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戦国誕生 中世日本が終焉するとき (講談社現代新書 2106) 新書 – 2011/5/18
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旧体制はいかに崩壊したか
無力な青年将軍。策動をくりかえす近臣たち。「辞めたい」と口にする天皇、
急速に台頭する守護代――。
応仁・文明の乱など激動する十五世紀半ば、「権威」から「権力」へと、
時代の転換する画期を描きだす。
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/5/18
- 寸法10.5 x 1.3 x 17.5 cm
- ISBN-104062881063
- ISBN-13978-4062881067
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商品の説明
著者について
一九六七年、神奈川県生まれ。関西学院大学文学部卒業。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、大阪観光大学観光学研究所客員研究員。歴史研究家。専攻は日本中世政治史。
著書に、『中世後期山名氏の研究』(日本史史料研究会)、『奪われた「三種の神器」』(講談社現代新書)、『戦国大名の婚姻戦略』(角川SSC新書)、『戦国期赤松氏の研究』(岩田書院)、『宇喜多直家・秀家』(ミネルヴァ書房)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/5/18)
- 発売日 : 2011/5/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 280ページ
- ISBN-10 : 4062881063
- ISBN-13 : 978-4062881067
- 寸法 : 10.5 x 1.3 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 230,190位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 595位日本史ノンフィクション
- - 651位東洋史
- - 790位地方別日本史の本
- カスタマーレビュー:
著者について
昭和42年(1967)10月3日神奈川県横浜市生。千葉県市川市在住。1990年3月、関西学院大文学部史学科日本史学専攻卒業。2008年3月、佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。株式会社歴史と文化の研究所代表取締役。歴史学者。中近世を中心にして、日本史全般を研究しています。
原稿執筆(書籍・雑誌など)、監修、講演の依頼を大歓迎しております(連絡先はホームページで)。
HP:https://historyandculture.jimdofree.com/
☆単著
『誤解だらけの「関ヶ原合戦」 徳川家康「天下獲り」の真実』PHP文庫(2023)
『嘉吉の乱 室町幕府を変えた将軍暗殺』ちくま新書(2022)
『誤解だらけの徳川家康』幻冬舎新書(2022)
『豊臣五奉行と家康 関ヶ原合戦をめぐる権力闘争』柏書房(2022)
『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』星海社新書(2021)
『関ケ原合戦全史 1582-1615』草思社(2021)
『戦国大名の戦さ事情』柏書房(2020)
『ここまでわかった!! 本当の信長 知れば知るほどおもしろい50の謎』知恵の森文庫(2020)
『清須会議 秀吉天下取りのスイッチはいつ入ったのか?』 朝日新書(2020)
『本能寺の変に謎はあるのか? 史料から読み解く、光秀・謀反の真相』晶文社(2019)
『関ヶ原合戦は「作り話」だったのか―一次史料が語る天下分け目の真実―』PHP新書(2019)
『明智光秀と本能寺の変』ちくま新書(2019)
『光秀と信長 本能寺の変に黒幕はいたのか』草思社文庫(2019)
『地域から見た戦国150年 7 山陰・山陽の戦国史』ミネルヴァ書房(2019)
『奪われた「三種の神器」 皇位継承の中世史』草思社文庫(2019)
『宇喜多秀家と豊臣政権 秀吉に翻弄された流転の人生』洋泉社・歴史新書y(2018) *品切れ・絶版。
『戦国時代の表と裏』東京堂出版(2018)
『性と愛の戦国史』光文社・知恵の森文庫(2018)
『常識がくつがえる! 戦国武将の「闇」100のミステリー』PHP研究所(2017)
『流罪の日本史』ちくま新書(2017)
『井伊直虎と戦国の女傑たち』 光文社・知恵の森文庫(2016)
