ナチスのキッチン―「食べること」の環境史

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 450p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784891769000
  • NDC分類 383.9
  • Cコード C0022

内容説明

ナチスによる空前の支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?システムキッチン、家事労働から食材、エネルギーにいたるまで、台所という“戦場”の超克を試みた、来たるべき時代への“希望の原理”。新たに発見された事実や貴重なレシピなど、未刊行資料も多数収録。

目次

序章 台所の環境思想史
第1章 台所空間の「工場」化―建築課題としての台所
第2章 調理道具のテクノロジー化―市場としての台所
第3章 家政学の挑戦
第4章 レシピの思想史
第5章 台所のナチ化―テイラー主義の果てに
終章 来たるべき台所のために
「食べること」の救出に向けて―あとがきにかえて

著者等紹介

藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。博士(人間・環境学)。京都大学人文科学研究所助手を経て、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科講師。専攻は農業思想史、農業技術史。主な著書に『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005。第一回日本ドイツ学会奨励賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

69
ナチスの国民食アイントプフ、味付けはマギーブイヨン。え、しょっちゅう使ってるやつ。 第1次~ナチス時代のドイツ台所史。 家庭をも支配するために主婦のマイスター制度まで作ったナチスであった2024/03/04

どんぐり

61
農業思想史を専門とする研究者が書いたとてもマニアックな学術書。19世紀半ばから20世紀半ばまでのドイツの台所の発展史。テイラー主義に基づく台所の設計にはじまり、調理道具、家政学、レシピ、最後にむりくりナチス・ドイツにつなげた不思議な本である。針小棒大というのはこういうことを言うのだろう。良書とはいいがたい、書名に騙されて読んだ本。2018/08/09

ネギっ子gen

58
【ナチスによる空前の支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?】1919年から45年のドイツに焦点を当てた、台所の現代史。システムキッチンや家事労働から、食材やエネルギーにいたるまで、台所という“戦場”の超克を試みた、来るべき時代への“希望の原理”。貴重なレシピを始め、未刊行資料・図版などを多数収録。巻末に、註・参考文献・人名索引。付録3点。<食べ物の歴史を追っていくと、主役である食べ物と同じくらい、あるいはそれ以上に、本来は脇役であり目的のための手段にすぎないはずの台所が存在感を示す>と。⇒2023/06/01

たまきら

42
備忘録:表紙のデザインが見にくい!先日読んだ雑誌でこの人のコラムが大変興味深かったのでこの本を手に取りましたが、ナチスという狂信者の集まりが国民に、男に、女に求めた「完璧さ」のあやうさの記述に、現代と似たものを感じてぞっとしました。なるほど、こういう考察をされていればオーガニック食品の推進に一言言いたくなるわけです。闘争の十か条、という主婦向けの要望には「無駄をなくせ」「国産のものを消費せよ」といった言葉が並ぶ。そういえばヒットラーは菜食主義者だったらしいのよね…。2023/04/19

更紗蝦

18
ナチスの政策の「福祉」の部分にかなり焦点を当てています。「台所の機能化による主婦の仕事の軽減」「食生活に気を配ることによる健康維持」「農業技術の向上や流通のコントロールによる飢餓対策」など、一見すると“良いこと”としか思えない政策が、実は「健康な兵士」と「健康な兵士を生む母」の育成を目標とした“科学的”で“合理的”な手段でしかなく、要は「戦争」のためだったという事実に薄ら寒さを覚えたと同時に、日本の「食育」「女性の輝く社会」「地産地消」「エコ」などを謳ったスローガンの危うさにも気づかされる本でした。2016/08/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/5131192
  • ご注意事項

最近チェックした商品