筆者は、19世紀に世界が一つに統合されるまでの間、地球上の各地域には各々固有の価値と秩序からなる複数の「世界」が並存していたとの見方に立ち、中国を中心とする東アジア地域には、中華的価値体系と冊封的な政治秩序に裏付けられた「東アジア世界」というシステムが存在していたことを主張しています。その上で、これが形成されるに至ったダイナミクスや、このシステムが周辺諸国や中国自身に及ぼした影響のほどを考察し、東アジア世界が単なる文化的様式に止まらず、ある程度政治的な実体を備えていたことを論証しようとしています。
地域国際社会における中国の行動パターンの分析モデルとして、最近は「朝貢システム」論とか「中華帝国」論とかが取りざたされていますが、西嶋教授の主張は、ある意味でこれらのモデルの先駆をなすと言っても良いかもしれません。
冊封体制の実態などについては些か物足りなさも感じますが、東アジア地域の伝統的国際関係を考えていくためには、必ず読んでおきたい古典的論文ばかりです。これからのアジア情勢を考えていく上でも示唆に富んでいると思います。これからも何度か読み返したいと思っています。
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古代東アジアと日本 (岩波現代文庫 学術 25) 文庫 – 2000/9/14
西嶋 定生
(著)
古代より中国と朝鮮・日本・ベトナムは漢字を共有し,それを媒介に儒教・律令・漢訳仏教などの文化を享受した.著者はこのような文化圏と政治・外交システムが一体になった自己完結的世界を「東アジア世界」とよんだ.この東アジア世界論の根底には日本の歴史を世界史的観点から理解しようとする企図があり,それは東アジア前近代研究の理論的枠組となった.著者の発想の根本とそれが生まれた時代状況を確認し東アジアと日本の歴史像を考える.
- 本の長さ285ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2000/9/14
- ISBN-104006000251
- ISBN-13978-4006000257
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2000/9/14)
- 発売日 : 2000/9/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 285ページ
- ISBN-10 : 4006000251
- ISBN-13 : 978-4006000257
- Amazon 売れ筋ランキング: - 300,157位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 109位その他のアジア史の本
- - 420位岩波現代文庫
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