『おんな領主 直虎』KADOKAWA・中経の文庫(2016)
『進化する戦国史』洋泉社(2016) *品切れ・絶版。
『幕末・維新に学ぶ 英傑はいかに困難を乗り越えたか』歴史と文化の研究所(2016)
『真田幸村のすべて 大坂城決戦! 真田丸への道』毎日新聞出版(2015)
『真田幸村と真田丸の真実 家康が恐れた名将』光文社新書(2015) *品切れ・絶版。
『【猛】列伝 真田幸村と大坂の陣』KKロングセラーズ・ロング新書(2015) *品切れ・絶版。
『宮本武蔵 謎多き生涯を解く』平凡社新書(2015)
『真田幸村と真田丸 大坂の陣の虚像と実像』河出ブックス(2015) *品切れ・絶版。
『戦国史が面白くなる「戦国武将」の秘密』洋泉社・歴史新書(2015) *品切れ・絶版。
『こんなに面白いとは思わなかった! 関ヶ原の戦い』光文社・知恵の森文庫(2015) *品切れ・絶版。
『戦国・織豊期 赤松氏の権力構造』岩田書院(2014)
『謎とき東北の関ヶ原 上杉景勝と伊達政宗』光文社新書・光文社(2014)*品切れ・絶版。
『牢人たちの戦国時代』平凡社新書(2014)
『人身売買・奴隷・拉致の日本史』柏書房(2014)
『黒田官兵衛 作られた軍師像』講談社現代新書(2013) *品切れ・絶版。
『黒田官兵衛・長政の野望 ―もう一つの関ヶ原―』角川選書(2013)
『誰も書かなかった 黒田官兵衛の謎』中経の文庫(2013) *品切れ・絶版。
『秀吉の出自と出世伝説』洋泉社・歴史新書y(2013) *品切れ・絶版。
『信長政権―本能寺の変にその正体を見る―』河出ブックス(2013)
『戦国の貧乏天皇』柏書房(2012)
『赤松氏五代』ミネルヴァ書房(2012)
『大坂落城 戦国終焉の舞台』角川学芸出版(2012)
『備前浦上氏』戎光祥出版(2012)*品切れ・絶版。
『逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち―』柏書房(2011)
『戦国期浦上氏・宇喜多氏と地域権力』岩田書院(2011)
『戦国の交渉人―外交僧安国寺恵瓊の知られざる生涯―』洋泉社・歴史新書y(2011) *品切れ・絶版。
『中世後期の赤松氏―政治・史料・文化の視点から―』日本史史料研究会(2011)
『戦国誕生―中世日本が終焉するとき―』講談社現代新書(2011)
『宇喜多直家・秀家』ミネルヴァ書房(2011)
『戦国期赤松氏の研究』岩田書院(2010)
『戦国大名の婚姻戦略』角川SSC新書(2010) *品切れ・絶版。
『中世後期山名氏の研究』日本史史料研究会(2009)
『奪われた「三種の神器」―皇位継承の中世史―』講談社現代新書(2009) *品切れ・絶版(草思社文庫として再刊)。
『「アラサー」が変えた幕末―時代を動かした若き志士たち―』マイコミ新書(2009) *品切れ・絶版。
『戦国武将はイケメンがお好き?』ベスト新書(2009) *品切れ・絶版。
編著・監修
『徳川家康合戦録 戦下手か戦巧者か』星海社新書(2022)
『江戸幕府の誕生 関ヶ原合戦後の国家戦略』文学通信(2022)
『カラー版 徳川家康の生涯と全合戦の謎99』イースト新書Q(2022)
『諍いだらけの室町時代』柏書房(2022)
『南北朝の動乱 主要合戦全録』星海社新書(2022)
『秀吉襲来』東京堂出版(2021)
『関ヶ原合戦人名事典』東京堂出版(2021)
『戦乱と政変の室町時代』柏書房(2021)
『考証 明智光秀』東京堂出版(2020)
『虚像の織田信長 覆された九つの定説』柏書房(2020)
『戦国・織豊期の政治と経済』歴史と文化の研究所(2019)
『戦国古文書入門』東京堂出版(2019)
『織田権力の構造と展開』歴史と文化の研究所(2017)
『信長研究の最前線2 まだまだ未解明な「革新者の実像」』洋泉社・歴史新書y(2017) *品切れ・絶版。
『地理と地形で読み解く 戦国の城攻め』 光文社・知恵の森文庫(2017)
『論集 赤松氏・宇喜多氏の研究』歴史と文化の研究所(2017)
『井伊一族のすべて』洋泉社・歴史新書(2017) *品切れ・絶版。
『戦国史の俗説を覆す』柏書房(2016)
『なぜ、地理と地形がわかると戦国時代がこんなに面白くなるのか』洋泉社・歴史新書(2016) *品切れ・絶版。
『信長軍の合戦史 1560-1582』吉川弘文館(2016)
『秀吉研究の最前線 ここまでわかった「天下人」の実像』洋泉社・歴史新書y(2015) *品切れ・絶版。
『家康伝説の嘘』柏書房(2015)
『真実の戦国時代』柏書房(2015)
『信長研究の最前線 ここまでわかった「革新者」の実像』洋泉社・歴史新書y(2014) *品切れ・絶版。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
