内容説明
英国の離脱が決まり、その結束に綻びのみられるEU。コロナ禍によって、各国の分断はさらに深刻なものとなってきている。なぜいま、欧州各国では、中流層と中道政治が変質、消失し、ポピュリスト、ナショナリストが台頭するに至っているのか。各国の政治経済状況を読み解き、「欧州危機」の実態を解説。そこに、政治的プロジェクトから、経済的プロジェクトへと変質しつつある欧州統合の矛盾をあぶり出し、統合の行方と欧州政治の危うい未来を読む。
目次
第1章 ポピュリズムとナショナリズムが塗り変えたEUの政治経済風景(EUの今日的風景画;風景画を歪ませ黒々しくするもの ほか)
第2章 独仏枢軸の中道政治は持ちこたえられるか(旧東ドイツ地域で勢力を伸ばすポピュリズム型ナショナリズムの手口;台頭してきた「自我だけ政治」とは何か ほか)
第3章 健全経済の北欧に広がる中道政治の極右化(「中央」無き経済が政治の両極を台頭させる;偉大な哲学者も偉大な詩人も「中央」を重視した ほか)
第4章 南欧・東欧、イギリスが抱える中間層の変質と政治の危機(イタリアで中道が中央から消えた日;呉越同舟だったレガと五つ星運動 ほか)
第5章 パンデミックで明らかになったEUの未来(財政統合という名の終わらない宿題;コロナ対応共同基金が浮き彫りにした「4人組対3人組」の対立 ほか)
著者等紹介
浜矩子[ハマノリコ]
1952年生まれ。一橋大学経済学部卒業。75年、三菱総合研究所入社。ロンドン駐在員事務所長兼駐在エコノミスト、経済調査部長などを経て、2002年より同志社大学大学院ビジネス研究科教授。専攻はマクロ経済分析、国際経済(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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