内容説明
東西3,146km、南北2,787km、気候差や緯度・経度を勘案した日本列島の広がりは、ヨーロッパの国々と比較すると、実に3か国ほどの領域を占める。弥生時代、この狭いようで広大な列島を舞台として、人々がダイナミックに活動し、文物と情報が行き交うネットワーク社会が構築されていることが明らかにされてきた。しかし、近年の遺構・遺物研究の細分化と地域研究の深化とは裏腹に、列島規模での地域間交流の実態は掴みづらく、特に東日本と研究者間で一致した見解が示されているとは言い難い状態が続いていた。2019年2月、東・西日本各地域で蓄積された研究の成果を持ち寄り、列島全体を総括するシンポジウムが開催された。搬入土器や石器、玉、金属製品の生産や流通をもとに、重層的かつ広域的な交流の実態が浮かびあがってきた。本書はシンポジウム討論の記録と論議に基づく31名の論考、最新の広域編年併行関係表を収録した。弥生時代の地域間交流に関する研究の現時点での到達点であり、研究者必携の書である。
目次
第1部 研究発表(弥生時代の東西交流の解明に向けて―関東地方から考える;東日本(太平洋沿岸)の地域間交流―2019シンポジウムを経て
中央高地を介した弥生後期の交流―「箱清水式」大地域型式圏を中心として ほか)
第2部 総括討議記録
第3部 コラム集(交易品としての動物質資源への考古学的接近;東西交流の屈曲点と地域性そして斉一化;「接触・緩衝地帯(フロンティア)」(西川2019)について ほか)
付録