特にわかりやすかったのは赤松氏の復権から守護権力の実態を読み解いたところでしょうか。嘉吉の乱で播磨などの旧地を失った赤松氏は復権活動の結果、加賀国の北半分を得たとのこと。ただし、この頃になると守護に任命されたからといってそのまま守護として認められるわけではない。実力でその地域の人々を納得させられないと実際に支配できない状況になっていたようです。しかも、地元の有力者の支持が得られないと幕府任命の守護が取り替えられてしまう、という事態も赤松氏の例を見ることでよくわかりました。赤松氏は苦労しながらも加賀の北半分に入部したものの、元の播磨を山名氏から応仁・文明の乱で取り返すと、加賀は支配できなくなって放棄したとのこと。このころには任命された領国よりも実力で切り取った領国の方が手の中に残るものなのですね。
また、伊勢貞親のキーパーソンぶりの説明もわかりやすいです。貞親は足利義政の右腕的側近であり、足利義尚へのダイレクトの将軍後継を目指していた。貞親の行動は将軍親政強化のためであり、そのため幕閣から疎まれ、失脚させられたとのこと。
ただし、その後義政はもう一度信頼できる右腕として応仁の乱の時に貞親を復帰させたので、足利義視が危機を感じて西軍に走ってしまったとのこと。教科書だけ読むと足利義視はふらふらしている人物のように見えますが、本書の見解ではむしろふらふらしているのは兄の義政のようで義視は被害者のようですね。
他は斯波氏と関東の情勢の関係、畠山氏の後継争いの端緒などの解説がわかりやすかったです。
嘉吉の乱から明応の政変までの時代を通じて、将軍権力の分裂(応仁の乱や義政と義尚の対立)、地元の有力層による守護権力の相対化・弱体化、財源不足や公家の地方下向による朝廷機能の喪失(改元するスタッフもいない)、といった戦国時代への流れが(強弱はありながらも)ずっと続いていたように理解しました。戦国時代のはっきりとした「誕生日」があるわけではなく、そういう意味ではタイトルと内容がやや一致していない感じですが、全般を通じて流れを理解できる解説になっています。一気に読めるわかりやすい本でした。
「形式と実体」と「権威と権力」を切り口に、1450年頃からの50年間を戦国時代の始まりと説きます。
まず、第1章で8代将軍・義政の政治能力を語り、
第2章で形式的な権力者である将軍と実際に政治権力を掌握する人物を解説します。
ここでは、守護代層の台頭により戦国時代が形成され始めたと説きます。
第3章で室町期の天皇の実態を「形式と実体」の観点から検討しますが、曖昧な結論で終わります。
第4章と第5章では、応仁の乱で権力の分裂が激しく起き始めたと説き、
土地を実行支配する者が現れ、守護職が形骸化し始めたと説きます。
最後の第6章で、室町楽譜が事実上崩壊する過程を解説し、明応の政変が重大な転換点と説きます。
15世紀末を戦国時代の始まりと捉えるのは、いつ鎌倉幕府が成立したのかで議論が分かれることと同じだと感じました。
お薦めします。
守護代など土地を実効支配するものがそのまま権力者となる社会構造への変化を
「形式から実体」として捉え、戦国時代の始まりと説明している。
特に足利義政の迷走による幕政の混乱を原因として挙げ、
具体的な守護大名と配下の有力守護代の関係についても詳しく触れられている。
ただ戦国時代への連続性を語るのにその後の義輝や義昭の治世への言及が
すっぽり欠落していては説得力に欠ける。
荘園制など中世の社会構造の行き詰まりと破綻が
単純に全国的な戦国時代への突入とイコールであるとは言い切れないのではないか?
古代日本とは藤原不比等が作った体制、即ち武力を持っていた古代豪族を差し置いて、律令制を表看板とし、荘園制から財源を得ながら全国を統治する体制である。天皇家と藤原氏はまとまった武力を持たないが、全国の荘園を維持している。鎌倉幕府ができてもその構図はあまり変わらない。武家の方も似たようなもので、例えば足利氏も足利荘を始めいくつかの荘園を支配しているに過ぎなかったが、一門の荘園を糾合した時の軍事力が他より優れていたから、天下を取った。しかし、後醍醐天皇が北朝打倒の宣司を全国に飛ばしたことで歴史は変わる。足利尊氏は一門の武将を守護として全国に派遣し、幕府の軍事力を全国に及ぼそうとした。そこから、この本は始まる。
守護たちは領内の武士を組織化すると共に、半済として荘園からも年貢の半額を取り立て、軍事力と経済力を増していく。それは幕府による全国の実効支配には役立ったが、幕府内では守護大名の力が高まり過ぎ、将軍権力の不安定化を招く。足利義満は直参の奉公衆を組織し、同時に守護大名の家督相続に介入して将軍権力の優位性を保とうとするが、孫の足利義政には高度な政治劇を操る力はなかった。三管領家のうち畠山氏と斯波氏の家督相続に中途半端な介入を繰り返すことで混乱を増幅させる。遂には残る管領家の細川と四職山名氏の全面対決を招く。
