内容説明
シラーの詩を導きとして、秘教的・神秘主義的思潮の回廊をめぐる。第9交響曲を飾る歌詞『歓喜に寄せる』と『走れメロス』のオリジナル―シラー作品に織り込まれた、ダークサイドの思想史・文化史とは。オルフェウス教、ピュタゴラス派、ヘルメス主義、ネオプラトニズム、グノーシス、ユダヤ教カバラ…古代の神秘主義的思潮のるつぼから、フリーメーソン、薔薇十字団、メスメリズム、そしてスウェーデンボリへ。ドイツ近代は、秘された宇宙論的ヴィジョンの沃野から何を汲んだのか。
目次
第1章 時代と思想(啓蒙の時代と魔術師たち;シラーの小説『視霊者』と秘密結社 ほか)
第2章 崇高とカバラ的宇宙論(ロンギノスの崇高と天上界への魂の帰昇;レトリカとカドゥケウス ほか)
第3章 シラーの美学と秘教的伝統(「魂の国」対「リヴァイアサン」―シラーの悲劇『ドン・カルロス』;神的人間の没落と二種のアプロディーテ ほか)
第4章 メタモルフォーゼ(イシス;「植物の変身」―ゲーテにおけるイシス幻想 ほか)
第5章 幻想と政治(「天球の音楽」と「霊魂の国」と自動人形―E.T.A.ホフマン;動物磁気 ほか)
著者等紹介
坂本貴志[サカモトタカシ]
1969年生まれ。専攻、ドイツ文学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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