「ホリイのずんずん調査」(週刊文春)などでの《データ主義》で定評のある著者が、80年代をコンパクトに検証してくれた快著。
著者らしい綿密な情報は、今となっては容易に検証しがたいものばかりである。
「アン・アン」が、シティホテルで男と過ごすクリスマスを特集した1983年、そのころ「ポパイ」では……など、《インターネットでは調べられないこと》で横溢している。
それだけであれば、直近の現代年表になってしまいそうなところだが、本書がより楽しく読める理由は、別にある。著者自身がその年に「誰と何をしていたか・どう考えていたか」が、あからさまに、かつ子細に語られていることが、この本を、その禍々しいタイトルに反してユーモラスな読み物にしてくれている。
バブルを語ることは、80年代に《若者》だった者にとっては、「恥ずかしさ・罪深さ・自慢・懐かしさ」がないまぜになった昔語りにならざるを得ない。1965年生まれの私にとっても他人ごとではない時代を、1958年生まれのアニキ(著者)が、落ち着いて解釈してくれている。
1970年生まれ以降の人にとっては、資料としてならともかく、実感を持って読むのは困難かもしれない。
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若者殺しの時代 (講談社現代新書) 新書 – 2006/4/19
堀井 憲一郎
(著)
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ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか? (講談社現代新書)
ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか?
ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙。クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか?
- ISBN-104061498371
- ISBN-13978-4061498372
- 出版社講談社
- 発売日2006/4/19
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1 x 17.3 cm
- 本の長さ204ページ
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出版社からのコメント
ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか?
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/4/19)
- 発売日 : 2006/4/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 204ページ
- ISBN-10 : 4061498371
- ISBN-13 : 978-4061498372
- 寸法 : 10.6 x 1 x 17.3 cm
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2011年3月9日に日本でレビュー済み
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2019年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「若者」が日本で定義され、搾取される構造になったのは1980年代、昭和の終わり頃にあった、という堀井さんの仮説を、さまざまなカルチャーを引き合いに検証する一冊。
有名なのはクリスマスの項目でしょうか。子供向けのイベントだったクリスマスが恋人(つまり未婚の若者)のためのイベントになったのは1983年。アンアンがクリスマス特集で「クリスマスの朝はルームサービスで」と煽った頃から、クリスマスは若者向けに商品化されていくようになります。
学術書のようにかっちりとした定量データに基づく読み物ではないんですが、説得力が凄まじい。堀井さんの「時代の空気を読む力」に尽きると思います。
この新書で取り上げられるキーワードは令和の今見ると、平成の残滓感ハンパない。クリスマス、ディズニーランド、ラブホテル、サブカルチャー、ラブストーリー。平成の若者たちは「恋愛至上主義」に絡め取られ、金を巻き上げられていきました。しかし新世代の若者たちはそのゲームから自ら降り始めています。
堀井さんが最終章で語る、戦後以降の日本の社会システムと変遷とその行き詰まりは、今読んでも全く古びておらず、その分析力に感動すら覚えます。
最後の二行が、令和の世を生きる若者の助けとならんことを祈ります。かくいう自分も時代を呆然と傍観し、足掻き続けるのみなのですが。
有名なのはクリスマスの項目でしょうか。子供向けのイベントだったクリスマスが恋人(つまり未婚の若者)のためのイベントになったのは1983年。アンアンがクリスマス特集で「クリスマスの朝はルームサービスで」と煽った頃から、クリスマスは若者向けに商品化されていくようになります。
学術書のようにかっちりとした定量データに基づく読み物ではないんですが、説得力が凄まじい。堀井さんの「時代の空気を読む力」に尽きると思います。
この新書で取り上げられるキーワードは令和の今見ると、平成の残滓感ハンパない。クリスマス、ディズニーランド、ラブホテル、サブカルチャー、ラブストーリー。平成の若者たちは「恋愛至上主義」に絡め取られ、金を巻き上げられていきました。しかし新世代の若者たちはそのゲームから自ら降り始めています。
堀井さんが最終章で語る、戦後以降の日本の社会システムと変遷とその行き詰まりは、今読んでも全く古びておらず、その分析力に感動すら覚えます。
最後の二行が、令和の世を生きる若者の助けとならんことを祈ります。かくいう自分も時代を呆然と傍観し、足掻き続けるのみなのですが。
2012年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『東京ディズニーリゾート便利帖』の作者さんです。
評価は色々とあると思いますが、私は好きな作家です。
作者の『いつだって大変な時代』と対を成す一冊。
『いつだって』が時代の分析をしているのならば、
『若者殺し』は日本の若者文化の推移に的(まと)を絞って書いています。
(個人的には『若者殺し』を読んで『いつだって』を読むと、読みやすいと思います。)
その時代を似たような場所で過ごした『お父っつぁん』としては、「そんなこと、あったなぁ。」が素直な感想。
(人生は)今現在も継続中の物語だから、変化の波に飲まれて、分析もできないまま今に至っている。
ホリイさんは、その時代の経験者として(現在も生きている同志として)、分析をしてくれたんじゃないかと思う。
本の最後にメッセージがある。
共感するなぁ。
問題は次に置く駒だ。
さあ、どっちに行く?
