この本は直接的には、自然再生の場面での順応的ガバナンスを扱っている。
正解のない自然再生、環境保護の場面で、議論し、試行錯誤しながらものごとを決め、うまくいかなければ、再び議論し、考え、試みる。そのような過程が最善の選択をもたらす。行政や専門家は、「最低限」、そのような試行錯誤の邪魔をせず、援助することが大切だという一文は見事と言うほかない。硬直的な判断を行政や専門家が行い、失敗するがケースがあまりにも多いからである。多くの自治体のトップダウン方式で決めたバイオマス事業の失敗例など。
この考え方は自然再生だけでなく、社会や個人の人生の選択において、あらゆる場面に当てはまる。福島原発事故は、行政と専門家の硬直した選択の結果である。人生の選択のうえでも、順応的ガバナンスに似た考え方が必要である。多様な価値観と選択肢、他人との議論と試行錯誤の過程。親は子供の試行錯誤の過程を邪魔せず、援助することが大切。それは、人生が「正解」のない過程だからであり、「自然」との共通性がある。
本の内容が説得的であるのは、著者の長年のフィールドワークが背景にあるからだろう。机上の理屈ではなく、豊富な実践に裏づけられていることは、それ自体が一定の科学性を持つように思われる。
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歩く、見る、聞く 人びとの自然再生 (岩波新書) 新書 – 2017/2/22
宮内 泰介
(著)
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環境破壊や異常気象が伝えられるなかで、綿々と自然再生に携わっている人が各地にいる。自然の営みの下で暮らし、時には人の手を加えることで自然を再生。また利害が異なる人同士で話し合いを重ね、合意形成をして自然を再生することもある。災害時や都市部での実践も含め、「歩く、見る、聞く」で得た魅力的な肉声とともに活き活きと描きだす。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2017/2/22
- 寸法10.8 x 0.9 x 17.8 cm
- ISBN-104004316472
- ISBN-13978-4004316473
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商品の説明
著者について
宮内泰介(みやうち たいすけ)
1961年生まれ.北海道大学大学院文学研究科教授.環境社会学.東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学.博士(社会学).自然と人,コミュニティのこれからをテーマに,国内外のフィールドワークを続ける.さまざまな市民活動,まちづくり活動にもかかわっている.
編著書に『自分で調べる技術』(岩波アクティブ新書),『震災と地域再生――石巻市北上町に生きる人びと』(共編著,法政大学出版局),『どうすれば環境保全はうまくいくのか』(編著,新泉社),『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著,新泉社),『かつお節と日本人』(共著,岩波新書),『開発と生活戦略の民族誌――ソロモン諸島アノケロ村の自然・移住・紛争』(新曜社),『半栽培の環境社会学』(編著,昭和堂),『コモンズをささえるしくみ』(編著,新曜社),『コモンズの社会学』(共編著,新曜社)などがある.
1961年生まれ.北海道大学大学院文学研究科教授.環境社会学.東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学.博士(社会学).自然と人,コミュニティのこれからをテーマに,国内外のフィールドワークを続ける.さまざまな市民活動,まちづくり活動にもかかわっている.
