このシリーズはどれもよいのですが、著者によって叙述のスタイルが違います。
この巻は、物語風に展開していく感じでその意味で読みやすく宋代の中国の全体像を自然に理解することできます。読みやすさではこのシリーズ中、白眉といってよいできです。
宋代は現在の中国につながるいわば中華民族の基礎をつくった時代で、しかも、わが国にも様々な面で多大な影響を及ぼしており、その意味で我が国の歴史を知るためにも読むべき本です。
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中国思想と宗教の奔流 (全集 中国の歴史) 単行本 – 2005/7/21
小島 毅
(著)
中国伝統文化の型を作り上げた変動と改革の時代
士大夫の精神、朱子学の形成
大唐帝国を揺るがせた安史の乱から200年、五代乱離のあとを承けて宋朝建国。文治主義をとったことの功罪は、いかなるものだったか。北方の異民族王朝に対し絶えず軍事的劣勢にありながらも、後世まで規範となる政治・社会・経済システムを作り上げ、文化の華がひときわ咲き誇った宋朝300年の歴史を通観する。
士大夫の精神、朱子学の形成
大唐帝国を揺るがせた安史の乱から200年、五代乱離のあとを承けて宋朝建国。文治主義をとったことの功罪は、いかなるものだったか。北方の異民族王朝に対し絶えず軍事的劣勢にありながらも、後世まで規範となる政治・社会・経済システムを作り上げ、文化の華がひときわ咲き誇った宋朝300年の歴史を通観する。
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/7/21
- 寸法14.1 x 3.1 x 19.5 cm
- ISBN-104062740575
- ISBN-13978-4062740579
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/7/21)
- 発売日 : 2005/7/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4062740575
- ISBN-13 : 978-4062740579
- 寸法 : 14.1 x 3.1 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 416,255位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 366位中国史
- - 74,434位ノンフィクション (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国の歴史全12巻学術文庫版第7巻である。原本は2005年刊行。
著者は宋代陶磁の崇拝者で、はじめににも、おわりににも、宋代磁器を見つめる話が出てくる。
中国史シリーズでは、宋と元が合わせて1巻となることが多いが、本シリーズでは宋だけで(正確には五代と宋で)1巻になっている。8巻の影響かな。
しかし、政治史は162頁で終わってしまい、あとは346頁以後の対外関係史、滅亡史まで出てこない。この間は全部、文化史、思想史、法制史、生活史・・広い意味での文化史である。
著者は「宋=近世」説を取ると明言するが、その理由も、社会経済史的なものというより、唐と宋との思想文化の違いである。人間や馬の精緻な模倣であった唐三彩が、芸術的な実用品である宋代磁器になったこと、茶が文化になったこと、印刷技術の発展により知識が普及し、こころの問題が重要になり、思想が深化したことなど、これらの唐宋変革が起きたとする。
全体としては、政治史が半分、文化史が半分ということになる。
文化史は朱子学から始まり、哲学、祭祀、宗教、淫祀邪教、禅、士大夫の精神、宗族の形成、印刷技術、医学、料理、農法、交通、天文、火薬、兵法、喫茶、陶磁器、名物学、書画、文人画、宗詩、芸能と進み、その後庶民生活が展開されていく。読みやすい文で、特に難解な点はない。
結論は、「宋の特徴は軍事的に弱いというところにある。だがどんなに弱くとも、この王朝は政治・経済・社会・文化といった諸方面で東アジア世界をリードする存在であった。さらに、今につながるさまざまな生活習慣や文化芸能がこの時に生まれた」(380頁)である。
学術文庫あとがきによると、本文に加筆訂正はない。また、学術文庫あとがきには過去15年間の新しい研究成果も一切書かれていない。この点は、残念なことである。
著者は宋代陶磁の崇拝者で、はじめににも、おわりににも、宋代磁器を見つめる話が出てくる。
中国史シリーズでは、宋と元が合わせて1巻となることが多いが、本シリーズでは宋だけで(正確には五代と宋で)1巻になっている。8巻の影響かな。
しかし、政治史は162頁で終わってしまい、あとは346頁以後の対外関係史、滅亡史まで出てこない。この間は全部、文化史、思想史、法制史、生活史・・広い意味での文化史である。
