20世紀ロシアの農民世界
内容
目次
序 崔 在 東 第1部 20世紀ロシア農村 第1章 ロシアにおける20世紀の歴史的変動と農民意識の変容 イリーナ・コズノワ(奥田央・広岡直子訳) はじめに 1.前世紀初頭 2.農村における連続性と変動──新しい段階── 3.伝統と新しい試みの間のコルホーズ農村 4.「ソ連解体後」という旗印の下での農村生活 第2部 集団化前の農村──歴史の連続と断絶── 第2章 20世紀初頭ロシア農村社会におけるゼムストヴォ防災事業 崔 在 東 はじめに5 1.ゼムストヴォと防災事業 2.村計画 2.1.建築規定と農民一般規定第110条 2.2.ゼムストヴォ建築条例と農民の訴え 2.3.村計画 2.4.ストルィピン農業改革と建築規定および村計画 2.5.村計画事業の中止と形骸化 3.農民消防団 4.耐火建材の普及 5.消火設備の普及 6.保育施設と植樹 7.火災被害の変動 おわりに 61 第3章 国家・医師・農民 ──革命前ロシアにおける農村医療・保健史序説── 広岡 直子 はじめに 1.帝政末期におけるロシア農村保健の諸問題 1.1.ゼムストヴォ法令と医療 1.2.フェリシェールとは何か 1.3.医師と「フェリシェリズム」批判 2.ピロゴーフ記念ロシア医師協会 2.1.医療の専門化 2.2.ピロゴーフ協会とゼムストヴォ医師 2.3.コレラ暴動 2.4.ピロゴーフ協会の政治化 おわりに 第4章 「赤色テロル」と1922年の教会弾圧 梶川 伸一 はじめに 1.ボリシェヴィキ権力と教会 2.教会と飢餓民援助 2.1.国家的救済の限界 2.2.教会の救済活動 2.3.教会への攻勢が始まる 3.教会貴重品収用キャンペーン 3.1.組織的統一をめざして 3.2.シュヤ事件 4.攻勢への転換 4.1.シュヤ裁判 4.2.政治の「二重体制」構造 第5章 1920年代ソ連の計画経済論における市場像 ──コンドラーチェフの計画化論の再検討── 鈴木 義一 はじめに 1.1920年代ソ連における計画経済の方法論 2.「農業発展の展望計画」とその方法論 3.「社会主義経済計算論争」からの再検討 おわりに 第6章 ネップ農村における社会的活動性の諸類型 ──村アクチーフとしてのセリコル── 浅岡 善治 はじめに 1.ネップ農村における社会的活動性とセリコルの3類型 2.後期ネップと階級的契機 3.「対話」から「決裂」へ おわりに 第3部 集団化と農村──農村の大転換── 第7章 「犂から鞄へ」 ──脱農民化過程における農村のコムニストと コムソモール員(1920年代から1930年代初頭)── 奥田 央 1.問題の所在 2.「新コース」の中の農村コムニスト 3.農村コムニストと農民社会 4.農村の若者、とくにコムソモール員について 5.集団化におけるコムニストとコムソモール員 6.「鞄をもつ人」 おわりに 第8章 1930年代初めのソ連における飢饉発生のメカニズム ヴィクトル・コンドラーシン(浅岡善治訳) 1.国家の産業的近代化とその「スターリン的変種」 2.「スターリン的執行」に対する「ブハーリン的代案」 3.工業化のテンポと「手早いカネ」 4.「穀物と引き換えに外貨を、外貨と引き換えに機械を」 5.飢饉発生のメカニズム 第9章 権力による名称付与の帰結としての「クラーク」 ガリーナ・ドブロノージェンコ(奥田央・浅岡善治訳) 1.わが国の史学史における「クラーク」という社会集団の解釈の理論的モデル 1.1.農村の搾取者の集団としての「クラーク」──構造主義的アプローチ── 1.2.イデオロギー的表象としての「クラーク」──構築主義的アプローチ── 1.3.「クラーク」 ──イデオロギー的表象から、弾圧された農民の現実の社会集団へ── 2.ソヴェト国家の社会政策の対象としての「クラーク」 2.1.「農村における搾取的傾向の制限」 ──理論、政策、法律の統合という難題(1921~27年)── 2.2.1928~29年の政策対象としての「クラーク」 ──個人的判定による差別と弾圧── 2.3.1930~32年:集団的帰属による差別・弾圧対象としての「クラーク」 2.4.1933~36年:「クラーク階級」の絶滅から「個人農階級」の絶滅へ 第10章 1930年代後期のコルホーズにおける定款違反と 雇用労働力の利用 日臺 健雄 はじめに 291 1.新定款への違反行為の顕在化とその傾向 1.1.定款違反の罰則 1.2.定款違反の顕在化をめぐる問題 1.3.新定款に対する違反の傾向 2.雇用労働をめぐる定款違反 2.1.雇用労働力利用の全般的動向 2.2.雇用労働力利用の誘因 2.3.個別にみたコルホーズの雇用労働力利用 2.4.小括 おわりに 第11章 チェチェン・イングーシにおけるソヴェト民族政策の一側面 ──イングーシにおける領土問題の起源を中心に── 野田 岳人 はじめに 1.1920~30年代のチェチェン・イングーシにおける民族政策 1.1.チェチェン自治州とイングーシ自治州の形成 1.2.チェチェン自治州とイングーシ自治州の合同 1.3.チェチェン・アッキ 2.1940~50年代のチェチェン・イングーシにおけるソ連の民族政策 2.1.強制移住 2.2.自治共和国廃止後のチェチェン・イングーシ 2.3.チェチェン・イングーシ自治共和国の再建 2.4.チェチェン・イングーシ自治共和国の行政区分と民族構成 おわりに 第・部 脱集団化と農村──諸問題の源流を求めて── 第12章 ロシア農村におけるインフォーマル就労と農外雇用 ──経済成長下での個人副業経営の役割の変容── 武田 友加 はじめに──移行経済下ロシアにおける個人副業経営とその動向──9 1.個人副業経営の研究史:個票データに基づく研究を中心に 2.データとモデル 2.1.データ 2.2.生存戦略モデル 3.生存戦略としての個人副業経営の決定要因 3.1.個人副業経営と農業企業の共存関係 3.2.農外雇用の拡大と個人副業経営の縮小 3.3.推計値の頑健性 おわりに 第13章 旧ソ連諸国における農業改革 ──多様化する農業構造と農業生産の変貌── 野部 公一 1.課題設定 2.農業改革の多様化 2.1.農業改革の類型化 2.2.多様化の要因 3.農業生産の変貌 おわりに あとがき 人名索引 事項索引
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