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再発見 日本の哲学 北一輝――国家と進化 (講談社学術文庫) 文庫 – 2017/2/11

4.0 5つ星のうち4.0 8個の評価

独自の社会主義論と国家論を展開し、二・二六事件の蹶起将校たちの思想的指導者だった北一輝。国体論を批判し、当時の名だたる憲法学者たちとことごとく対決した彼の思想とは、いかなるものか。伊藤博文、有賀長雄、美濃部達吉、井上毅、穂積八束などなど、近代日本の礎となった思想との対抗のなかに北を位置づける快著!


北一輝は昭和11年(1936)の二・二六事件の、蹶起将校たちの思想的指導者として知られる。すなわち、戦前の代表的な国家主義運動家・思想家とされる。
もちろん、そのとおりなのだが、彼は若い頃、独学で当時の国家論や社会主義論を学び、二三歳にして、主著『国家論及び純正社会主義』を自費出版した。ここで、普通選挙制度の導入と議会による社会主義革命を主張し、刊行直後に発禁処分になっている。
以来、在野の活動家・思想家として活動する。
そして、1911年、中国の革命を支援するため上海に渡る。これを機に、一転して、軍隊主導の暴力革命を唱えるようになる。
このような経緯から、これを左から右への「転回」と捉え、思想的な断絶を指摘するのが、従来の北一輝論であった。
本書では、この思想的断絶を認めない。
主著『国体論及び純正社会主義』では、「国家人格実在論」なるものが主張されている。北にとって、国家は、物理的に実在する法人格であり、それは、進化するべきものであった。つまり、国家論と進化論が接合されたところに、北の思想的本質があったのだ。
この国家が進化するという思想は、ある意味では、近代日本の根底を支えた思想でもある。
北一輝を読み直すことは、近代日本に通奏低音としてながれていた国家論の系譜を読み直すことでもあるのだ。
本書は、いわば、「近代日本」という国家論を考え直す試みでもある。
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商品の説明

著者について

嘉戸 一将
1970年生まれ。東京大学法学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程中退。現在、龍谷大学准教授。専攻は、法思想史、政治思想史。著書に『西田幾多郎と国家への問い』、共著に『明治国家の精神史的研究――〈明治の精神〉をめぐって』(いずれも以文社)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2017/2/11)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2017/2/11
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062923998
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062923996
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 8個の評価

著者について

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嘉戸 一将
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上位レビュー、対象国: 日本

2020年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 タイトルからスペンサー的な社会進化論を連想して拒絶反応を示す読者がいるかもしれないが、本書は社会進化論や北一輝の思想を是として称揚するものではない。北一輝の思想を社会進化論だけでなく国体論、天皇機関説、国家有機体説、プラトンなどを参照しつつ掘り下げていくもので、彼の論理の脆弱な面も指摘しており、明治維新と天皇制など様々な論点も詰まっているもので文体も論理的で読みやすい。

 評者としては北一輝の天皇制へのスタンスに関心があったのだが、これはザックリ言って国体論vs社会進化論であり、前者は(記紀神話レベルの)過去に根拠を置き、後者は(昨今の加速主義者を思わせるほどの)行きつく先を根拠としてベクトルが真逆である。だた北の場合はプラトンにも依拠しておりその未来はイデア的なものへの回帰でもある。そうすると、現実の“革命”の方法論は別にして、理想としては天皇と天皇でない日本人の差異は人間の不完全性を意味するにすぎないはずだ。

 近頃日本では自称愛国者が国体論のようなことを考えているようであるから、評者としては北の天皇相対化を肯定的に捉え得る面がある。その一方でプラトン的エリート主義に陥り...というより始めからそのつもりであり、人類の進化など待てないから暴力革命肯定に至ったのは、方法論としては現代では受け入れられないであろう。

 そのようなことも含めて、学術論文に近い書き方で論述されており本書の評価は★5であり、北一輝の思想のそのもの評価は後日著作を直に読んで考えたい。
 
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