやみに数は追わない…GAIA 中桐啓貴
相場の話をしない…
ファイナンシャルスタンダード 福田 猛
投信はやらない…
Japan Asset Management 堀江智生
売れる商品でも売らない…いちよし証券 武樋政司
第4章 進化を止めた絶対王者・野村の苦悩
金融業界が色めき立った「野村買収」情報
野村HD前CEOが吐露していた「潰れる恐怖」
ソフトバンクの株式上場時に演じた「厳しい結末」
時代遅れの「日本型総合証券モデル」
野村HD新CEOの考え ほか
終 章 いまの証券会社がなくなる日
IFA転職支援サイトの近況
在宅勤務が助長したIFAへの“民族大移動”
SBIと楽天が勝ち、
マネックスと松井が引き離された理由
玉石混交のIFA法人とプラットフォーマー ほか
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2020/9/16
- 寸法10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104065201489
- ISBN-13978-4065201480
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商品の説明
著者について
浪川 攻
経済ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。「週刊金融財政事情」編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌「Voice」の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『銀行員はどう生きるか』『ザ・ネクストバンカー 次世代の銀行員のかたち』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、『金融自壊 歴史は繰り返すのか』『前川春雄 「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるか 40万人を待ち受ける運命』(悟空出版)などがある
経済ジャーナリスト。1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざいに入社。「週刊金融財政事情」編集部でデスクを務める。1996年退社し、ペンネームで金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌「Voice」の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年フリーとなって現在に至る。著書に『銀行員はどう生きるか』『ザ・ネクストバンカー 次世代の銀行員のかたち』(以上、講談社現代新書)、『地銀衰退の真実 未来に選ばれし金融機関』(PHPビジネス新書)、『金融自壊 歴史は繰り返すのか』『前川春雄 「奴雁」の哲学』(以上、東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるか 40万人を待ち受ける運命』(悟空出版)などがある
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2020/9/16)
- 発売日 : 2020/9/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 288ページ
- ISBN-10 : 4065201489
- ISBN-13 : 978-4065201480
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 292,772位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,035位銀行・金融業 (本)
- - 1,092位金融・銀行
- - 1,585位講談社現代新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
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2022年11月12日に日本でレビュー済み
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私の町でも、証券会社の店舗は減っているように思います。私も投資はインターネットでしてます。高い手数料を払って営業マンのアドバイスが必要かは、人によるとは思いますが考えさせられます。
2021年1月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
当局は証券界をどのようにしようとしているのか?
証券業の登録制施行以降、規制と保護から、業界の自由競争と投資者保護
の経営姿勢への指導に転換が図られているが、業界を取り巻く行政当局や証券業協会・取引所等の自主規制のそれぞれの役割分担がやや曖昧なところもある。
この本では、やや厳しめに現状と先々を見通しており、参考になった。
証券業の登録制施行以降、規制と保護から、業界の自由競争と投資者保護
の経営姿勢への指導に転換が図られているが、業界を取り巻く行政当局や証券業協会・取引所等の自主規制のそれぞれの役割分担がやや曖昧なところもある。
この本では、やや厳しめに現状と先々を見通しており、参考になった。
2021年12月26日に日本でレビュー済み
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証券業界を広く深く取材した筆者の知識には得るものが多い。しかし証券会社がなくなる未来が書かれているわけでも、金融庁が潰そうとしているわけでもない。タイトル、表紙が誇張しすぎに感じた。
2020年11月16日に日本でレビュー済み
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今の証券会社は老朽化したビジネスモデルである。それに代わるのはIFAなのか、ネット証券なのか。米国の例や巨艦である野村證券を紹介しつつ、述べている。
個人的にも証券会社のビジネスは限界に来ていると思う。対面型の証券会社になんて行きたいと思ったことも無い。
もっとも限界に来ているのは、証券会社だけでなく銀行も小売、家電メーカーもそうである。
変化のキーとなるのはデジタル化なのだろうが、私には緩やかに変わっていくであろう未来が予想できません……。今の証券会社からIFAに一気に変わるかというとそんなことも無いと思うが、デジタル世代に対してはウェルスナビのような簡単なものがウケるのではないか。
お金を持っているのはリタイア世代なので、今の証券会社のビジネスモデルも数年は持つと思うが、その間に次のモデルを仕込んでおかないとこれからは厳しいとも感じた。
個人的にも証券会社のビジネスは限界に来ていると思う。対面型の証券会社になんて行きたいと思ったことも無い。
もっとも限界に来ているのは、証券会社だけでなく銀行も小売、家電メーカーもそうである。
変化のキーとなるのはデジタル化なのだろうが、私には緩やかに変わっていくであろう未来が予想できません……。今の証券会社からIFAに一気に変わるかというとそんなことも無いと思うが、デジタル世代に対してはウェルスナビのような簡単なものがウケるのではないか。
お金を持っているのはリタイア世代なので、今の証券会社のビジネスモデルも数年は持つと思うが、その間に次のモデルを仕込んでおかないとこれからは厳しいとも感じた。
2020年11月18日に日本でレビュー済み
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手数料収入は証券会社と顧客の利益相反が発生するのでよくないと言われ続けてきましたが、本書ではより踏み込んでその次の段階について述べています。IFAという顧客の残高から収益を上げる個人・集団が、証券会社の手数料から収益を上げるリテール営業を置き換えていきます。ただしIFAはアドバイザーであり売買はできないので、手数料が低いネット証券と協業する必要があります。その意味でネット証券は装置産業として残っていきます。興味深いのは、これほとAIがもてはやされているにも関わらず、今後もIFAという人間が投資に関わってくると考えているところです。
2023年5月3日に日本でレビュー済み
証券会社というより、日本のリテール証券ビジネスのこれまでと、筆者の今後の展望です。
想像がたくましすぎる事が、この本の信憑性の桎梏となっています。
同じ内容が繰り返し記述されており、レトリックが多用されているので、内容の割に長すぎる気がします。
想像がたくましすぎる事が、この本の信憑性の桎梏となっています。
同じ内容が繰り返し記述されており、レトリックが多用されているので、内容の割に長すぎる気がします。