著者は「宋=近世」説を取ると明言するが、その理由も、社会経済史的なものというより、唐と宋との思想文化の違いである。人間や馬の精緻な模倣であった唐三彩が、芸術的な実用品である宋代磁器になったこと、茶が文化になったこと、印刷技術の発展により知識が普及し、こころの問題が重要になり、思想が深化したことなど、これらの唐宋変革が起きたとする。
全体としては、政治史が半分、文化史が半分ということになる。
文化史は朱子学から始まり、哲学、祭祀、宗教、淫祀邪教、禅、士大夫の精神、宗族の形成、印刷技術、医学、料理、農法、交通、天文、火薬、兵法、喫茶、陶磁器、名物学、書画、文人画、宗詩、芸能と進み、その後庶民生活が展開されていく。読みやすい文で、特に難解な点はない。
結論は、「宋の特徴は軍事的に弱いというところにある。だがどんなに弱くとも、この王朝は政治・経済・社会・文化といった諸方面で東アジア世界をリードする存在であった。さらに、今につながるさまざまな生活習慣や文化芸能がこの時に生まれた」(380頁)である。
学術文庫あとがきによると、本文に加筆訂正はない。また、学術文庫あとがきには過去15年間の新しい研究成果も一切書かれていない。この点は、残念なことである。
2021年5月9日に日本でレビュー済み
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宋代は皇帝独裁が始まった時期と教えられるが、本書を読むと、科挙により選抜された官僚が他に並ぶもののない皇帝権力を介して国政を支配し始めた時期というイメージがわく。この時代は党争が熾烈になるが、王安石、司馬光、欧陽脩、蘇軾など誰もが知る政治家かつ文化人による党派的争いは、時代が抱える問題や各人の政治的背景に照らすととても興味深い。現代の政治家のあり方の鑑にもなるところだと思う。本書は、その題名どおり儒教の展開など文化面に多くの部分を割いているが、当時の官僚が時代を代表する文化人であったことを考えると、この時代を知る上でその理解は不可欠であろう。本書の内容は、その展開の説明も含め、分かりやすく示唆に富んでいる。ところで、本書では、一般に政治が乱れたと言われる徽宗期について肯定的な見方を提案し、靖康の変がその結果ではないことを示唆するようだが、その詳細は明らかでない。気になるところではある。
2017年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
講談社の新版「中国の歴史」シリーズは,好著が多い。近年の歴史学の発展はかつてと比較して,すさまじいものがある。文学部(史学科)というと,現政権などからは存在価値のない学問と批判されて,次第に身の置き場がなくなっているが,不安定かつグローバル化したこのような時代こそ,日本人は過去の歴史に目を向けるべきではないか。眼前の現象のみしか見ようとしない,軽薄な理系的発想からは,現代世界を読み解くことはできない。これは,大学入試における,理系生徒の地歴選択率(世界史・日本史が圧倒的に少なく,理系生徒のほとんどが地理を選択している。)に現れている。過去の歴史を知らない理系研究者が輩出され続けていることは,日本にとって危機的状況であるといえる。
宋学を中心に,宋代の知識人・士大夫階級を中心としたこの著書は,従来の通史にありがちな「概説書」という枠を越え,当時の時代相や思想状況を伝えてくれる。これは,この叢書にかなり共通している内容で,例えば,上田信「海と帝国」は特に白眉だと思う。「興亡の世界史」シリーズともども,非常に読み応えのあるものが多い。
宋学を中心に,宋代の知識人・士大夫階級を中心としたこの著書は,従来の通史にありがちな「概説書」という枠を越え,当時の時代相や思想状況を伝えてくれる。これは,この叢書にかなり共通している内容で,例えば,上田信「海と帝国」は特に白眉だと思う。「興亡の世界史」シリーズともども,非常に読み応えのあるものが多い。
2007年8月31日に日本でレビュー済み
この著者の他の著書について、同じことを述べているレビュアーが多いが、
突然くだけ過ぎる文体が微妙に気持ち悪く、若干、感興を殺がれてしまった。
宋代という、建国当初から遼・西夏・金・元などに圧迫されて、
政治史的には地味な印象のある時代を取り扱うのに、
著者の専門である思想史のほか、後世の日本の「伝統文化」の源流となるような
技術・文化上の様々な革新に触れている点は楽しんで読めたが、
これもやはり二つ下のレビュアーが述べているように、
題名ほどには思想・宗教プロパーについての議論は多くなく、
むしろ、それらを主宰した士大夫層の陰湿な党派的抗争について、
妙に楽しそうに語っている部分が、思いのほか多かったような気がする。
「あの○○」といった言い方で言及される、よほどの有名人であるらしい人物が、
今まで全く知らなかった名前だったりすることも頻繁にあって、
中国史についてかなりの知識がある読者ならともかく、
私のような、ごく一般的な知識しかない読者にとっては、
流れを追うだけになってしまう部分も多かったのだが、
初見の人物ばかりを描いていても、書き方の工夫ひとつで
面白おかしく読ませてくれる学者もいないわけではないのだから、
種々の読者層へのもう少し広い目配りがあれば、と思わずにはいられなかった。
