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ロールシャッハ法の最前線
高瀬 由嗣,
石橋 正浩,
齋藤 大輔,
松本 真理子,
岩佐 和典,
佐々木 裕子,
小西 宏幸,
玉井 康之,
竹林 由武,
大貫 敬一,
橋本 忠行,
内田 裕之,
安田 傑,
小川 俊樹
著
発行年月 |
2021年10月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
308p |
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大きさ |
22cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/心理学/心理学史・心理学理論 |
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ISBN |
9784753311927 |
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商品コード |
1033758431 |
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NDC分類 |
140.7 |
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本の性格 |
学術書/実務向け |
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新刊案内掲載月 |
2021年12月2週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033758431 |
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著者紹介
高瀬 由嗣(著者):1964年愛知県に生まれる。1998年中京大学大学院文学研究科博士後期課程心理学専攻単位取得満期退学。1999年北海道医療大学看護福祉学部専任講師。2002年北海道医療大学心理科学部専任講師。2007年明治大学文学部専任准教授。2017年明治大学文学部専任教授。専攻 臨床心理学,心理アセスメント。現職 明治大学文学部専任教授。編著書 「心理アセスメントの理論と実践―テスト・観察・面接の基礎から治療的活用まで(共編著,岩崎学術出版社),「臨床心理学の実践:アセスメント・支援・研究」(共編著,金子書房,他
石橋 正浩(著者):1991年大阪大学人間科学部卒業。1999年大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。2000年大阪教育大学教育学部講師。2005年大阪教育大学教育学部助教授。専攻 臨床心理学,発達人間学。現職 大阪教育大学教育学部教授。著訳書 「臨床心理学概論(’20)」(分担執筆,放送大学教育振興会),「ロールシャッハ法の豊かな多様性を臨床に生かす」(分担執筆,金子書房),「ソーシャル・インクルージョンへの挑戦」(共編著,明石書店),「ソンディ・テスト入門」(共編著,ナカニシヤ出版),他
齋藤 大輔(著者):1974年岡山県に生まれる。1996年徳島大学総合科学部卒業。2003年徳島大学大学院医学研究科修了,博士(医学)。2007年自然科学研究機構生理学研究所助教。2016年金沢大学子どものこころの発達研究センター特任准教授。専攻 神経科学,生理心理学,神経心理学,脳科学。現職 安田女子大学心理学部現代心理学科准教授。著訳書 「発達科学ハンドブック第8巻『脳の発達科学』」(分担執筆,新曜社),「子どものからだと心白書2016」(分担執筆,ブックハウス・エイチディ),他
松本 真理子(著者):1979年名古屋大学教育学部心理学科卒業。2003年名古屋大学大学院博士課程後期課程修了(博士,心理学)1989年聖隷学園浜松衛生短期大学助教授(1993年~聖隷クリストファー看護大学)2001年金城学院大学助教授(2003年同教授)。2008年名古屋大学発達心理精神科学教育実践センター教授(2015年心の発達支援研究実践センターに改組),現在に至る。専攻 児童・青年期臨床心理学 著書 「心の発達支援シリーズ全6巻」(監修,明石書店),「日本とフィンランドにおける子どものウェルビーイングへの多面的アプローチ―子どもの幸福を考える」(編著,明石書店),「心理アセスメント―心理検査のミニマム・エッセンス」(編著,ナカニシヤ出版),「公認心理師用語集増補改訂版」(編著,遠見書房),他
岩佐 和典(著者):1981年大阪府に生まれる。2011年筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。2011年就実大学教育学部講師。2016年就実大学教育学部准教授。2021年大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科准教授。専攻 臨床心理学,感情心理学。現職 大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科准教授。著訳書 「嫌悪とその関連障害:理論・アセスメント・臨床的示唆」(監訳,北大路書房),「動機づけと情動」(共著,培風館),「事例で学ぶロールシャッハ法入門」(共著,金子書房),「感情心理学ハンドブック」(共著,北大路書房)
佐々木 裕子(著者):1968年広島県に生まれる。1996年筑波大学大学院博士課程心理学研究科単位取得退学。1996年福岡教育大学助手・講師・助教授。2000年静岡大学人文学部助教授。2002年米国オハイオ州立アクロン大学客員研究員。2005年国債基督大学特任講師。2006年了徳寺大学健康科学部准教授。2010年米国メンタルリサーチ研究所(MRI)戦略的家族療法レジデント。2012年聖徳大学・福祉学部心理学科准教授。専攻 臨床心理学,心理アセスメント。現職 聖徳大学・福祉学部心理学科教授。著訳書 「ハンドテストとロールシャッハ法―投影法バッテリーを学ぶ」(単著,遠見書房),「臨床ハンドテストの実際」(共著,誠信書房),「ハンドテスト・マニュアル」(共訳,誠信書房),「事例で学ぶロールシャッハ法入門」(分担執筆,金子書房),「基本からのロールシャッハ法」(分担訳,金子書房),他
小西 宏幸(著者):1971年大阪府に生まれる。2004年関西大学大学院社会学研究科社会心理学専攻臨床心理学専修博士課程後期課程修了,博士(社会学)。2017年大阪大谷大学人間社会学部人間社会学科教授。専門 臨床心理学,パーソナリティ心理学。現職 大阪大谷大学人間社会学部人間社会学科教授,公認心理師,臨床心理士。主要論文 「本邦でのロールシャッハ・テストはどこに向かうのか?包括システムからR-PASへ」,「包括システムによるロールシャッハ・テストでの日本人高校生の記述的統計資料」,「集団セッションにおける不登校児への認知行動アプローチ」,「包括システムにおける人間表象反応の再検査研究」,「包括システムの体験型によるロールシャッハ変数の群間比較」,他
玉井 康之(著者):1962年京都府に生まれる。1990年山口大学医学部医学科卒業。1998年香川医科大学大学院医学研究科卒業。1999年東海大学医学部精神科学教室入局。2008年東海大学医学部専門診療学系精神科学講師。専攻 精神分析的精神医学,力動精神医学,コンサルテーション・リエゾン精神医学,緩和ケア。現職 弘前大学医学部心理支援科学科教授。
竹林 由武(著者):1985年北海道に生まれる。2014年広島大学大学院総合科学研究科総合科学専攻博士課程後期課程修了,博士(学術)。2014年統計数理研究所リスク解析戦略研究センター特任助教。専攻 臨床心理学,心理測定学,災害メンタルヘルス。現職 福島県立医科大学医学部健康リスクコミュニケーション学講座助教。著訳書 「遠隔心理支援:物理的距離を超えてケアを継続するヒント」(監修,誠信書房),「ウェルビーング療法:治療マニュアルと事例に合わせた使い方」(監訳,星和書店),他
大貫 敬一(著者):1951年神奈川県に生まれる。1981年東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程単位取得満期退学。1981年共立女子大学文芸学部専任講師。1989年共立女子大学文芸学部助教授。1998年共立女子大学文芸学部教授。1999年東京経済大学経済学部教授。2019年東京経済大学全学共通教育センター教授。専攻 臨床心理学,心理アセスメント。現職 東京経済大学名誉教授。著訳書 「カウンセラーの仕事の実際」(共編,培風館),「適応と援助の心理学」(共著,培風館),「人格心理学」(分担執筆,放送大学教育振興会),他
橋本 忠行(著者):1970年福岡県に生まれる。1999年九州大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年川崎医療福祉大学医療福祉学部臨床心理学科助手。2002年札幌学院大学人文学部臨床心理学科講師。2008年Center for Therapeutic Assessment(Austin,TX,U.S.)客員研究員(至2009年)。2011年札幌学院大学人文学部臨床心理学科准教授。2015年香川大学教育学部人間発達環境課程発達臨床コース准教授。専攻 協働的/治療的アセスメント,人間性心理学。現職 香川大学医学部臨床心理学科教授。編著書「アセスメントの心理学―こころの理解と支援をつなぐ」(共著,培風館),「ナラティヴと心理アセスメント―協働的/治療的につなぐポイント」(共編著,創元社),「公認心理師実践ガイダンス1.心理的アセスメント」(共編著,木立の文庫),他
