理工学を専攻している学生が経済学を学ぶ際の参考書としてはもちろん、経済・経営学部の学生が経済数学を学習する際にも本書は非常におすすめできる。直感的なことから出発して、集合・位相といった現代数学の基礎へと話が進んでいく。このとき、経済系の本だからと言って決して記述が薄いということはなく、適当な量がしっかりと書かれている。また、あくまでも本書は経済学の参考書であり、決してそれを逸脱しないためにすぐ集合・位相の知識を応用して経済学の問題を論じているのだが、これがとても有効である。集合と位相はかなり抽象的な概念であるため、問題を解きながら徐々に知識を深めていくことがカギになるのだが、このとき扱う問題もやはり抽象的である。しかし、本書は経済学の問題という現実に非常に即した問題を扱っていくため、集合・位相の有用性をすぐに感じることができる。加えて、著者がところどころに入れるギャグもなかなかおもしろい。雪男が人間に分類されるか、といった記述は、読んでいて笑ってしまった。
二階堂先生の人柄や学問にかける情熱が、この一冊を読むだけでも伝わってくる。
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現代経済学の数学的方法: 位相数学による分析入門 単行本 – 1960/10/27
二階堂 副包
(著)
- 本の長さ337ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1960/10/27
- ISBN-104000004611
- ISBN-13978-4000004619
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1960/10/27)
- 発売日 : 1960/10/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 337ページ
- ISBN-10 : 4000004611
- ISBN-13 : 978-4000004619
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,522,344位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 133,027位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主に、コンピュータサイエンスを研究している学生です。
この研究科では、どうも不動点が重視される風がありまして、それ故(領域理論に発展させる基礎としての)位相数学は知っておきたい教養でありました。また、(クナスター・タルスキーの)完備束上の不動点定理は教えられていたのですが、いきなり集合論の観点から示されてしまって、今までの知識(微積分・線型代数)との乖離が起きてしまい、何となく、知識の地に足が付いていない状態でした。
こんな状況に陥っている私にとって、この本には大変助けられました。
現在の大学学部レベルの線型代数と微積分の知識からスタートして、初等的な集合論と位相数学をこれ以上ない程の易しさで手ほどきしてくれます。
証明は一つ一つ、丁寧かつ明瞭に書かれています。これは現代の書物には到底見られません。
そして最終的にはブラウワーの不動点定理と角谷の不動点定理まで、一気に駆け抜けることができました。
著者である二階堂先生は、既にお亡くなりになられています。
先生は生前地味であったとの記述を多方から見受けられましたが、この本の記述は、古典経済学への情熱ある、生き生きとした批判で溢れています。凡そ地味だとは到底想像できません。数学書を読んで、涙したのはこれが初めてでした。
この場ではありますが、感謝したいと思います。
フォンノイマンの後を追う学生に、是非とも推薦したい一冊です。
この研究科では、どうも不動点が重視される風がありまして、それ故(領域理論に発展させる基礎としての)位相数学は知っておきたい教養でありました。また、(クナスター・タルスキーの)完備束上の不動点定理は教えられていたのですが、いきなり集合論の観点から示されてしまって、今までの知識(微積分・線型代数)との乖離が起きてしまい、何となく、知識の地に足が付いていない状態でした。
こんな状況に陥っている私にとって、この本には大変助けられました。
現在の大学学部レベルの線型代数と微積分の知識からスタートして、初等的な集合論と位相数学をこれ以上ない程の易しさで手ほどきしてくれます。
証明は一つ一つ、丁寧かつ明瞭に書かれています。これは現代の書物には到底見られません。
そして最終的にはブラウワーの不動点定理と角谷の不動点定理まで、一気に駆け抜けることができました。
