丸谷さんのエッセイや文学評論は大好きですが、小説はイマイチ
でも丸谷さんに関するこういった本がたくさん出版されると好いな
各作品の内容を丁寧に解説しておられます
私には「カーニバル的」「モダニズム文学」が理解できなかったけど
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丸谷才一を読む (朝日選書) 単行本 – 2016/6/10
湯川豊
(著)
なにより面白く、気宇壮大な丸谷才一の文学世界。
たのしく工夫のある小説。通説に果敢に挑んで説得力のある評論。
丸谷はどのように作品をつくりだしていったのだろう。
小説家、批評家、翻訳者としての仕事を通じて精緻に追う。
『須賀敦子を読む』で読売文学賞を受賞した、
定評ある文芸評論家による、はじめての本格的評論。
ジョイス研究と翻訳を通じて発見したモダニズムと
13世紀初めの天皇歌人の後鳥羽院は、
丸谷才一の文学精神のどこで響き合ったのか。
出発点となった『笹まくら』『たった一人の反乱』から
『女ざかり』『持ち重りする薔薇の花』をへて、
『輝く日の宮』では何が達成されたのか。
小説の仕掛けと多層性を読みほどき、面白い小説の由来に辿り着く。
小説と評論の二つの領域を往還しながら、作家の全体像にせまる力作評論。
第一章 『笹まくら』からの出発
第二章 反乱・カーニヴァル・国家
第三章 モダニズム文学の花火
第四章 短篇小説が実現したこと
第五章 御霊信仰からカーニヴァルへ
第六章 現代社会の背後には
第七章 『輝く日の宮』の達成
(目次から)
たのしく工夫のある小説。通説に果敢に挑んで説得力のある評論。
丸谷はどのように作品をつくりだしていったのだろう。
小説家、批評家、翻訳者としての仕事を通じて精緻に追う。
『須賀敦子を読む』で読売文学賞を受賞した、
定評ある文芸評論家による、はじめての本格的評論。
ジョイス研究と翻訳を通じて発見したモダニズムと
13世紀初めの天皇歌人の後鳥羽院は、
丸谷才一の文学精神のどこで響き合ったのか。
出発点となった『笹まくら』『たった一人の反乱』から
『女ざかり』『持ち重りする薔薇の花』をへて、
『輝く日の宮』では何が達成されたのか。
小説の仕掛けと多層性を読みほどき、面白い小説の由来に辿り着く。
小説と評論の二つの領域を往還しながら、作家の全体像にせまる力作評論。
第一章 『笹まくら』からの出発
第二章 反乱・カーニヴァル・国家
第三章 モダニズム文学の花火
第四章 短篇小説が実現したこと
第五章 御霊信仰からカーニヴァルへ
第六章 現代社会の背後には
第七章 『輝く日の宮』の達成
(目次から)
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2016/6/10
- 寸法18.8 x 12.5 x 1.2 cm
- ISBN-104022630469
- ISBN-13978-4022630469
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2016/6/10)
- 発売日 : 2016/6/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022630469
- ISBN-13 : 978-4022630469
- 寸法 : 18.8 x 12.5 x 1.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 592,445位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 383位作家研究
- - 93,912位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年8月30日に日本でレビュー済み
とくに熱心な丸谷読者ではありません。文学者としてあまりに高名で気おくれしつつ、ただ素朴な好感を持っていました。『女ざかり』で、主人公の女性が自身の離婚をふりかえって「大東亜戦争というのもこういうものだったのだろう」というようなことをいっていて、丸谷才一の可笑しみが私は好きです。
近ごろの小説がピンとこなくなり、たまたま手に取った本書を読んだ感想として、とても面白かったです。取り上げる作品が未読でもまったく問題ありません。私も2、3作しか読んでいませんが、作品ごとのあらすじは湯川さんが的確に記されています。名書評家でも知られる方ですから、たくみに要所をおさえて道案内してくれます。文壇的な立ち位置や作品の世間的評判も知らないですが、そういうことは読書にとって副次的なものだろうと思います。
丸谷才一の文章がどれほど多層的で重層的な文学の厚みから生まれたものか。フレイザー、バッハオーフェン、ジョイス、プルースト、ディケンズ、ナボコフ、また一方での俊成と定家、後鳥羽院、本居宣長、漱石、谷崎、、、とにかく圧倒されました。その下地をもとに、終生かけて日本近代文学のあり方を考えつづけた丸谷才一が、何を考え、どのような小説を書いたのか、本書ではそれが分かりやすく提示されています。
微妙な留保をつけつつも丸谷は小林秀雄の批判をつづけられたそうですが、その思考のあたらしさは小林秀雄に通じると思いました。『たった一人の反乱』で描いた反・市民小説は、日本に市民社会がないことへの反(アンチ)ではなく、日本がどうしてもそこ(=市民社会)に至らない事情もしくは状況を小説にするための意志としての反だといいます。保守革新が意味をなさなくなった現在のほうが、その言わんとしていたことがのみこみやすい気がします。
文中、文学に「生命力の更新の願望」をみる作者のことばに膝を打つ思いがしました。その更新は、文学者が文学の更新をたえず試みる作業とも感じます。その願望を実現すべく、奮闘した丸谷才一が遺してくれたものの大きさを感じるにはうってつけの本だと思います。
近ごろの小説がピンとこなくなり、たまたま手に取った本書を読んだ感想として、とても面白かったです。取り上げる作品が未読でもまったく問題ありません。私も2、3作しか読んでいませんが、作品ごとのあらすじは湯川さんが的確に記されています。名書評家でも知られる方ですから、たくみに要所をおさえて道案内してくれます。文壇的な立ち位置や作品の世間的評判も知らないですが、そういうことは読書にとって副次的なものだろうと思います。
丸谷才一の文章がどれほど多層的で重層的な文学の厚みから生まれたものか。フレイザー、バッハオーフェン、ジョイス、プルースト、ディケンズ、ナボコフ、また一方での俊成と定家、後鳥羽院、本居宣長、漱石、谷崎、、、とにかく圧倒されました。その下地をもとに、終生かけて日本近代文学のあり方を考えつづけた丸谷才一が、何を考え、どのような小説を書いたのか、本書ではそれが分かりやすく提示されています。
微妙な留保をつけつつも丸谷は小林秀雄の批判をつづけられたそうですが、その思考のあたらしさは小林秀雄に通じると思いました。『たった一人の反乱』で描いた反・市民小説は、日本に市民社会がないことへの反(アンチ)ではなく、日本がどうしてもそこ(=市民社会)に至らない事情もしくは状況を小説にするための意志としての反だといいます。保守革新が意味をなさなくなった現在のほうが、その言わんとしていたことがのみこみやすい気がします。
文中、文学に「生命力の更新の願望」をみる作者のことばに膝を打つ思いがしました。その更新は、文学者が文学の更新をたえず試みる作業とも感じます。その願望を実現すべく、奮闘した丸谷才一が遺してくれたものの大きさを感じるにはうってつけの本だと思います。