編著書に『自分で調べる技術』(岩波アクティブ新書),『震災と地域再生――石巻市北上町に生きる人びと』(共編著,法政大学出版局),『どうすれば環境保全はうまくいくのか』(編著,新泉社),『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著,新泉社),『かつお節と日本人』(共著,岩波新書),『開発と生活戦略の民族誌――ソロモン諸島アノケロ村の自然・移住・紛争』(新曜社),『半栽培の環境社会学』(編著,昭和堂),『コモンズをささえるしくみ』(編著,新曜社),『コモンズの社会学』(共編著,新曜社)などがある.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2017/2/22)
- 発売日 : 2017/2/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4004316472
- ISBN-13 : 978-4004316473
- 寸法 : 10.8 x 0.9 x 17.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 400,075位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 615位都市開発・都市問題 (本)
- - 1,855位岩波新書
- - 3,883位社会一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
著者について
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北海道大学大学院文学研究院教授(環境社会学)。NPO法人さっぽろ自由学校「遊」共同代表。著書に『実践 自分で調べる技術』(共著)、『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』、『かつお節と日本人』(共著)、『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著)、『カツオとかつお節の同時代史』(編著)、『コモンズの社会学』(編著)、『半栽培の環境社会学』(編著)、『開発と生活戦略の民族誌』など。市民活動やまちづくりにも従事。
http://taimiyauchi.jimdo.com/
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2019年5月11日に日本でレビュー済み
自然環境について知りたかったために購入しました。
実際に読んでみて、楽しく読めました。自分が知らないところもたくさん知ることができました。
ぜひ環境に興味ある人は読んでみてください。
実際に読んでみて、楽しく読めました。自分が知らないところもたくさん知ることができました。
ぜひ環境に興味ある人は読んでみてください。
2017年4月2日に日本でレビュー済み
本書には「自然と社会の未来の形は、どういうものが望ましいのだろうか。自然をめぐる各地のさまざまな(いとなみ)を、歩き、見て、聞いて、考えた」とあるように、半栽培、コモンズ、順応的管理、そして聞き書きのすすめなど、筆者が現場の人びとや、研究仲間たちと一緒になって考え、みえてきたことがまとめられている。
著者の専門は環境社会学である。一般的には、環境保全の政策や活動には、自然科学的な視点が重視されがちであるが、著者は逆にその本質は社会的な営みにこそあり、今後、環境問題を考える際には、人びとの営みや生活レベルからアプローチすることがますます重要になってくると考え、またそれが本書を執筆するに至った理由でもあると述べている。
ではなぜ著者は社会的な視点や営みが重要だと考えているのか。それは「広範なデータがいくら集中的に集められたとしても、またシステムがどのように動いているのかをいくら知っていたとしても、生態系および社会について私たちが知りうる範囲は、知らない範囲に比べ、小さい」(ホリングの著書を引用)からだと。
本書の後半部分では、自然科学的な視点による方法の陥穽を克服するための方法−−「聞く」こと−−が紹介されている。聞くことは、お互いの認識を高め、合意形成のプロセスでもある。試行錯誤をしながらでも、そこに住む人びとが自分たちで聞き、歩き、調べ、自分たちで決める。それが人とひととの信頼関係や相互理解による納得を導きだすと。
自然科学の専門家だけでなく、社会科学の専門家にとっても価値のある(一読の)一冊である。
著者の専門は環境社会学である。一般的には、環境保全の政策や活動には、自然科学的な視点が重視されがちであるが、著者は逆にその本質は社会的な営みにこそあり、今後、環境問題を考える際には、人びとの営みや生活レベルからアプローチすることがますます重要になってくると考え、またそれが本書を執筆するに至った理由でもあると述べている。
ではなぜ著者は社会的な視点や営みが重要だと考えているのか。それは「広範なデータがいくら集中的に集められたとしても、またシステムがどのように動いているのかをいくら知っていたとしても、生態系および社会について私たちが知りうる範囲は、知らない範囲に比べ、小さい」(ホリングの著書を引用)からだと。
本書の後半部分では、自然科学的な視点による方法の陥穽を克服するための方法−−「聞く」こと−−が紹介されている。聞くことは、お互いの認識を高め、合意形成のプロセスでもある。試行錯誤をしながらでも、そこに住む人びとが自分たちで聞き、歩き、調べ、自分たちで決める。それが人とひととの信頼関係や相互理解による納得を導きだすと。
自然科学の専門家だけでなく、社会科学の専門家にとっても価値のある(一読の)一冊である。
2017年7月29日に日本でレビュー済み
把握しきれないことが存在することを認め、全て決定せずに残余を残しておくことの合理性を理解すると、順応的管理という選択になる。順応的管理のダイナミズムが各地で実践されていることを紹介しつつ、知りに行けと促す。
現場には、実際にうまくやってきたことに裏打ちされた真実がある。
それに納得できずに違う政策を選択する社会は、病気なのか、説明が悪いのか。
現場には、実際にうまくやってきたことに裏打ちされた真実がある。
それに納得できずに違う政策を選択する社会は、病気なのか、説明が悪いのか。