突然くだけ過ぎる文体が微妙に気持ち悪く、若干、感興を殺がれてしまった。
宋代という、建国当初から遼・西夏・金・元などに圧迫されて、
政治史的には地味な印象のある時代を取り扱うのに、
著者の専門である思想史のほか、後世の日本の「伝統文化」の源流となるような
技術・文化上の様々な革新に触れている点は楽しんで読めたが、
これもやはり二つ下のレビュアーが述べているように、
題名ほどには思想・宗教プロパーについての議論は多くなく、
むしろ、それらを主宰した士大夫層の陰湿な党派的抗争について、
妙に楽しそうに語っている部分が、思いのほか多かったような気がする。
「あの○○」といった言い方で言及される、よほどの有名人であるらしい人物が、
今まで全く知らなかった名前だったりすることも頻繁にあって、
中国史についてかなりの知識がある読者ならともかく、
私のような、ごく一般的な知識しかない読者にとっては、
流れを追うだけになってしまう部分も多かったのだが、
初見の人物ばかりを描いていても、書き方の工夫ひとつで
面白おかしく読ませてくれる学者もいないわけではないのだから、
種々の読者層へのもう少し広い目配りがあれば、と思わずにはいられなかった。
2021年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史の流れを概観するために必要な事柄は当然含まれているが、ソフトパワーや思想に重きが置かれている。特に朱子学に注目するのは当然であろうし、ハードパワー面で弱くなっても文化面で宋は仰ぎ見られていたという。これはローマがギリシャを支配下に置いても文化的にはコンプレックスがあったということと同じかはわからないが、生きている人間の幸福にはソフトパワーは重要なのでありおかしくはない。
一方で、(史実を挙げつつ)軍隊の強さが必ずしも国の強さや民の幸福に直結するとは限らないというところ(までは良いがそこ)から更に進んで、現在(執筆時)の情勢とも絡めてイデオロギー的な香りもするのは評者としては少し疑問だ。歴史書でありながら現在の○×を悪く言いたい文脈から過去に遡って宋代を解釈しているように見えては逆効果であろうし、著者は過去の資料についてそのような書き方に対して自覚的であれと書いているのだから。
一方で、(史実を挙げつつ)軍隊の強さが必ずしも国の強さや民の幸福に直結するとは限らないというところ(までは良いがそこ)から更に進んで、現在(執筆時)の情勢とも絡めてイデオロギー的な香りもするのは評者としては少し疑問だ。歴史書でありながら現在の○×を悪く言いたい文脈から過去に遡って宋代を解釈しているように見えては逆効果であろうし、著者は過去の資料についてそのような書き方に対して自覚的であれと書いているのだから。
2023年5月19日に日本でレビュー済み
本書は、中国の歴史シリーズの一冊で、宋の時代を描いている。
著者は宋学などの中国思想・宗教を本領とする研究者で、本書もその視点から描かれたシリーズ中の異色作である。
政治史は最初の4章(と宋崩壊を描く最後の章)でまとめ、残りの5章では道教や仏教とのせめぎあいの中、儒教がどのように変容し拡散したか、それを背景として文化や生活がどう変わっていったか、を描いている。
政治史の章も、通史的ではあるが、儒教的な対立などを軸にして政治を眺めており、後の思想宗教の章と大いにつながってくる書き方である。
軍事的には弱かった宋だが、思想・文化面で見ると中国史の分水嶺ともいえる時期であり、このような切り口で宋を眺めるのは実際ありだと思う。
一点だけ、帯や内容紹介に出ている「日本文化の奥底に生きる『宋』」という話は、序章のつかみ以外ではほとんど出てこない。日本とのつながりを期待して本書を読むと期待外れに終わるかもしれない。
一般的な通史ではないが、なかなか面白く意義のある一冊だと思う。
著者は宋学などの中国思想・宗教を本領とする研究者で、本書もその視点から描かれたシリーズ中の異色作である。
政治史は最初の4章(と宋崩壊を描く最後の章)でまとめ、残りの5章では道教や仏教とのせめぎあいの中、儒教がどのように変容し拡散したか、それを背景として文化や生活がどう変わっていったか、を描いている。
政治史の章も、通史的ではあるが、儒教的な対立などを軸にして政治を眺めており、後の思想宗教の章と大いにつながってくる書き方である。
軍事的には弱かった宋だが、思想・文化面で見ると中国史の分水嶺ともいえる時期であり、このような切り口で宋を眺めるのは実際ありだと思う。
一点だけ、帯や内容紹介に出ている「日本文化の奥底に生きる『宋』」という話は、序章のつかみ以外ではほとんど出てこない。日本とのつながりを期待して本書を読むと期待外れに終わるかもしれない。
一般的な通史ではないが、なかなか面白く意義のある一冊だと思う。
2016年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国の時代の臭素が十分に感じられる書籍でした。
唐宋変革論や両宋変革論の成り立ちや比較・批判を取り組むなら必携の本です。
唐宋変革論や両宋変革論の成り立ちや比較・批判を取り組むなら必携の本です。