応仁の乱が長引き、守護大名が疲弊すると、地元を預かる守護代層が力伸ばす。尼子、朝倉、織田といった、戦国大名の誕生である。この過程で天皇家や藤原貴族の荘園が収奪された、と書かれるが、言い方を変えれば戦国大名は領国経営を志向するので、領地を面としてフル活用しようとし、遠く離れた都の貴族の荘園に権威など感じる余地はなく、領内統合的な軍事・経済力を形成することで戦国を勝ち抜こうとする。こうして日本の支配層には地殻変動が生じ、日本は中国や韓国とは全く異なる近代史を刻んでいく。
応仁の乱で京都の権力構造は空洞化し、明正の変で将軍を支える奉公衆も崩壊する。そうした中で、細川や大内といった守護大名は将軍擁立ごっこに興じることをやめず、将軍位は10代義植と11代義澄の間を往復する。京都で政治ごっこに興じるよりも先にやるべきことがあったのではないか。と思えるのも、我々が歴史を知っているからかもしれない。
形式及び権威から実体及び権力への「時代の転換点」として
「戦国誕生」期と位置付けるが
これには少々無理があるように思われる。
例えば「将軍が没すると、間髪を入れず後継者が跡を継ぐのが当たり前であった」が
「六代将軍義教からそうしたシステムが崩れ出し」たとして
義持/義教/義勝薨卒後、義教/義勝/義政将軍補任までの空白期間を挙げ
将軍がいなくても幕府機関が機能していれば足りたと言う。
しかし「将軍が没すると、間髪を入れず」が事実でないのは
義量卒去後の将軍不在期間を指摘すれば足りよう。
要は将軍職と将軍家家督=「室町殿」を一色汰にした粗い議論に陥っているのである。
-
将軍という形式に室町殿という実体が優越する例としては
何も将軍就任前の義教を待たずとも将軍辞任後の義満・義持、
更には開幕後将軍就任前の尊氏
(室町殿ではなく「鎌倉大納言殿」であるが)にさえ遡れるように
形式と実体の相剋はいつの時代も普遍的に見られるものであり
上記の事実を以て15世紀半ばを「戦国誕生」期とする見解には問題がある。
畿内・北陸の畠山氏分国及び安芸・石見以西の大内氏分国が
幕府の直接支配領域から離脱し
且つ将軍権力の軍事的・政治的・経済的な支柱たる奉公衆体制が崩壊した
明応の政変より前に「戦国時代」の始期を遡る必要性は感じられない。
-
尚、義政の初名義成に「よしなり」とルビが振られているのは
何か意図あってのことかと思いきや
古河公方成氏には「しげうじ」と。
つまり前者は単なる誤りのようであり
こういうところで気を抜かないでいただきたいものである。
-
義政の人物評も随分辛辣に過ぎると感じる。
応仁・文明の乱は
義政の治政とは関係なく勃発する要素(長期の不作・飢饉や社会不安)を持っており
乱中の義政は
「後世の『応仁記』などが記すような傍観者では決してなく、
和平を計るべく尽力していた」
という森田恭二氏の卓見をこそ採りたい。
戦国時代の始まりを16世紀、そして、その萌芽を応仁の乱以前まで遡る本書の基本的視点は面白い。
しかし、描かれているのは、戦国ではなく、やはり、室町であり、
もっとも面白いのは、ステロなイメージを一変させる義政、富子らの足利・日野一族の関係だからだ。その部分だけでもジックリ書けば面白いところが、アッサリ流されているのは、証跡が少ないからだろうが、もったいない。
実際、本書を丁寧に読めば、無気力・無能で何かすれば混乱を招くばかりの義政、金と権力を濫用する政子といった従来の安易なイメージとの違いに気付くはずであり、ここを読めないなら、別に本書を読む必要もないだろう。
実際、義政は決して有能でないことに変わりはないが、「形式」的権威をもって統治しようとした足跡が本書では描かれており、しかし、義教横死から始まっていた「形式」から「実効」権力へと統治の力が動く中で、義政がその転換を読めずに混乱を深めていったというのが本書の描く実像となっている。この、絶対権力が信長まで確立されぬ中で、部分的権力を持つ者達が烏合離散し、「権威」としての将軍を抱え込むという権力闘争こそが(その縮図としての、守護・守護代らの領国での支配権闘争でもあり)戦国時代の基調となっているのだから。
つまり、義政が能力ある者であれば、応仁の乱が回避できたわけでもなく、おそらくは、そうであったなら、義教や義輝のように横死していたのではないがろうか。(この点は、権力を行使できぬ焦りの中で酒色に溺れた義尚の最期からも推測できる)この点は、手足をもがれる中で「権威」を保とうとした帝達の努力からも伝わる。無力=無能では必ずしもないということだ。
改めて、本書の出来を考えるなら、ややこしい時代と出来ごとを、紀伝体にも編年体にもしていないし、年表もついていないので、人物関係を把握し、流れを掴むだけでも、一苦労となってしまっているのは、残念至極。
ただ、この時代の新書解説書は少ないので、とても役立つことも事実。よって、ひっくるめるて、☆4つとする。