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季語の誕生 (岩波新書 新赤版 1214) 新書 – 2009/10/21

3.9 5つ星のうち3.9 17個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2009/10/21)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/10/21
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 208ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4004312140
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4004312147
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 17個の評価

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宮坂 静生
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2018年3月1日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    季語の歴史からその深みを学べる素晴らしい本でした。季語の題材なのに歳時記至上主義への批判から入るから文体としても優れて飽きずに読めました。歳時記を絶対視して吟行すればいいってもんじゃないですね。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2018年8月21日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    新書用に書かれたのではなく、月刊誌の連載等で発表されていた文章を編み直し前後の導入と付録を加筆、増補した体裁になっている。よって、構成に無理と云うか飛躍があり、一般向けに懇切丁寧な、或いはよく整理されて纏まったという感じではない。和歌の歴史、系譜においてもっと詳細な機微を辿れるものがあるのではないか。その意味で粗雑すぎるというのでなければ、物足りないという気がする。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年9月8日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    タイトルから想像した内容とは全く違う本だった。いや、全くは言い過ぎだとしても、
    途中から俳句の本ではなく、和歌の本かと錯覚した。つまり、季語を根本からとらえる
    と文学ジャンルなど関係ないということだ。研究書のような書き様は私の理解を超えて
    いたので、この評価である。

    「季語は伝承の宝庫」であり、「歳時記は歌語の伝統を踏まえた季題と俳諧・俳句の場
    から生まれた季語との集成」であり、「日本人の感受性の歴史的遺産」であるが、それ
    に囚われることなく、常に検討されるべきであると説く。そして、季語の見直しに必要
    なのは、「季語が生みだされた、あるいは生み出される感動の原点に立ち返り、実体に
    触れる」ことらしい。そのような実践をした人物として芭蕉を採りあげ、「季語は芭蕉
    によって、新たな感動を喚起する発火装置になった」と言う。また、芭蕉は西行から、
    「心がだいじと観念でものに対するのではなく、からだ全身でものに立ち向かうこと」
    を学んだのだそうだ。

    言霊に関する考えも興味深い。万葉時代から平安朝にかけて「ことばを『言霊』として
    信じていたが、『霊』がことばから抜けてしまった」と言う。「書き記すすべをもたな
    いときに、いかに記憶し、語り継ぐということが大事なことか、それはわれわれ文字を
    もっている者の想像を超えた行為」と指摘しているが、文字なき世だからこそ、言霊は
    生命を保てていたということだろうか。

    季語を言霊として蘇らせるには、書かれた物ばかりに頼るのでなく、「観念よりも実地
    ・実感」を重視した芭蕉の態度に学ばなければいけないのかもしれない。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2017年11月19日に日本でレビュー済み
    #感想歌 季語由来言葉の源(源)語源(ごげん)識(し)る遊び芸術境界は無し
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2018年9月23日に日本でレビュー済み
     本書の狙いは、「季語の誕生は縄文時代まで遡る」と主張することにあります。発掘された縄文時代の土器、残された和歌などをつないでの論証は、いささか強引の観があります。しかし、それを踏まえたうえでもなお、本書は十分に読み応えがあります。
     著者がいうとおり、本書はあくまで提案です。検証は不可能と承知の上での、最近の歳時記偏重への警鐘です。その批判の源は、著者自身の自然との接触における身体を揺さぶられる程の感動です。その感動こそが、季語は観念的に理解されるものでなく、現実の自然に身を置くことで得られるものだと確信させたのです。
     その確信はやがて、芭蕉がいにしえの季語観を捨て、自らが漂泊の旅路でつかんだ新たな実感としての季語を発見し、俳句としてあらわしていったという論考は圧巻です。著者の俳人としての季語への執着、愛着に心打たれる一書です。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2009年10月25日に日本でレビュー済み
     これまで季語というのは平安後期に生まれたとされてきたのだそうだが、本書の筆者は、雪・月・花という季語について詳細に民族学・考古学的な思索を展開し、それらのを尊ぶ意識や観念が、縄文時代以来の生活意識に根ざすものであると提案する。日本列島の豊かな自然と移り変わる四季を愛でてきた我々の祖先は、言葉の端々にそれらを鑑賞する精神を埋め込んできたのであろう。
     何分スケールの大きい話で、完全に証拠をもって証明するのは難しい問題だが(縄文時代にタイムスリップでもしない限り)、論証は多くの事象がとりあげられ、緻密に論考が進められているので、一定以上の説得力があるといえる。
     考えてみれば今日でも公文書に気候の挨拶を使ったり(何を使えばよいか苦労されている方も多いはず)、普段のあいさつでも「涼しくなりましたね」「春めきましたね」などと四季の移ろいを取り入れているのだから、四季のある中緯度に位置する日本列島の住民には、季語というのは代々受け継がれている文化習慣といえるのだろう。
    12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート