内容
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第16回配本となる第3巻「背徳の仔ら」は、悪の魅力に満ちた主人公たちが縦横に活躍する、小説ならではの背徳的な快楽を描ききった作品群をジャンルを越えて全12編収録。●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏[編集室から]黒岩重吾と大藪春彦を並べることは、無謀である。しかし、元来こういう叢書を編むこと自体が無謀なのであって、誰が選んでもこうなる、というのでは面白くないではないか。短編はすさまじい背徳者たちが並んだ。もとより、小説とは道徳の教科書ではない。ピカレスク(悪徳)小説というジャンルもあるように、奇人悪人変人が主人公であってもいっこうにかまわない。問題は、その奇人悪人変人が魅力的かつ印象的であるかどうかである。[収録作]【長編】大藪春彦「野獣死すべし(付・復讐篇)」黒岩重吾「裸の背徳者」【短編】松本清張「鬼畜」西村京太郎「南神威島」野坂昭如「骨餓身峠死人葛」筒井康隆「問題外科」立原正秋「白い罌粟」【掌編】久生十蘭「昆虫図」川端康成「地」小酒井不木「痴人の復讐」皆川博子「夜のリフレーン」赤川次郎「アパートの貴婦人」◇解説/逢坂剛 解題/池上冬樹