新書y<br> 「心の専門家」はいらない

新書y
「心の専門家」はいらない

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 218p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784896916157
  • NDC分類 146
  • Cコード C0211

内容説明

現在、社会で良きもの、必要とされているものを根底から問う!ここ五、六年、事件・事故が起こるたびに声高に叫ばれるものに「心のケア」「心の教育」という耳に心地いい言葉がある。なぜ、この風潮はかくも社会に浸透し、蔓延したのか?日常の関係に目を向けることを避け、「心の専門家」に依存し、そこに救済願望を託す「心主義」と言いたくなる傾向に対し、長年、臨床心理学の問い直いに携わってきた著者が、この学問の何が問題かを白日の下にさらす。「相談という商品」を「一緒に考え合う日常の営み」を取り戻す道を探る試み。

目次

序章 臨床心理学をなぜ問うか
第1章 現代社会とカウンセリング願望
第2章 「心の専門家」の仕事とその問題群
第3章 スクールカウンセリングのゆくえ
第4章 「心のケア」を問う
終章 日常の復権に向けて

著者等紹介

小沢牧子[オザワマキコ]
1937年北海道生まれ。臨床心理学論、子ども・家族論専攻。いくつかの教育相談の職場を経たのち、和光大学、千葉県立衛生短期大学、文化学院専攻科の非常勤講師として、臨床心理学、教育心理学、家族論などを講じ、また国民教育文化総合研究所研究委員をつとめた。現在フリーの研究・著述業。日本社会臨床学会運営委員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あなた

17
カウンセリングの問題点は、「問題を抱えた主体」をゆるめると同時に強化するという二律背反につきる。自分が問題視していなかった事柄さえ、語っていくうちに「問題という物語」として語り出してしまう。そうすると、問題を解消するためにカウンセリングに行くのか、それともカウンセリングに行ってしゃべっているから問題にとらわれたままなのかよくわからなくなってくるのである。カウンセリングという場を相対化していく度量ももちあわせないと、案外「問題という物語」に幽閉されたまま、独語論をつぶやき続けることになるかもしれない2009/09/02

SGM

14
★★☆斜め読み。筆者の主張はよう分からんけど、専門家なんて偉そうにし始めたら人間おしまいです。不確定に満ちた世界。人間がわかることなんてほんのわずか。引用部のところは素晴らしい指摘だなと思った。『老いを特別なものに仕立てすぎるのではないかと思う。それは正常な青年期・壮年期の完成型であるという、近代発達観の産物だ。人はみなそれぞれに、これまで生きてきたように老いていくだけで、それ以上でも以下でもない。(中略)いろんな人がいて、その人がたまたま年齢を重ねているのだ』(P183-184)2017/06/17

ステビア

14
筆者は「心の専門家」が、1.問題を社会関係から切り離して個人に内在化し、2.隠された権力でクライエントを管理し、3.人々が悩みを抱えながら生きる力を奪う、という。主張はわかったが全面的に賛成はできない(というかすごく陳腐だと思った)。2017/03/16

ユウティ

11
はじめは面食らったが、読み進めるにつれて納得感が増す。カウンセリングは患者が自身の心や考えを整理するための手段のひとつであり、それで良いと思っていたし読後もその考えを捨てきれない。ただ、それが人と人が繋がる暮らしにおいてどれだけもったいないことかと気づかされた。社会が心を可視化(とでもいうのか?)し、商品化し、経済と結びついたために起きている矛盾。本来なら周囲との関係性の中にある自己を、カウンセラーという全くの他人に委ねることの危うさ、外的な問題を患者に押し込めてしまう構造、どれも思い当たることばかり。2020/03/13

BIDDULPH

11
ずっと「心」を語る奴らはなんか胡散臭い気がしていたが、この本をとある高名な先生から薦められて読み大いに納得した。トータルな人間関係の中で起こる事象を専門家だけの問題にしてはいけない。2014/02/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/458779
  • ご注意事項

最近チェックした商品