著者である二階堂先生は、既にお亡くなりになられています。
先生は生前地味であったとの記述を多方から見受けられましたが、この本の記述は、古典経済学への情熱ある、生き生きとした批判で溢れています。凡そ地味だとは到底想像できません。数学書を読んで、涙したのはこれが初めてでした。
この場ではありますが、感謝したいと思います。
フォンノイマンの後を追う学生に、是非とも推薦したい一冊です。
2013年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良い書籍を安価で入手できました。恩師が執筆した本で、懐かしく思いました。なお、梱包は万全で発送も迅速でした。
2011年9月21日に日本でレビュー済み
もう半世紀前に買った本。
読めないまま時間がたつ。けれども、なんだか年をとったら読める
ようになった気がする。
高校で、微分と積分の計算ばかり学んだ学生には、集合や行列論を
用いた本書は難しく思われた。
方程式を解いて、量としての解を求めるという高校数学とはどこか
異質な要素があった。
年をとって、読んでみると、もう計算する気力はないので、かえって
論理のスジだけをたどることができる。
50年以上たった今でも位相数学と数理経済学への最良の入門書だと
思われる。
よく見ると、集合、凸集合、位相、写像、不動点定理などの解説が
基礎からイメージ豊かに書かれていることに気付く。
いわゆる数学書は、大抵は、もっとそっけない書き方である。
内容は、先のレビューアが紹介されているとおり。
レオンチェフの産業連関分析、アクティビティアナリシス、線形計画法、
そして一般均衡解の存在証明である。
基礎知識になる行列の計算も丁寧に解説されている。
位相数学の簡易な解説がある。
一般均衡解の解説は、手ごわいが(まだ読んでない)、そのための
ブラウエルの不動点定理の解説は、きわめて明快に解説されている。
フォン・ノイマンのゲームの鞍点解の説明もわかりやすくまとめら
れている。
この本を熟読すれば、今でも、進んだ経済学の本が読めるようになる
と思われる。
当時の新しい経済学導入期の若々しい息吹も感じられる。
シニアの読書にも、大学生の勉強にも大いに勧められる。
読めないまま時間がたつ。けれども、なんだか年をとったら読める
ようになった気がする。
高校で、微分と積分の計算ばかり学んだ学生には、集合や行列論を
用いた本書は難しく思われた。
方程式を解いて、量としての解を求めるという高校数学とはどこか
異質な要素があった。
年をとって、読んでみると、もう計算する気力はないので、かえって
論理のスジだけをたどることができる。
50年以上たった今でも位相数学と数理経済学への最良の入門書だと
思われる。
よく見ると、集合、凸集合、位相、写像、不動点定理などの解説が
基礎からイメージ豊かに書かれていることに気付く。
いわゆる数学書は、大抵は、もっとそっけない書き方である。
内容は、先のレビューアが紹介されているとおり。
レオンチェフの産業連関分析、アクティビティアナリシス、線形計画法、
そして一般均衡解の存在証明である。
基礎知識になる行列の計算も丁寧に解説されている。
位相数学の簡易な解説がある。
一般均衡解の解説は、手ごわいが(まだ読んでない)、そのための
ブラウエルの不動点定理の解説は、きわめて明快に解説されている。
フォン・ノイマンのゲームの鞍点解の説明もわかりやすくまとめら
れている。
この本を熟読すれば、今でも、進んだ経済学の本が読めるようになる
と思われる。
当時の新しい経済学導入期の若々しい息吹も感じられる。
シニアの読書にも、大学生の勉強にも大いに勧められる。
2008年3月9日に日本でレビュー済み
本書は数理経済学の数学部分を取り上げたような感じの本である。そのため、経済学と数学の両方の素養がないと何をいいたいのか分からないかもしれません。この本を難しいと感じたら、「経済学研究者のための数学入門」(久武雅夫)をまず読むとよいかもしれません。順列から行列まで、経済学で扱う数学的な基本的な事項を網羅しています。
練習問題は、数学的で、より経済学的な問題にしてもらえるとよかった。
例えば、「歯磨き作って億万長者」や「レモネード経済学」のように。
順番としては、
1 「歯磨き作って億万長者」や「レモネード経済学」
2 「経済学研究者のための数学入門」(久武雅夫)
3 本書または本書の技術を使っている経済学書
練習問題は、数学的で、より経済学的な問題にしてもらえるとよかった。
例えば、「歯磨き作って億万長者」や「レモネード経済学」のように。
順番としては、
1 「歯磨き作って億万長者」や「レモネード経済学」
2 「経済学研究者のための数学入門」(久武雅夫)
3 本書または本書の技術を使っている経済学書