内田 裕之(著者):1967年京都府に生まれる。1995年名古屋大学大学院教育学研究科発達臨床学専攻博士課程後期課程満期退学。2005年東亜大学大学院総合学術研究科助教授。2009年大阪大学・金沢大学・浜松大学院連合小児発達学研究科准教授。専攻 臨床心理学,心理アセスメント,イメージを媒介とした心理療法。現職 東海学院大学人間関係学部心理学科教授。著訳書「教師のための児童・生徒理解」(共著,八千代出版),「高機能広汎性発達障害」(「分担執筆,ブレーン出版」,「人間援助の諸領域」(分担執筆,ナカニシヤ出版),「ソンディ・テスト入門」(共編,ナカニシヤ出版)
安田 傑(著者):2004年関西学院大学文学部教育学科卒業,関西学院大学大学院文学研究科進学。2011年関西学院大学文学部総合心理科学科契約助手。2015年大阪大谷大学人間社会学部人間社会学科専任講師。専攻 心理検査法,教学IR,キャリア・カウンセリング。現職 大阪大谷大学人間社会学部人間社会学科准教授。著訳書「英⇔和心理学用語集」(共著,培風館),「心理科学の射程」(分担執筆,関西学院大学出版会),「心理学教育のための傑作工夫集―講義をおもしろくする67のアクティビティ」(共訳,北大路書房),他
小川 俊樹(著者):1948年福島県に生まれる。1975年東京教育大学大学院教育学研究科博士課程(実験心理学専攻)中退。1975年茨城大学保健管理センター専任講師。1983年筑波大学心理学系・保健管理センター専任講師。2000年筑波大学心理学系教授。2004年国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。2012年放送学園放送大学教養学部教授。専攻 臨床心理学,病態心理学。現職 筑波大学名誉教授,放送大学客員教授。著訳書 「 心理療法の諸原則」(共訳,星和書店),「子どものロールシャッハ法」(共編,金子書房),「臨床認知心理学」(共編,東京大学出版会),「心理学概論―学びと知のイノベーション」(共編,ナカニシヤ出版),「臨床心理学特論」(共編,放送大学教育振興会),他
内容
出版がようやく日の目を見ることとなり,ほっとしている。というのも,本書の企画から今日まで諸々の理由でかなりの日数を要したからである。早々に玉稿をいただいた執筆者の方々にはご寛容願いたい。しかしながら反面,ロールシャッハ法誕生100年目という記念の年に出版できたという喜びもある。統計的頑強性やエビデンスをめぐって投影法の危機が叫ばれ,ロールシャッハ法もいずれ姿を消すのではないかといった極論もささやかれている(Schubach, 2015)からである。しかしながら,本書の中でも言及しているように(第6章),統計的頑強性は十分に有しているとの知見も発表されている。しばしば批判の中心となる統計的頑強性だが,個人的にはそもそも投影法に客観検査とよばれる質問紙法と同様の信頼性や妥当性の心理測定法を求めるのが適切なのだろうかという思いがある。ロールシャッハ法には,集団式ロールシャッハ法という形式がある。この形式は,刺激図版としてはヘルマン・ロールシャッハの作成した10枚のカードを用いるが,反応として一定数の反応内容から強制選択してもらうものである。回答を選択肢の中に求めるという点で質問紙法と同じ形式であり,心理測定法による検討が容易となる。この問題は反応数R(第7章)やその制限(第10章)と関連しているが,反応の自由度という投影法の本質とも関係する重要な問題である。反応の自由性をロールシャッハ法の本質と考えるのであれば,質問紙法とは異なった統計的頑強性の指標を追求すべきではなろうか(第5章)。ピオトロフスキー(Piotrowski, C.)は米国における各種心理検査の使用頻度調査を一定の間隔をおいて実施し,定点観測を行っている。彼の調査によれば,投影法は将来使用されなくなるであろうと毎回予測されながら,その後の調査では予測されたような状況には陥っていないことが見出されている。そのため彼は,「このような願い(投影法衰退の予測)と異なり,投影法は消え失せないのであり」,投影法に対する反応は理論的というよりも感情的なものではないかと指摘している(Potrowski,1984; 2015)。このピオトロフスキーの言葉のように,ロールシャッハ法には誤解があるのではないだろうか。本書ではロールシャッハ法の最新の研究成果をまとめ,ロールシャッハ法の現在の姿を見てもらおうと意図した。土居(1979)に「精神療法に進歩はあるか」という所論があるが,ロールシャッハ法が誕生して100年を迎え,「ロールシャッハ法に進歩はあるか」を考えてみた。(「あとがき」より)