いつだって大変な時代 (講談社現代新書)
評価は色々とあると思いますが、私は好きな作家です。
作者の『いつだって大変な時代』と対を成す一冊。
『いつだって』が時代の分析をしているのならば、
『若者殺し』は日本の若者文化の推移に的(まと)を絞って書いています。
(個人的には『若者殺し』を読んで『いつだって』を読むと、読みやすいと思います。)
その時代を似たような場所で過ごした『お父っつぁん』としては、「そんなこと、あったなぁ。」が素直な感想。
(人生は)今現在も継続中の物語だから、変化の波に飲まれて、分析もできないまま今に至っている。
ホリイさんは、その時代の経験者として(現在も生きている同志として)、分析をしてくれたんじゃないかと思う。
本の最後にメッセージがある。
共感するなぁ。
問題は次に置く駒だ。
さあ、どっちに行く?
いつだって大変な時代 (講談社現代新書)
2011年10月15日に日本でレビュー済み
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50才前後の方の『あった、あった。』本。
なつかしい80年代のアルバムを開きたい方のみお勧め。
それ以外の方には大昔の週刊誌を読まされた感じがするでしょう。
なつかしい80年代のアルバムを開きたい方のみお勧め。
それ以外の方には大昔の週刊誌を読まされた感じがするでしょう。
2011年7月3日に日本でレビュー済み
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各時代の若者を大人視点で解説する話は大変興味深い。
やはりそれぞれの時代の中心は女性と感じた。
「ラブホテル」「ヘアヌード」「女子高生」などその時代に
大人により商品化されている。性の力は強い。
2011年まで内容が続いていれば「婚活」「ニコ生」「AKB48」も時代の象徴として書かれていたかもしれない。
著者は2015年で日本は沈むと言っている。社会のシステムは60年周期でまわっており、
今の時代はすでに60年を過ぎている。若者にうまくバトンタッチをできずに惰性で社会のシステムを賞味期限以上続けてしまった大人の責任だと言っている。
これが若者殺しの時代の理由。
本書が書かれたのが2006年。私がレビューを書いている2011年ではすでに社会のシステムは新しいものへ動き出している。
今は誰も一億皆総中流とも思っていないし。国が何とかしてくれるとも思っていない。
国の概念にとらわれることなく、自由に生きる若者が増えている。
著者も本の中で応援していた「ニート」もそれぞれの得意分野でクリエイティブな活動をする機会が増えた。
タイトルは過激だが若者を奮い立たせるために書いた本と理解しているので、
是非とも若い方に読んでいただき、新しい社会を一緒に作っていきたいと思う。
やはりそれぞれの時代の中心は女性と感じた。
「ラブホテル」「ヘアヌード」「女子高生」などその時代に
大人により商品化されている。性の力は強い。
2011年まで内容が続いていれば「婚活」「ニコ生」「AKB48」も時代の象徴として書かれていたかもしれない。
著者は2015年で日本は沈むと言っている。社会のシステムは60年周期でまわっており、
今の時代はすでに60年を過ぎている。若者にうまくバトンタッチをできずに惰性で社会のシステムを賞味期限以上続けてしまった大人の責任だと言っている。
これが若者殺しの時代の理由。
本書が書かれたのが2006年。私がレビューを書いている2011年ではすでに社会のシステムは新しいものへ動き出している。
今は誰も一億皆総中流とも思っていないし。国が何とかしてくれるとも思っていない。
国の概念にとらわれることなく、自由に生きる若者が増えている。
著者も本の中で応援していた「ニート」もそれぞれの得意分野でクリエイティブな活動をする機会が増えた。
タイトルは過激だが若者を奮い立たせるために書いた本と理解しているので、
是非とも若い方に読んでいただき、新しい社会を一緒に作っていきたいと思う。
2010年8月21日に日本でレビュー済み
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アルファブロガーのちきりんさんが絶賛していたので手に取ってみました。
内容はきっと面白いんでしょうが、文体が鼻についてしかたがありません。
妙に「文学ぶっている」というか。簡単にいえば「村上春樹のできそこない」です。
章のタイトルを「19xx年の○○○○」などとしているあたり、著者も隠す気もないのでしょうが。
>地震で閉じ込められてパニック状態の幼稚園児の群れに、
>勇敢な猿が飛び込んできてみんなを誘導しようとしているみたいだった
のような、あからさまなコピー表現が散りばめられています。
それらが苦痛で読み進められません。
村上春樹が好きな人は買わないほうがいいです。
内容はきっと面白いんでしょうが、文体が鼻についてしかたがありません。
妙に「文学ぶっている」というか。簡単にいえば「村上春樹のできそこない」です。
章のタイトルを「19xx年の○○○○」などとしているあたり、著者も隠す気もないのでしょうが。
>地震で閉じ込められてパニック状態の幼稚園児の群れに、
>勇敢な猿が飛び込んできてみんなを誘導しようとしているみたいだった
のような、あからさまなコピー表現が散りばめられています。
それらが苦痛で読み進められません。
村上春樹が好きな人は買わないほうがいいです。
2007年11月1日に日本でレビュー済み
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筆者は、現代を若者が損をする「若者殺しの時代」であると捉え、その時代の始まりが1980年代だと論じている。雑誌の見出し、クリスマスなどのイベント、筆者の実体験などから、時代の変化を探ろうとする視点は面白い。ただし、本書の論は、個別の調査結果で日本社会全体を類推しているという意味で注意が必要である。ひとつの見方を提供してくれる本だと言える。
2014年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「いつからクリスマスは恋人たちが一緒に過ごす日になったのか」というような疑問から、
メディアが社会に与える影響、そして変化を検証した内容。
私がクリスマスを意識した時には、すでに“恋人たちの日”というイメージだったので、
広告や情報に、知らず知らずのうちに植え付けられた“常識”があるなという驚きがあります。
クリスマス以外にも「月9ドラマ」「一杯のかけそば」などを例にだして、
1980年以降で社会の何が変わったのかという部分を見せてくれます。
今はステルスマーケティングという言葉がありますが、
コントロールされた情報で、行動を誘導する源流を本書に感じ取ることができ
「何かおかしい」と感じる部分をすっきり言い当ててもらったようです。
メディアが社会に与える影響、そして変化を検証した内容。
私がクリスマスを意識した時には、すでに“恋人たちの日”というイメージだったので、
広告や情報に、知らず知らずのうちに植え付けられた“常識”があるなという驚きがあります。
クリスマス以外にも「月9ドラマ」「一杯のかけそば」などを例にだして、
1980年以降で社会の何が変わったのかという部分を見せてくれます。
今はステルスマーケティングという言葉がありますが、
コントロールされた情報で、行動を誘導する源流を本書に感じ取ることができ
「何かおかしい」と感じる部分をすっきり言い当ててもらったようです。